「リクルーター」は就活生にどんなアプローチをしてくるのか? (写真:Taka / PIXTA)

今年も残すところ2カ月。来年の3月にはいよいよ、2019年卒業予定の学生(今の大学3年生)に向けた、採用広報活動がスタートします。

リクルーター活動の裏側とは


現在、2019年卒予定の学生の中には、就職活動開始までの時間を利用して、興味のある企業のOB・OGを訪問したり、あるいは夏のインターンシップ先企業の「リクルーター」からアプローチを受けたりしている学生もいるのではないでしょうか。

そもそもリクルーターとは、人事担当者とは別に、志望学生と直接コンタクトを取りながら採用活動に携わる人々を指します。では、彼らはどのように学生を見て、採用活動につなげているのでしょうか? 企業による新卒採用の支援の一環として、リクルーター活動のコンサルティング、面接のトレーニングなどを行う立場から、企業のリクルーター活動の裏側をお話しします。

リクルーターは、近年、多様化しており、OB・OG訪問に対応してくれる先輩社員を含めて、彼らは、大きく以下の3つのタイプに分けることができます。

1.ハンター型

昔からいるタイプのリクルーターです。大学生の保護者世代は、リクルーターと言えば、このタイプをイメージする方が多いのではないでしょうか。社内で新卒採用要員として動員されており、採用候補の学生を”見極める”こともあります。メーカーや金融などに多く、リクルーターの数が500〜1000人に達する企業もあります。

中には、一定期間、リクルーターを人事部に異動させて、採用活動に専念させる企業もあるほど。入念なインプットやトレーニングを施したうえで、採用広報活動解禁時期の3月、あるいはその前から、学生に接触し、積極的な面談活動を行うのが特徴です。

2.OB・OG型

学生がOB・OG訪問をする相手のこと。企業に対して学生が「訪問したい」と接触してきた際に対応するので、基本的にOB・OG側からの接触はありません。社員と学生との接触については、人事部が関与していないことも多く、個人的に、接触してきた学生の企業研究、業界研究を助けようと思っている人が多いと言えるでしょう。商社などは、ハンター型や後述のメンター型より、OB・OG型を中心に据える傾向があります。

学生の入社を”動機付ける”のも役割

3.メンター型

採用活動の過程で、有望な学生に対して、企業が引き合わせるタイプのリクルーターです。インターンシップや選考プロセスの中で「この学生はウチに合っているかも」と思った学生に対して接触するのがこのパターン。ハンター型よりも後の時期から活動する傾向があります。

会社の規模によって異なりますが、1社あたりのリクルーター数は10人前後〜30人未満であることが多いです。学生の企業に対する疑問の解消や、企業理解を促進するメンター的な役割を負っていて、いわば学生を”動機付け”する立場。近年、増えてきているタイプです。

リクルーターのタイプによって、その役割や立場、発言内容が異なります。「ハンター型」リクルーターの場合、うまく行けば選考プロセスに進めることもあります。採用に関わるミッションを負っていることから、面談では人を見極める目的が色濃く出ます。学生にしてみると、自身について根掘り葉掘り聞かれ、緊張感が生まれる場のようです。

採用に影響するのではないかと、福利厚生や会社のワークライフバランスに関して、なかなか聞きづらいかもしれません。しかし、「自社に本当に合っているのか?」ということも、彼らにとっての大事な見極めポイント。たとえば、お客様とのシビアな折衝について来られるか、なども会話の中から探っているのです。

そう聞くと、ちょっと気後れしてしまうかも知れませんが、入社後のミスマッチを望まないのは、学生の皆さんも同じ。仕事が厳しそうだと感じたり、気になったりすることがあれば、むしろそれを口にし、詳しく聞いてしまいましょう。その一歩の踏み込みが、自分とその企業や仕事とのマッチ度を測ることに繋がるでしょう。より具体的な働き方等に関する質問は、その企業への関心の高さを表現できる効果ももたらします。

「メンター型」のリクルーターも、ハンター型ほどではありませんが、一定の研修を受けて準備をしています。学生の気持ちに寄り添ってくれる心強い存在ですが、学生を見極めるよりも、動機付けの役割が強いようです。基本的に企業の採用活動のサポートをする立場なので、選考や採用の可否に関する不用意な発言は人事に口止めされていることが多く、慎重な発言に終始する人も少なくありません。

本音に近い部分で話を聞きたい場合は、後ほど説明をしますが、聞き方を工夫する必要がありそうです。そのかわり、就活における悩みを解決する手助けをしたり、自分が就活をしたときの経験などを教えてくれたりすることが多いようです。

ほんの少しの工夫で情報を引き出す

「OB・OG型」のリクルーターは、そもそも採用とは無関係に学生と会っていることもあり、さほど構えずに”素”で語ってくれる傾向があります。お互いに利害なく話ができるので、どんな質問もしやすく、相手も本音で答えてくれるでしょう。3者の中で一番いろんな種類の人がいるのもこのタイプ。会う人の仕事にもよりますが、採用活動から遠い所にいるということもあり、採用選考に関する正確な情報はあまり引き出せないかもしれません。

就活前に会える社会人の3タイプそれぞれによって、面談の雰囲気や質問に対する答えには特徴があります。注意してみると、相手がどのタイプなのか、わかることもあるでしょう。

OB・OGも含めたリクルーターとの接触は、就活が本格化する前に、その企業で働く人と会えるチャンス。直に話ができる機会を生かさない手はありません。しかし、質問の聞き方や、質問に対する回答のとらえ方を間違えると、悪印象を与えてしまったり、企業に対して間違ったイメージを持ってしまったりすることもあります。

ほんの少しの工夫で、得られる情報が全く変わってくるので、それを意識した方がよいでしょう。まず意識しなければいけないのは、あくまで「個人」に話を聞いているということです。

リクルーターを配置している企業は、リクルーターに対してまとまった時間を取って、研修を行うなど、入念な準備をしています。学生に対して、自分の企業や仕事についてわかりやすく話をするため、自分の社会人経験について振り返りをさせ、それを自分の言葉で語れるようにするトレーニングをしていたりします。彼らが語る自社の魅力は、実感のこもったその人自身の言葉だと言えます。しかし、逆に言えば、あくまでも一社員の見解だということも心に留めておきましょう。

たとえば、リクルーターから夜中や休日にメールが来たら、「こんな深夜まで残業しているんだ」「休日出勤が当たり前なのかな?」と、心配になっていないでしょうか。しかし、特にOB・OGなどは、個人の好意で動いている人も多く、その側面だけで、会社全体の傾向を判断しようとするのは性急です。

仲良くなってきたら、「今日はお仕事で来ていただいているのですか?」と正面から尋ねてみることで、意外と率直に答えてもらえるものです。

リクルーターが若手社員の場合、企業全体の動向までは把握しきれていないことも多く、「御社の事業戦略について教えてください」など、全体を俯瞰した質問に答えられないこともあります。そんなとき、「ああ社員の意識が低い企業だ」と決めつけてしまう学生も少なくありませんが、それも少々性急といえるでしょう。

「働き方改革」や競合他社への質問は?

とても大きな企業や、相手が若手社員なら、その人ならではの意識について尋ねてみるのがお勧めです。たとえば労働環境が気になるなら、「働く個人として『働き方改革』についてどう思われますか?」と聞いたとしましょう。その企業の働き方改革の全体像は、人事や経営陣でないと語れないかもしれませんが、そこに所属する1人としての捉え方や感じ方は、どんな立場の人でも答えることができます。企業HPに書いてあるようなことや、お決まりの話よりも、得るものが大きいのではないでしょうか。

また同業他社との違いを知りたい際に、「A銀行とどう違うのですか?」とストレート過ぎる聞き方をすると、やや上から目線に聞こえてしまいがちです。そこで、「営業の場面で同業のA銀行とバッティング(競合)したときは、どういう理由で御社が選ばれているのですか?」といった具合に聞き方を工夫することで、誤解なく意図が伝わり、リアリティのある話が聞けるようになったりします。

大学3年生の皆さんは、今からなるべく多くの企業の人と会っておくと良いと思います。さまざまな企業の人とこれほど密にコンタクトできる機会は、社会人になってからもなかなかあるものではありません。一種の社会勉強として、「仕事とは」「働くとは」「仕事の楽しさ」といったことを、なるべく多くの社会人に語ってもらうことで、自分の中の仕事観はより広がり、より深まるでしょう。

OB・OG訪問もとても大切です。「ハンター型」「メンター型」のリクルーターとの接点がなければもちろんのこと、接点がある人も、積極的にOB・OG訪問の機会を作り、企業や仕事についての理解を深めてもらいたいと思います。