お金を「借りた」ことにすれば贈与税はかからない?

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そもそも貸し借りなのか贈与なのか

個人間においてお金の貸し借りはよくあることでしょう。ただ、個人間といえども贈与税がかかるリスクはあります。特に無利子での貸し借りは「利子相当」に対して贈与税が課せられるリスクがあるのです。

個人間で多額の金銭が動いた場合、税務署はそれが贈与ではないかと疑います。もし贈与でなく「貸し借り」だとなれば贈与税はかからないからです。税務署は、実質的に「贈与」であるものと認定して贈与税を取りたい。これに対し当事者である個人はあくまで「貸し借り」だと主張します。

貸し借りであることの立証が必要

例えば、子が家を建てるのに親から多額の借り入れをしたとします。もちろん税務署は贈与を疑います。そのため、貸し借りであることを立証するには次のことが必要です。

○返済可能額である
○金銭消費貸借契約書を作成する
○定期的に返済をする
○利子を支払う

親子間でも手を抜かないことが大切

そうは言っても、特に親子間では「契約書なんて仰々しい」「返済はあるとき払いで催促なし」「利子は取らない」など、ついつい手抜きになるもの。これでは税務署に贈与であると言われかねません。

親族間だからこそ、しっかりと第三者に説明できるようにすることが大切です。

元本部分だけじゃない。利子にも贈与税リスクがある

元本部分は貸し借りだとして贈与税を回避できたとしても、利子の額にも贈与税が課せられるリスクがあります。

特に親族間だと、利子は「一般的な金利よりも低い」「そもそも利子は取らない」ことが多いでしょう。本来払うべき利子と実際の利子の差額は、「その金額の利益を受けた」ものとして贈与税がかかります。

利子が少額であれば払わなくてもOK

利子については相続税法基本通達9-10で例外があります。無利子であってもその利子額相当の利益を受けたものとされる金額が少額であれば、贈与税はかからない、というものです。

少額って、少しあいまいですね。実務上はこの「少額」は暦年贈与の基礎控除110万円を超えるか否かで判断します。

例えば金利2%と考えれば、5500万円を親から借りた→本来の金利は年110万円→実際には金利は払わないため110万円の利益があった→贈与税の基礎控除の範囲内なので贈与税は回避、となります。ですので、利子相当額が110万円を超えない程度なら無利子でもOK、ということになります。

個人間の貸し借りは、「貸し借りを立証」できることだけでなく、「利子の金額への贈与税のリスク」まで考えることが大切です。親子だとつい軽い気持ちで貸し借りしてしまうこともありますが、親子だからこそ税務署は厳しく見る、と思ってしっかりと対策しておきましょう。
(文:小野 修)