LEXUS LS500h “version L” (マンガンラスター) (写真: トヨタ自動車の発表資料より)

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 トヨタは10月19日、レクサスLS500とLS500hをフルモデルチェンジして発売開始した。2006年の発売以来一度もフルモデルチェンジしていなかったが、10年もの時を経てやっとという感じだろうか。しかし、レクサスLSと言えば最上位モデル。長年あたためてきた技術の公開ともなるわけで、期待がかかる。

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■レクサスLSの変更点は?

 新たなTNGA適応プラットフォーム「GA―L」を採用し、アルミ部材を積極的に使用、低重心に仕上げている。スタイルもクーペシルエットにこだわったようだ。ボディの塗装技術や内装など、匠の技術も取り入れられている。パワートレインは、新開発のV型6気筒3.5Lツインターボエンジン(10速AT)とV型6気筒マルチステージハイブリッドシステム(10段変速制御)となっている。

■世界初、自動ハンドル操作も行い衝突回避

 世界初となるトヨタの先進安全技術。それは、走行中に歩行者などとの衝突を回避するため、自動ブレーキと同時にハンドルを自動で操作する新たな予防安全技術である。

 これまでのミリ波レーダーと単眼カメラで構成される「レクサスセーフティシステム+」は、単眼カメラをステレオカメラに換え「レクサスセーフティシステム+A」にバージョンアップしており、前側方レーダーと後側方レーダーなどの追加により、プリクラッシュセーフティ(歩行者注意喚起・アクティブ操舵回避支援)の機能をアップさせている。

 従来は、警報→ブレーキアシスト→自動ブレーキで衝突の回避と被害軽減をアシストしていたが、世界初の「歩行者注意喚起」と「アクティブ操舵回避支援」が加わっている。「歩行者注意喚起」は、前方の歩行者と衝突する可能性をクルマが検知すると、大型カラーヘッドアップディスプレイに、歩行者がいる方向をアニメーションで表示する機能。「アクティブ操舵回避支援」は、自分の走っている車線内の歩行者や、ガードレールのような連続した構造物と衝突する可能性が高くなった際、ブレーキ制御だけでは衝突回避が困難かつ操舵制御によって回避ができるとシステムが判断した場合、警報とブレーキ制御に加え、自動で操舵制御を行う機能である。

 また、前側方レーダーにより、交差する車両が接近してくる方向を大型ヘッドアップディスプレイで注意喚起するフロントクロストラフィックアラート(FCTA)も追加装備されており、これも世界初であるという。出会い頭事故は追突事故に続き、2番目に多い交通事故で、大半が交差点で起こっていることから、ユーザーにはありがたい機能である。

 この他にもレクサスLSにはいくつかの技術が搭載されているが、トヨタは自動運転技術がより確実となるまで、これらの機能をあくまで運転支援という位置づけとしていることには賛成である。自動運転技術が日々進化していることは間違いないが、技術レベルが未熟であり、各社まちまちの機能で実験段階であるといっても良い。一方で、事故回避には大きく貢献できているデータも出てきており、ユーザーもより関心を持って評価していかなければならないだろう。