東京モーターショー開催の前夜、都内高田馬場のマツダディーラーで、そのショー・メイン車種となるマツダ「VISION COUPE」が世界の報道陣にお披露目されました。

本来は、東京国立博物館法隆寺宝物館で前々日にお披露目の予定でしたが、台風の影響で急遽場所を変更しての開催となったのです。なんとしても、このクルマをいち早く世界に届けたいというデザイナーたちの気持ちと、それを実現させてあげたい広報担当者、そしてその思いを受け止めた販売現場の思い。ものづくりの始まりから終わりまで一貫した考えという、現在のマツダの成功原因とも言えるものを期せず見せてもらったように思えます。

VISION COUPEは、ご覧の通り4ドアクーペとも言える流麗なフォルム。単に美しいと思わせるのですが、その構成する面は実は単純じゃないと言います。

原点は、日本の美学と言える引き算の美学。現在の美学はものが偏りすぎ、美意識の根底にあるものをクルマで表現していきたいという思いから始まっています。

それを実現すべく、余白を生み出す。ボディ全体から要素を削り落としていくことは、デザイナーにとって我慢との戦い。結果、残った部分に光と影を創作するものでした。そうして出来上がったのは、フロントセンターからリヤへの軸を一本に合わせたワンモーションフォルムが特徴。書道のストロークのような反りを表現。これは、日本刀や日本建築の屋根、東京スカイツリーにも見られるといいます。

そこで作り上げられた「面」は、手作りにこだわりながらもそれでもできない部分、常に曲率が連続して変化するところではどのような映り込みになるのか想像ができないため、この部分はデジタルシミュレーションが取り入れたそうです。

インテリアは人とクルマの一体感を狙いながら、タイトでもなく緩やかに包まれる空間を目指しています。空間を閉鎖せず、日本家屋の「間(ま)」の考え方を取り入れました。壁のようなモニターにせず、シースルーのスクリーンも開発しています。

一昨年の東京モーターショー2015に登場したRX-VISIONは、2ドアのクーペボディであり、RXというネーミングからもロータリーエンジンを搭載するスポーツカーとみんなの目に映ったはずです。

言い換えると「このRX-VISIONが次の魂動デザインです」と言われても、実用的な車両には無理があるんじゃないか?と思わせたのも事実です。そして、2年の歳月を経て創り続けられたというVISION COUPEはクーペと言いながら4ドアボディの4〜5名乗車可能なセダンです。

このVISION COUPEのお披露目によって、RX-VISIONと合わせ本当の意味での次世代マツダ魂動デザインの方向を示されたと言えるのではないでしょうか。

デザイン・ブランドスタイル担当の前田郁男常務執行役員は、これらを「艶と凛」と表現しています。

今回、新たに披露された11枚の鉄板から作られたとは思えないデザインピースは、通称「羅針」。

まさに、魂動デザインが目指す方向がマツダ内部で見えてきたのかも知れません。

(clicccar編集長 小林 和久)

【東京モーターショー2017】これが次の魂動デザイン、マツダ「VISION COUPE」(http://clicccar.com/2017/10/25/524011/)