アウトドアスポーツ関連の見本市で展示される拳銃。米ペンシルベニア州で(2017年2月10日撮影、資料写真)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】マスケット銃から機関銃まで、米国人と銃とのつながりは、国そのものと同じくらい古く、また複雑だ──。しかし、米国におけるこの銃と人との密接な関係性に対して今、厳しい視線が向けられ始めている。最近では、ネバダ(Nevada)州ラスベガス(Las Vegas)で起きた、58人が犠牲となった同国史上最悪の銃乱射事件が多くの人に衝撃を与えた。

 米国は、独立戦争で生まれた国だ。この流血の革命に加え、南北戦争、先住民の大量殺りく、そして西部開拓時代の荒くれ者たちの物語と、銃はその歴史の中でいつも大きな役割を担ってきた。

 米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のアダム・ウィンクラー(Adam Winkler)教授(憲法学)はAFPの取材に「それは米国が、専制政治に反対し戦う武装革命の建国を理想化しているという事実に拠るところもある」と話し、「国民のアイデンティティーが、間違いなく銃の文化に、深く結びついている」と続けた。

 米国の銃社会についての著書があるA.J.サマセット(A.J.Somerset)氏も「銃は国家の神話の中で、大体において中心を占めている」と語り、「独立戦争から発生するすべての神話は、ライフルを前面に、そして中心に位置づけている」と指摘する。サマセット氏は、カナダ軍の元兵士で自身も銃所有者だ。

 だが、銃が本当に国のシンボルとなったのは1775〜1783年の米独立戦争から数十年後のことだ。19世紀半ばに銃火器が急速に改良されると、連続して発砲可能なコルト回転式拳銃や後装式のライフルが登場し、そしてウィンチェスターライフルへと続いた。これらは西部開拓時代と重なり、銃との関係が神話化する起点となった。

 米国には現在、その人口を上回る3億丁以上の銃がある。同国で起きる銃火器による死者は年間約3万人に上り、その3分の2近くは自殺だ。

 世論調査機関ピュー・ リサーチ・センター(Pew Research Center)が6月に実施した調査によると、米国では10人中4人が銃を持つ家庭に住んでおり、銃所有者の67%が銃所有の主な理由を自衛だと答えている。

■自衛のためには銃が必要

 米国人の多くは、銃の所有について合衆国憲法修正第2条にうたわれている基本的権利だとしている。そこには「規律ある民兵は自由な国家の安全保障にとって必要であるため、国民が武器を保持する権利は侵してはならない」と記されている。

 ハリウッド(Hollywood)の西部劇とテレビ番組は、カウボーイの銃文化を美化するのに一役買ったかもしれないが、1960年代末からの犯罪件数の増加とそれに対する恐怖心は、今日の銃所有の状況を説明する上でより説得力を持つ。

 また「自衛のためには銃が必要」という考えを米国民に植え付ける上で、銃所有の権利擁護団体、全米ライフル協会(National Rifle Association、NRA)の存在は大きな役割を担ったと、ウィンクラー氏は指摘する。

「自衛は独立独歩の自らの足で立つ人間がすること」──この考えは多くの米国人が持つ自己像にしっかりと取り込まれており、「彼らは自分自身と自分の家族を守り、何者に対してもひるむことはない」 と同氏は話す。

■アイデンティティー

 銃所有の権利とその規制については、今日の米国において常に議論の対象となっており、意見が二分する問題だ。ピュー・ リサーチ・センターの調査によると、銃を所有しているのは共和党支持者44%に比べ、民主党支持者では20%だという。

 ノースフロリダ大学(University of North Florida)のデービッド・カートライト(David Courtwright)教授(歴史学)は、銃の所有が悪者からの自衛目的にとどまらず、アイデンティティーの問題にも発展していると指摘する。

 A.J.サマセット氏も「銃は自由を象徴する。自由を愛し責任ある米市民であるというアイデンティティーを表現するもの」と話し、「だからこそ、その象徴を手放すには極めて大きな抵抗がある」と、この問題の難しさに触れた。
【翻訳編集】AFPBB News