黄海南道クァイル郡を現地指導した金正恩氏(2017年9月21日付労働新聞より)

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北朝鮮の金正恩党委員長“肝いり”の開発事業として、今年4月に完成した平壌市のニュータウン「黎明通り」。立ち並ぶ高層マンション群は「暖房は地熱利用だから寒さ対策はバッチリ」と宣伝されていた。

しかし米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が北朝鮮の情報筋の話として伝えたところでは、「実際には平壌火力発電所の廃熱が利用されている。発電所はエネルギー不足でいつ止まるかわからず、冬場の暖房がどうなるかは未知数だ」という。

この黎明通りや、同様のニュータウンである「未来科学者通り」も含め、北朝鮮の高層マンションについては、様々な構造上の欠陥が指摘されている。

とくに暖房が機能しないとなれば、極寒の北朝鮮においては大問題である。情報筋はまた「黎明通りのマンションの住人たちは、炊事のためにガスボンベを家に置いている人が多い。しかし爆発事故を防ぐための基本的な安全対策や検査が講じられておらず、いずれ大きな事故が起きないか心配だ」と語っている。

北朝鮮では、当局の強引な工期設定や手抜き工事により、マンションや橋梁などの崩壊事故が繰り返し発生。その度に多数の死者が出ている。

黎明通りや未来科学者通りは、金正恩党氏が目をかけるエリートたちのために建設されたにも関わらず、「安全無策」ぶりは相変わらずのようだ。

一方、両江道(リャンガンド)在住の情報筋によれば、「三池淵(サムジヨン)郡に駐屯している護衛総局の兵士たちが数ヵ月間、粉ミルクの配給を受けていない」という。護衛総局は文字通り、金正恩氏を身近で守るのが任務で、同氏専用の特殊なトイレの面倒も見ている。

(参考記事:金正恩氏が一般人と同じトイレを使えない訳

それだけに、国際社会から本来は子ども向けに支援された粉ミルクが、栄養補給用に優先的に配給されていたのだが、それが滞っているというのだ。

さらにこの情報筋は、「軍においても今年の夏から、家族分まで配給を受け取れるのは大隊長クラス以上に限られるようになった。中隊長以下は本人の分しかもらえていない。このように経済制裁の影響で、これまで配給を優先的に受けてきた層が、たいへんな苦労を強いられてる」と説明し、次のように締めくくった。

「北朝鮮の庶民の多くは、自分で畑を耕したり商売に励んだりして、苦労して食べ物を確保してきた。そういった人々の中には、『配給層(エリート)』が苦労する姿を見て、むしろせいせいした表情を見せる者も少なくない」