こんにちは、自転車で世界一周をした周藤卓也@チャリダーマンです。政治的なことを抜きにしても、国政選挙は「データの塊」で、知識を吸収することに飽きません。たとえば、東京の選挙区は全25ですが福岡は11、鳥取は2と、小選挙区の区割りは都道府県の人口に比例しています。岡山は「桃太郎」ではなく「龍太郎」、故・橋本龍太郎元首相の地盤だったり、岩手なら豪腕政治家・小沢一郎氏、神奈川というか横須賀は小泉純一郎元首相と息子の小泉進次郎氏、といった具合に、全国各地の有力議員は戦国時代の武将とも重なります。国政選挙の度に、知識を増やしてきました。こんな私ですから、今回の記事も閃いたのかもしれません。

◆選挙ポスター



唐突な感じでしたが、2017年(平成29年)10月22日の日曜日「第48回衆議院議員総選挙」が実施されました。ちょうど、私は東京で働いていました。毎日目にする掲示板の選挙ポスター。今までと同じ、いつものことで処理されるはずでした。それなのに、ふと他の選挙区のポスターのことが気になり出します。候補者にとっては一世一代の大勝負。いつも見かける選挙ポスターからも、その意気込みは伝わってきます。

だから、選挙区外の人にも伝わるように、インターネットで各候補者の選挙ポスターが閲覧できると思っていました。ところが、検索しても見当たりません。だったら、私がやってみようと思ったのが今回の記事のきっかけでした。そう思い立っても選挙まで1週間もありません。それでも頑張って21日、22日という週末の休日2日かけて、東京都の小選挙区、全25区の選挙ポスターが貼られた掲示板を写真に収めてきました。私が注目している(知っている)候補は個別のポスターの写真も撮っています。

一部政党については以下の略称を使用。表記の順番は掲示板の番号順(立候補届提出順)です。

自民=自由民主党

公明=公明党

希望=希望の党

立民=立憲民主党

共産=日本共産党

無所=無所属

◆東京1区

1:(希望)松沢かおる

2:(諸派)原口みき

3:(自民)山田みき【比例】

4:(諸派)マタヨシ光雄

5:(立民)海江田万里【当選】

6:(諸派)犬丸光加



前回の衆院選では民主党の代表でありながら落選と苦汁をなめた海江田万里氏。今回は見事当選。



「唯一神」を称する又吉イエス氏の選挙区でもあります。



◆東京2区

1:(自民)辻清人【当選】

2:(立民)松尾あきひろ

3:(希望)はとやま太郎



故鳩山邦夫氏の長男、鳩山太郎氏が希望の党から立候補しました。鳩山邦夫氏の選挙区だった福岡6区は次男の鳩山二郎氏が受け継いでいます。



◆東京3区【品川区の一部、太田区の一部、島嶼部】

この選挙区は、石原宏高氏と松原仁氏が毎回接戦を繰り広げる激戦区。今回は石原宏高氏の勝利。通算で石原氏の4勝2敗となりました。

1:(共産)香西かつ介

2:(自民)石原ひろたか【当選】

3:(希望)まつばら仁【比例】



石原宏高氏は元都知事、石原慎太郎氏の3男。この東京3区は石原慎太郎氏が自民党議員の頃に地盤にしていた選挙区。



7月の都議選で民進党の東京都連会長を務めた松原仁氏と、都民ファーストの会を率いた小池百合子氏が同じ党に属すという政治の妙理。



◆東京4区

1:(立民)井戸まさえ

2:(自民)平将明【当選】

3:(希望)ナンバみちよ

4:(共産)青山コウヘイ



◆東京5区

1:(立民)手塚よしお【比例】

2:(希望)福田峰之

3:(自民)若宮けんじ【当選】



◆東京6区

1:(自民)おちたかお【比例】

2:(立民)落合貴之【当選】

3:(諸派)中岡まき

4:(希望)うえまつ恵美子



◆東京7区

1:(自民)松本文明【比例】

2:(立民)ながつま昭【当選】

3:(希望)荒木あきひろ

4:(無所)井上いくま



長妻昭氏は「宙に浮いた年金記録」こと年金記録問題の追求で有名になったお方。



◆東京8区

1:(希望)木内たかたね

2:(無所)円より子

3:(諸派)斎藤いくま

4:(共産)おさない史子

5:(立民)吉田はるみ

6:(自民)石原のぶてる【当選】



国土交通大臣、環境大臣、自民党幹事長といった要職を務めた石原伸晃氏はこの選挙区。元都知事の石原慎太郎氏の長男。



どこかで見たことあった円より子氏は、かつて民主党の参議院議員を務めた方でした。



◆東京9区

1:(希望)高松さとし

2:(共産)原純子

3:(自民)すがわら一秀【当選】

4:(無所)前田吉成



◆東京10区

1:(希望)わかさ勝

2:(立民)鈴木ようすけ

3:(自民)鈴木隼人【当選】

4:(共産)岸良信

5:(諸派)吉井としみつ

6:(無所)小山徹



小池百合子氏の側近で希望の党立ち上げの中心だった若狭勝氏はこの選挙区。東京10区は小泉政権時の郵政選挙における刺客として当選してから、小池百合子氏の地盤となっていました。



◆東京11区

1:(希望)ししどちえ

2:(立民)まえだ順一郎

3:(自民)下村博文【当選】

4:(共産)小堤東



元文部科学大臣の下村博文氏。最近、気付きましたが「ひろふみ」ではなく「はくぶん」というお名前。



◆東京12区

1:(諸派)中村勝

2:(共産)池内さおり

3:(公明)太田あきひろ【当選】



公明党の元党首、元国土交通大臣の太田昭宏氏。



共産党の若手、池内沙織氏は安倍首相を批判するパフォーマンスで名を馳せました。



前職2名の隣で異彩を放つ「議員報酬ゼロを実現する会」のポスター。



◆東京13区

1:(共産)そぶえ元希

2:(自民)かもした一郎【当選】

3:(立民)北條智彦



元環境大臣の鴨下一郎氏。



◆東京14区

1:(希望)やはぎ麻子

2:(共産)あとう和之

3:(自民)松島みどり【当選】

4:(諸派)せいいみほ

5:(無所)大塚紀久雄



元法務大臣の松島みどり氏。うちわ配布問題は物議を醸しました。



◆東京15区【江東区】

1:(共産)吉田としお

2:(希望)柿沢未途【比例】

3:(無所)いのたかし

4:(自民)あきもと司【当選】



民主党、みんなの党、結いの党、維新の党、民進党、希望の党と渡り歩く柿沢未途氏。維新の党では幹事長の要職に就くなど、動向を注目しておきたい政治家の一人。



◆東京16区

1:(自民)大西ひでお【当選】

2:(立民)初鹿明博【比例】

3:(希望)田村けんじ



「何やってんだこの人」と首を傾げたのですが、結局は注目を浴びたもん勝ち。どの候補も似たり寄ったりの選挙ポスターを手がける中、初鹿明博氏だけはCDジャケットのような選挙ポスターを貼っていました。



◆東京17区

1:(共産)新井杉生

2:(自民)平沢勝栄【当選】

3:(希望)西田ちから



「比例代表も自民党へ」が目に留まった平沢勝栄氏。東京選挙区自民党候補の中でも、彼だけは公明党の推薦がありません。この東京17区、もとは公明党が強い選挙区で、平沢勝栄氏と公明党の現代表である山口那津男氏は過去に議席を争っています。山口那津男氏は敗退後に参院へ転出。



◆東京18区

この選挙区は、民主党政権で首相を務めた菅直人氏と武蔵野市長を6期22年務めた土屋正忠氏が僅差の勝負を繰り広げる激戦区です。今回は菅直人氏の勝利。通算で菅氏の3勝2敗となりました。

1:(希望)ときた敦

2:(立民)菅直人【当選】

3:(自民)土屋正忠



菅直人氏。



土屋正忠氏。



◆東京19区

1:(希望)ささきりか

2:(共産)杉下茂雄

3:(自民)松本洋平【当選】

4:(立民)末松義規【比例】



◆東京20区

1:(自民)木原誠二【当選】

2:(希望)かのあきら

3:(共産)宮本徹【比例】



◆東京21区

1:(社民)小糸けんすけ

2:(希望)長島昭久【当選】

3:(諸派)天木直人

4:(自民)小田原きよし【比例】



共産党との共闘を否定した長島昭久氏は2017年4月、いち早く民進党を離党。希望の党の結党メンバー。



天木直人氏は小泉政権下でのイラク戦争で随分と騒がれた方。「さらば外務省!-私は小泉首相と売国官僚を許さない」という著作も有名。



◆東京22区

1:(立民)山花郁夫【比例】

2:(自民)伊藤達也【当選】

3:(希望)金ヶ崎絵美

4:(共産)阿部真



◆東京23区

1:(共産)松村りょうすけ

2:(自民)小倉まさのぶ【当選】

3:(希望)伊藤しゅんすけ【比例】



◆東京24区

1:(希望)吉羽美華

2:(自民)はぎうだ光一【当選】

3:(共産)飯田みやこ

4:(立民)高橋なりひさ



◆東京25区【青梅市・昭島市・福生市・羽村市・あきる野市・西多摩郡】

1:(共産)井上たかし

2:(立民)山下ようこ

3:(自民)井上信治【当選】

4:(希望)小沢さきひと



◆小池党首との2ショット

2017年7月の都議会選挙は、都知事である小池百合子氏が率いる都民ファーストの会の圧勝でした。第三極が躍進したそのままの勢いに今回の衆院選で国政へ進出。「希望の党」立ち上げも、右の保守、左の革新(リベラル)の合間を縫うような戦略だったと思っています。実際に今年行われたフランス議会総選挙では、そのような現象が起きました。

しかし、日本で新しい風は吹くことはなく、自民党は圧勝しました。戦後の大半で与党を務めた王者の貫禄を見せつけられる結果となりました。ただ、今回は景気も上向きという数字もありますし、支持される理由も分からなくはありません。

都知事を務める小池百合子氏のお膝元、東京全25の選挙区のうち、希望の党は23の区で候補者を擁立しています。その中で9人の候補者が、希望の党の党首でもある小池百合子氏との2ショット写真を選挙ポスターに利用しておりました。撮影料として3万円の請求があったと幾つものニュースが報じています。

1:東京4区・難波美智代氏



2:東京5区・福田峰之氏。



3:東京7区・荒木章博氏



4:東京8区・木内孝胤氏



5:東京9区・高松智之氏



6:東京11区・宍戸千絵氏



7:東京14区・矢作麻子氏



8:東京18区、鴇田敦氏



9:東京24区、吉羽美華氏



◆「比例も自民党へ」

選挙ポスターが貼られた掲示板を求め、都内を彷徨っていると、とある自民党候補者の応援演説に遭遇しました。ウグイス嬢が「比例は公明党」と繰り返していたのが印象的でした。自民党と公明党は連立政権を組んでいます。選挙協力も行っています。だから、公明党支持者が自民の小選挙区候補を応援する代わりに、自民党支持者は比例で公明党に投票するものばかりだと思っていました。

街頭の選挙演説。



しかし、これは絶対ではないようです。東京選挙区では多くの自民党候補者の選挙ポスターに「比例代表も自民党へ」という記載がありました。公明党支持者の選挙協力は必要ないのでしょうか。

一例として、東京7区・松本洋平氏



一方で、東京2区・辻清人氏、東京9区・菅原一秀氏、東京14区・松島みどり氏、東京15区・秋元司氏、東京16区・大西英男氏は自民党候補者でしたが「比例代表も自民党へ」という記載がありませんでした。記載がないのは、公明党支持者への配慮でしょうか。たとえば菅原氏は、今回の衆院選で次点の候補者に2倍近い大差をつけて当選していました。

◆掲示板の場所

東京は電車でどこにでも行けるので「一日で大丈夫」だと軽く考えていました。下調べも十分にせず、スマホで何とかなると甘くみてました。ところが、いざやってみると苦難の連続。

八王子市(東京24区)、調布市(東京22区)、多摩市の聖蹟桜ヶ丘(東京21区)といった辺りは駅のすぐそばに掲示板があって簡単でした。ほぼ神奈川県である東京23区の町田市は聖蹟桜ヶ丘駅から多摩市役所を路線バスで往復することでクリア。多摩市の大半は東京23区です。

調布駅界隈。



そうした出だしは順調でしたが、都区内に入ると状況が一辺。駅に降りても掲示板が、そう簡単に出てきません。適当に歩けばそこら辺にある訳もなく、スマホで駅近くの「小中学校」「公園」を探しては訪問を繰り返していました。

「投票所」にもなる小中学校に行けば選挙ポスターの掲示板は見つかります。



◆感想

計画した時点では曇りの天気予報でした。それなのに、当日といったら雨。降りしきる雨。「止めだ、止め」「お家でぬくぬくしたい」という葛藤がありながらも、次回のチャンスはいつでしょう。もしかしたら、誰か同じネタをやるかもしれません。それでは困ります。面白い記事になりそうという期待はありました。家を飛び出しまた。

雨の中電車に乗りまくります。地下鉄構内の暖房と降りしきる雨の湿気が合わさって、ムワッとした空気が体を包み込みます。それどころか、誰かの汗の酸っぱい匂いが漂ってくることも。防水どころか穴が空いているスニーカー、水たまり足を突っ込んだら靴下までビショビショ。苦行、苦行でした。こんな雨の中でもびくともしない選挙ポスターの耐水性に脱帽……。

降りしきる雨の中、都内を歩き回っていました。



1日で終わるわけもなく、夜はネットカフェのリクライニングシートで体を丸めて眠りました。疲れていて寝過ごして払う延長料金。翌日は電車に揺られながら眠ってしまいました。寝過ごして、光が丘。ノートPCと一眼レフカメラが入ったカバンは肩にずっしりと重く、駅での乗降のたびに階段の上り下り。本当に疲れました。運賃もかかって、懐具合もお疲れ気味。しかし、自分が見たかったものを作り上げることができました。

衆議院小選挙区、大阪なら全19区、愛知なら全15区あります。もし、よかったら誰か同じように周ってみて下さい。北海道は全12区と数は東京や大阪に負けますが、広さはどこにも負けないので、達成感は大きそうです。

(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン

自転車世界一周取材中 http://shuutak.com

Twitter @shuutak

Facebookページ https://www.facebook.com/chariderman/

DMM講演依頼 https://kouenirai.dmm.com/speaker/takuya-shuto/)

チャリダーマンは人生を駆けた自転車世界一周を一冊の本にするという夢があります。興味を持っていただける出版社、編集者の方いましたら、ご連絡いただけると幸いです。