「Thinkstock」より

写真拡大

●投資をしたいけど、始められない人たち

 投資に関するセミナーやファイナンシャルプランナー(FP)への相談などでよく聞く悩みが、「投資をしたい、しなくちゃ、とは思うんですけど、なかなか始められないんです」というもの。友達が投資でもうけたらしい、老後のために投資をしたい、数百万円が普通預金に預けたままになっている。このままではよくない、と思っていても行動に移せない。理由はたぶん3つ。

(1)今、投資を始めなくても、別に困らない
(2)手続きが面倒だし、よくわからない
(3)何をどう買えばいいかわからない

 その通り。別に投資をしなくても、今は困らない。でも、はっきり言おう。今は困らなくても、将来困る。投資は将来のためだから。どう困るか。せっかく貯めたお金がどんどん目減りすることになる。

●投資しないと増えない、だけじゃない

 前回は、投資しないとお金が増えないとお話しした。でも、実は投資しないと減るのである。

 日本は1991年頃からずっと20年以上、物価が上がらない状態、つまりインフレがない状態を経験してきた。これは世界で日本だけ。世界中が驚いている。そんなときは、現金や預金の価値は減らないから、投資をしなくても全然困らなかった。

 でも、日本の経済が元気になって物価が少しずつ上がり始めたらどうなるか。ちなみに、筆者の自宅の近所には有名なたい焼き店があるが、7〜8月の暑い盛りは店を閉じ、少し涼しくなって9月に再開する。ところが、この前まで1個125円だったのが130円になっていた。5年前は120円だから、じわじわ上がっている。

●物価上昇率が2%で、貯金金利が0%だったら、貯金はどんどん目減りする

 物価が年2%上がるということは、1年でお金の価値が2%下がること。去年の生活費は年300万円だったけど、同じ生活をするには+2%の306万円かかるということ。これが10年、20年、30年以上続いたらどうなるだろう。

 40歳で貯金400万円の人が月4万円(年48万円)をずっと貯めていき、65歳から年90万円を引き出すシミュレーションをしてみた。物価上昇率が年2%で、預金金利が0%なら、実質の運用利率はマイナス2%となる。これと、物価上昇率と同じ利率で運用した場合(=実質金利0%)、物価よりも+2%で運用した場合の3つを比べてみた。

 同じ貯金の努力をしても、65歳での貯金は1084万円、1510万円、2136万円。インフレがなかったら1500万円貯まるところ、インフレ2%だと実質1000万円にしかならないということ。

 さらに、65歳から年金生活になって、年90万円を引き出すと、-2%の人は76歳で貯金が底をつくが、+2%なら75歳でまだ1700万円あり97歳まで貯金を持たせることができる。なんと、20年以上の差になる。将来困らないためには、今から投資を始めて、生きる限りずっと運用を続けることが大切です。

●インデックスファンドで積立しなさい!

 では、どうすればいいか。FP歴20年以上の私は、15年前からずっと同じことをお勧めしている。それは、以下の2つだ。

・投資信託で積立しなさい
・シンプルなインデックスファンドから始めなさい

 実際にインデックスファンドで積み立てていたら、どうなったか。見てみよう。便利なシミュレーションツールを見つけたので紹介する。野村アセットマネジメントの投資信託の積立シミュレーションツール「Funds-i(ファンズアイ)」だ。

 同社が扱うインデックス型の投資信託で、「過去●年積み立てたらどうなっていたか?」という試算ができる。同じタイプのインデックスならほかの会社のインデックスファンドでもほぼ同じ結果になる。もちろん、過去のデータで試算した数字だから、今後の5〜10年を保証するものではない。でも参考になるから見てみよう。

<ケース1:10年間積み立てたら>

 07年9月から17年8月まで10年(120カ月)、毎月1万円、つまり元本120万円を積み立てていたら、こうなった。

・日本株のインデックスファンド(日経225)
120万円→192万円(利回り:8.7%)

・外国株のインデックスファンド(MSCI-KOKUSAI指数)
120万円→233万円(利回り:12%)

・新興国株式
120万円→184.4万円(利回り:8%)

・外国債券
120万円→154.8万円(利回り:4.9%)

<ケース2:5年間積み立てたら>

 12年9月から17年8月まで5年(60カ月)毎月1万円、つまり元本60万円を積み立てたら、こうなった。

・日本株のインデックスファンド(日経225)
60万円→76.5万円(利回り:9.9%)

・外国株のインデックスファンド(MSCI-KOKUSAI指数)
60万円→81.8万円(利回り:11.7%)

・新興国株式
60万円→77.8万円(利回り:9.9%)

・外国債券
60 万円→66万円(利回り:3.7%)

 シンプルに投資信託で毎月積み立てていたら、過去10年で約5〜12%の利回りを実現できたことになる。

●テクニックはいらない、積み立てるだけ!

 もう一度、数字を見てみよう。どのカテゴリー(日本株、外国株、新興国株、外国債券)に投資していても、0.02%の普通預金よりもずっといい利回りで運用できている。積立期間10年の利回りは、日本株が8.7%、外国株が12%、新興国株が8%、外国債券が4.9%だ。

 もちろん、いつもうまくいくとは限らない。株式市場全体が落ち込んでいるとき、円高になって海外の株式も債券も(円に対して)値下がりしてしまったときは、利回りがマイナスになってしまうリスクもある。

 でも、一度にまとめて買わず、毎月積み立てることでマイナスになるリスクは小さくなる。値段が下がったときも積立をやめないで続けることで、値段が戻ったときには、さらに利回りがよくなる。投資のセミプロなら、これよりも高い利回りを出すことはできるかもしれない。でも、そうじゃない人は、インフレ率+2%以上なら十分。

 実際に投資してみて、おもしろくなったら、いろいろ研究して、投資信託の積立以外にも手を出してみるといい。実際にもうかると、ほかのこともやってみたくなるものだ。次回は、どの金融機関で買うか、どのファンドを選ぶか、具体的に見ていこう。
(文=中村芳子/アルファアンドアソシエイツ代表、ファイナンシャルプランナー)