【頑張らなくても楽しい。COFFEE 1/365days】

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奥深きコーヒー道を歩み続けられるかは実は一歩目の“ハードルの低さ”にかかっている!

カジュアルな飲み物なのに嗜好性が高く、とても奥が深いコーヒー。苦い、でもなぜか美味しい。ワンモアコーヒーください!と世界の大人たちが今日もどこかでコーヒーを嗜んでいる。でもちょっと待って。「コーヒーってなんとなく美味しい」と、見た目や雰囲気で飲んでいませんか。その美味しいの秘密、少しでも解決できれば明日のコーヒーがもと美味しくなるはず。極めずに知るだけ試すだけ。頑張らずに通っぽいノウハウを手に入れよう。

ハンドドリップの道は1日にしてならず……でも近道OK



コーヒーを淹れる基本形にして、もっともスキルが求められるハンドドリップ。元々はドイツ・メリタが“ペーパードリップの祖”と言われており、時を経て日本国内でも普及。今ではカリタ・HARIOなどが世界的にも有名なコーヒーメーカーにまで成長した。メリタから始まるペーパードリップの歴史は数多くの進化を遂げ、2014年には日本コーヒー界の古参、キーコーヒーが参入するなど、今なおドリッパーの新製品が開発されている。

そんなペーパードリップのドリッパーはメーカーによって形状が異なる。まず大きく分けられるのが台形か円錐形かどうか。前者はカリタ・メリタが代表的で、後者はHARIO・キーコーヒーが挙げられる。次に抽出穴の数。小さな穴がひとつのメリタ。大きな穴がひとつのハリオとキーコーヒー。小さな穴が3つのカリタに分けられる。さらにドリッパーに施された溝をリブと呼ぶが、このリブがすべての製品で異なるからドリッパーは奥が深い。形状・穴・リブが三位一体となって味の方向性を決め、さらには淹れる人の技量でも変化する。もちろん使用する豆や焙煎、挽き方も関係してくるので、完璧なコーヒーはプロでも難しい。ましてや普通のコーヒー好きであれば、いくら時間があっても足りないだろう。そもそも大変過ぎる。

そこで“頑張らない”ハンドドリップとしては、まずメーカーが推奨する淹れ方をマスターして、それっぽく仕上げるペーパードリップ超入門を推奨する。すべては基本にあり、自社の製品をよく知るメーカーの方法であれば、できる限りのポテンシャルを引き出すことができるはず。手順ではとくに湯温(お湯が何℃か)湯量(サーバーの目盛りを参考に)時間(どれくらいの時間を蒸らすか)を知ってほしい。これだけで自己流のハンドドリップよりも格段に味が向上するだろう。慣れるまではこの3点を意識してみよう。

カリタ式は「中粗挽き」で淹れる



【カリタ式ドリッパーならコーヒーの雑味をカット】

カリタ式ドリッパーは台形型の三つ穴構造。溝はストレートで、ドリップしたお湯は短い時間で粉を通過していく。カリタ式ドリッパーで淹れたコーヒーの特徴は、コーヒー豆に含まれる雑味を出さずに、美味しさだけを抽出できること。さっぱりとしながらも、しっかりとコーヒーの味わいが楽しめるという点で人気のドリッパーだ。

カリタ式ドリッパーでコーヒーを淹れる時のポイントは、豆を中粗挽きにすること。別名「カリタ挽き」と呼ばれるこの挽き方は、カリタ式ドリッパーやフィルターとの相性が良いとされ、メーカーでも推奨している、中挽きよりやや粗めの挽き方。中粗挽きのコーヒー粉を10g(1杯分)用意する。ドリッパーにペーパーフィルター、コーヒー粉をセットし、お湯が均等にかかるように軽く揺すって平らに慣らす。92℃のお湯を粉の上にそっと乗せる感覚で、ゆっくりと粉全体に浸透させていく。粉全体にお湯が浸透したら、ドリップをやめて粉が膨らんでくるのを30秒程度待つ。30秒間蒸らすことで、その後のドリップが粉全体に行き渡りやすくなるので重要だ。あとは数回にわけてドリップして1杯分のコーヒーを抽出すれば完成だ。



カリタ

102-D

実勢価格:321円

 

カリタ式ドリッパーは3つ穴タイプのため、抽出スピードが早い。味の傾向は、あっさりとしながらも、しっかりとコーヒーの味わいが感じられる日本人好みの仕上がりに。

メリタ式は「お湯を一度で」注ぐ



【メリタ式ドリッパーなら誰でも簡単に美味しく】

メリタ式ドリッパーはカリタ式ドリッパーと同じ台形型でストレートな溝を採用しているが、抽出穴の数はカリタの3つ穴に対して1つ穴となっている。この抽出穴が1つであることで、抽出スピードをドリッパーでコントロールできるようになっている。どんな人がドリップしても美味しいコーヒーができあがるというのが、このドリッパーの最大のウリ。要は、お湯を丁寧にドリップしなくてもいいというわけだ。極端な話、ドバドバとお湯をドリップしても、ドリッパー側でじっくりと抽出を行ってくれる。

メリタ式ドリッパーで淹れる際のポイントは、コーヒー粉を8g(1杯分)とやや少なめにすること。1つ穴でじっくりと抽出を行うため、コーヒーの味が濃くなりがちなところを豆の量で調整することが重要。ペーパーフィルター、コーヒー粉をドリッパーにセットしたら、粉を平らに慣らし、お湯を粉全体を湿らせるようにかけ、30秒程度蒸らす。その後は、ドリッパーの杯数分の目盛りまで一度にお湯を注いでいく。その際、円を描くようにお湯を注ぐ必要はなく、真ん中目がけて注ぎ続ければOK。あとはドリッパーが抽出を終えるのを待つだけだ。



メリタ

コーヒーフィルター SF-M 1×2

実勢価格:498円

 

1つ穴が特徴のメリタ式ドリッパーは、じっくりと時間をかけて抽出する。やや濃いめのしっかりとしたコーヒーの味わいはメリタ式抽出だからこそ生まれる。

HARIO式は「速度で味のコントロール」ができる



【プロも使用するHARIO式で本格的なコーヒーを淹れる】

円すい形で1つ穴、そしてスパイラル形状の溝が特徴のHARIO式ドリッパー。このスパイラルな溝によって、ドリップされたお湯は中心に向かって滞留しながら流れていく。そのため、お湯と粉の触れる時間が長くなり、しっかりとコーヒーの成分が抽出される仕組みだ。HARIOのドリッパーで淹れたコーヒーは、ネルドリップのようなまったりとした味わいと評されるのも、粉の成分をストレートに抽出してくれるから。また、大きめの1つ穴は、お湯を注ぐスピードによって、速ければ薄めのコーヒーに、遅ければ濃いめの仕上がりにと、味のコントロールが可能であることも大きな特徴で、プロの使用率も高い。

淹れ方のポイントは、ゆっくり丁寧にドリップすること。そうすることで、しっかりとコーヒー成分を抽出できる。中挽きのコーヒー粉を10〜12g(1杯分)をペーパーフィルターに入れ、お湯を粉全体が湿る程度に注いだ後、30秒程度蒸らす。抽出時間は3分を目安に、数回に分けてドリップする。その際、中心からゆっくり円を描くようにして注いでいく。ドリップの腕が試されるドリッパーだけに、上手くできたときの美味しさは格別だ。



HARIO

V60コーヒードリッパー&ペーパー

実勢価格:918円

 

HARIO式ドリッパーは円すい形の1つ穴タイプ。ドリップスピードによって薄味にも濃い味にもなるが、丁寧にドリップすることで深みのあるコーヒーになる。

キーコーヒー式は「抽出ムラ」が出にくい



【ダイヤカットが均一でムラのないを可能にした】

キーコーヒーの「クリスタルドリッパー」は、HARIOと同様に円すい型で1つ穴だが、溝ではなくダイヤカットと呼ばれる凹凸のリブを採用しているのが最大の特徴だ。これはデザイン的な見栄えを重視したものではなく、ペーパーフィルターとドリッパーが360度均等な状態で触れることによって、均一な抽出ができるとともに、抽出スピードを最適なものにしてくれるというメリットから採用されたもの。もともと器具メーカーではなかったキーコーヒーが、いかにハンドドリップ抽出を失敗のないものにするかという点から、開発が進められた意欲作。ハンドドリップビギナーでも美味しい一杯を淹れられる。

中挽きのコーヒー粉10g(1杯分)をドリッパーにセットしたペーパーフィルターに入れ、お湯を粉全体にしみ込むように注いだら、粉の表面からポツポツと穴が空き、それが落ち着いてくるまで、だいたい20〜30秒程度待って蒸らす。その後、数回に分けて、中心からゆっくり円を描くようにドリップをして、サーバーに杯数分のコーヒーが溜まったら、ドリッパーを外して完成。抽出ムラのないバランスの良いコーヒーができあがる。



キーコーヒー

KEY Noi クリスタルドリッパー

実勢価格:594円

 

ダイヤカットのリブによって、抽出ムラのないコーヒーを実現するクリスタルドリッパーは、程良い苦味と酸味、そしてコクの調和が取れた味わいとなる。

※『デジモノステーション』2017年11月号より抜粋。

text早坂英之

photo小川賢一郎