【コラム】インテルとの差は開くばかり…大型補強敢行も勝てないミラン、“戦犯”は?

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 ミランが病んでいる。

 セリエA第9節では、2位インテルが首位ナポリとの直接対決をスコアレスドローに持ち込み、その株をさらに上げた。それに対し、同じミラノを本拠地とするミランに対する失望感は、サポーターの怒りとなって日に日に増している。

 15日に行われた“ミラノ・ダービー”での惜敗はまだしも、19日のヨーロッパリーグ(EL)では、AEKアテネ相手にホームのサン・シーロで引き分けに終わり、ミラニスタからは大ブーイングが飛んだ。シーズン前の期待感が大きかっただけに、その反動が強い失望感と怒りを生んでいる。

 それもそうだろう。4勝1分け4敗(12得点13失点)で勝ち点13という成績は、昨シーズンの同じ時期と比べてマイナス6という低迷ぶり。ナポリ、インテル、ユヴェントス、ラツィオらがここまで昨シーズン以上の勝ち点を稼ぎ出しているのに、ミランだけがこの体たらくだ。

 新しい中国人オーナーの下、実質的な陣頭指揮を執ったのはマルコ・ファッソーネCEOとマッシミリアーノ・ミラベッロSGだった。夏のメルカートではイタリア代表DFレオナルド・ボヌッチ、アルゼンチン代表MFルーカス・ビリア、クロアチア代表FWニコラ・カリニッチ、ポルトガル代表FWアンドレ・シルヴァなどを買い取り、チームの大改革に乗り出した。レギュラー組で残ったのはイタリア代表GKジャンルイジ・ドンナルンマ、同MFジャコモ・ボナヴェントゥーラ、同DFアレッシオ・ロマニョーリ、スペイン代表FWスソくらいだ。

 メンバーの顔触れを見ると、チャンヒオンズリーグ(CL)出場権争いに十分参戦できるレベルだと言われてきた。だが現在では、CLどころかELの出場権すら怪しくなっている。

 いったいなぜなのか。

“戦犯”を一人挙げるなら、間違いなくボヌッチだろう。鳴り物入りでユヴェントスからやってきた彼は移籍早々キャプテンを任され、新生ミランのシンボルとなった。しかし、ここまでのプレーはチームをけん引しているとは言い難く、22日のジェノア戦では一発レッドカードで退場処分を受けている。試合ごとにほぼ全選手を10点満点で採点する『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙のボヌッチに対する9試合の平均評価は5.44。“普通”のプレーで「6」、“あまりよくなかった”で5.5という基準からして、最低ラインにも達していない。得点よりも失点が多いという事実はディフェンス面での問題と、得点力がないという課題にある。ここにボヌッチの期待外れのプレーが浮き上がってくる。

 また、ヴィンチェンツォ・モンテッラ監督解任の噂もちらほら出てきた。元フィオレンティーナのパウロ・ソウザ氏、バルセロナなどを指揮したルイス・エンリケ氏、そして皮肉なことに元インテル監督のヴァルテル・マッツァーリ氏の名前も挙がっている。

 25日のキエーヴォ戦を経て、28日にはユヴェントス戦が待ち受けている。茨の道はまだまだ続きそうだ。

文=赤星敬子