米国に渡った郭文貴氏(スクリーンショット)

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 中国政府の情報機関である国家安全部の諜報員4人は米ニューヨークで、公務ビザを所持しないまま、米国に逃亡中の中国政商・郭文貴氏と帰国交渉したため、米捜査当局により逮捕寸前になっていたことが明らかになった。米紙ウォールストリートジャーナル(WSJ)が22日に報じた。

 郭氏は中国本土であらゆる派閥の共産党幹部や富豪らと人脈を作り、財を成した政商。ライバルの不正を告発したことで身の危険を感じて2014年に米国に逃亡した。最近では、SNSで最高指導部現役幹部らの腐敗を次々と告発し、海外メディアの注目を集めている。

 中国政府は、大物幹部の汚職に関与したなどの容疑で、国際刑事警察機構(INTERPOL)を通じて、郭氏を指名手配した。米政府には身柄の引き渡しを求めている。

 このたびのWSJの報道によると、中国の一団は5月下旬、郭氏のニューヨークの自宅を訪れて、郭氏に対して「過激な行為(幹部の告発)」を止め、中国へ帰国するよう、数時間にわたり説得した。交渉を率いたのは劉彦平・国安部規律委員会トップだと郭氏は主張する。

 一団は交渉条件として、郭氏の凍結資産の規制解除、家族の安全を提案したが、郭氏が首を縦に振らなかった。郭氏はこのやりとりを録音し、SNSに一部公開した。そこで郭氏は、劉彦平・規律委員の交渉に応じたのは、自分の妻の出国許可をほのめかされたためだったという。

中国国安部の一行、FBIに追跡される

 報道は消息筋の話として、米連邦調査局(FBI)の捜査官が4人をニューヨーク市内の駅で職務質問したところ、一行は文化事務関係の外交官だと偽った。後に諜報員であることを認めた。FBIは、4人が所有するビザは公務執行を認めるものではなかったため、違反行為のため国外退去を命じた。

 2日後、一行は再び郭氏の自宅を訪れた。これを受けて、ニューヨーク検察当局は旅券法違法、恐喝の容疑で4人を起訴する準備に入り、FBIが空港で逮捕に踏み切ろうとした。しかし、WSJによると、「外交危機に陥ることを懸念」した米国務省が介入し、阻止した。当日午後、劉氏らは中国系航空会社の航空便で中国に帰った。 

 司法省の関係者はWSJに対し、「米国では、外交官や領事官員以外の外国籍の個人が、法務長官に事前通知することなく、外国政府の代理人として行動するのは犯罪だ」と述べた。

 同紙が消息筋の情報として伝えたところによると、トランプ米大統領は当初、中国政府の要求に応じて、郭氏を国外退去させる意向だったが、側近らが、郭氏を返すと、中国政府との交渉カードを失ってしまうと説得し思いとどまらせたという。

 郭氏は今年9月に米国亡命を申請している。

(翻訳編集・叶清)