ロシアが、北朝鮮労働者を新規受け入れを中止する方針を示した。ロシアのRIAノーボスチ通信が報じた。

トピリン労働・社会保護大臣は、18日にソチで開催された国際青年祝典の場で記者に対し、「国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁を履行するために、北朝鮮労働者をこれ以上受け入れない」と述べた。同時に「既存の契約によりロシアで働いている北朝鮮労働者は引き続き働くことになる、これは安保理制裁違反ではない」と述べた。

サッカーW杯で批判

つまり、現在ロシアに滞在中の北朝鮮労働者はすぐに追放されるわけではないが、これから徐々に減ることになる。

9月22日に国連安全保障理事会で採択された制裁決議2375号の17条では、北朝鮮国民に就労許可を出すことを禁じているが、制裁採択以前に出された許可は除外するとしている。

現在、4万人いると言われているロシアの北朝鮮労働者だが、長時間労働、搾取にとどまらず、現場から逃げ出そうとした労働者がアキレス腱を切られたり、掘削機で足を潰されたりという凄惨な私刑(リンチ)を受けていることが、デイリーNKの取材でもわかっている。

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もちろん、ロシアの法律にも違反する行為だが、ロシア当局は、北朝鮮側が管理する現場から逃げ出し、よその現場で働いていた労働者を摘発、強制送還するだけで、人権侵害に対しては何ら措置を取ろうとしていない。

しかし、2018年に開催されるサッカー・ワールドカップのスタジアムの建設工事に北朝鮮労働者が携わっており、ひどい人権侵害が行われていることがノルウェーのサッカー雑誌に報じられたことがきっかけに、ロシアに対する批判が高まった。

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ようやく重い腰を上げたロシアだが、一方で労働力不足を懸念する声が上がっている。

ロシア・シベリアのアムール州は、この28年で人口が24%も減少したが、その穴を埋めているのが州内に3万人いると言われている北朝鮮労働者だ。

ロシア・アムール州の通信社、アムール・インフォによると、今年も対外経済省から1430人の受け入れ枠を得た。内訳は930人が林業、387人が建設、96人が農業などだ。2018年の受け入れ枠は1028人に減らされていたが、政府の方針で取り消しになれば、深刻な労働力不足に陥る可能性があると指摘している。

ブラゴヴェシチェンスクのビジネスマンは、北朝鮮労働者を受け入れるのは単に経済的な理由によるもので、彼らは問題を起こさないため共存できると述べた。アムール川を挟んで向かい合う中国からやって来る労働者が何らかのトラブルを起こしているのか、あるいは単なる中国人への偏見故かは定かでないが、現地で北朝鮮労働者は貴重な労働力として重宝されているようだ。