『実践 ポジティブ心理学〜幸せのサイエンス(PHP新書)』(前野隆司/PHP研究所)

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 心の病気ではないと思うけれど、最近ぐずぐずと調子が悪い。心療内科や精神科で病名はつかなかったが、暗い気分が続く。そんな病気ではないけれど元気でもない心に役立つ「ポジティブ心理学」が今注目を集めている。

 これまでの臨床心理学が心の病に対処するものだったのに対して、ポジティブ心理学は病気になっていない段階、つまり「未病」の人々がどうすればもっと幸せになれるのかを追究する学問。科学的根拠に基づいており、ハーバード大学やスタンフォード大学の講義でも大反響だったという。

 心が晴れない人が前向きになり、そこそこ幸せな人はよりハッピーになれるという画期的な「心の予防医学」。これを分かりやすくまとめたのが本書『実践 ポジティブ心理学〜幸せのサイエンス(PHP新書)』(前野隆司/PHP研究所)だ。

■幸せになりたいなら、4つの因子を満たせばいい

 そもそも日本人は脳内の神経伝達物質であるセロトニンが不足する傾向があり、不安を抱きやすい。それゆえかストレスに弱く、生きづらさに苦しむ人も多い。「自分は幸せじゃないな」と感じている人が少なくないのだ。

 病気ですらないこのうっすらとした「不幸感」に打つ手などないかと思いきや、研究によれば明確な処方箋が存在するという。幸せは4つの因子で構成されており、不幸だと感じているならそのどれかが足りていない。そして不足した因子については、それぞれの育成法があるという(但し、因子が欠けていても不幸だと感じない場合もある)。

 4つの因子と、それが足りない場合のエクササイズを一部、紹介しよう。

1「やってみよう!」因子(自己実現と成長の因子)→自分の夢、強み、目標を書き出す
2「ありがとう!」因子(つながりと感謝の因子)→寝る前に感謝を3つ書く
3「なんとかなる!」因子(前向きと楽観の因子)→ネガティブな出来事を、ポジティブに書き換える
4「ありのままに!」因子(独立とあなたらしさの因子)→ないと困る物(例えば財布)を使わないで過ごしてみる

 まずは本書の「幸福度テスト」に解答してみよう。すると自分にどの因子が欠けているのかがわかる。あとは自分に必要なそれぞれの対処法を実行するのみだ。ここに書かれた以外にも、様々な方法が紹介されている。

 ポジティブ心理学は個人の幸福が最終目的だというが、個人を幸せにするためにはそれをとりまく学校や会社、地域社会が幸せである必要があり、この研究はまちづくりや商品開発などにも応用されている。4つの因子を満たしたコミュニティとは、経営とは?! ポジティブ心理学の深化と進展から目が離せない。

文=青柳寧子