ようやくトップフォームに戻ってきた清武弘嗣。桜軍団の攻撃には、やはり欠かせない。写真:川本 学

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[J1リーグ30節]C大阪 2-0 甲府/10月21日/金鳥スタ

 度重なる怪我を乗り越え、“キヨ”がようやく本領を発揮し始めた。
 
 今季、5シーズンぶりにC大阪のユニホームを身にまとい、大きな期待を集めたなかでプレーする、清武弘嗣。ここまでは実に4度の負傷離脱という、大変苦しい経験をしてきたが、9月に入って本格的に実践復帰。そして、この10月に入り、29節・鳥栖戦で今季J1では13試合目となるスターティングメンバーに名を連ねた。その一戦では雨天でハードな肉弾戦を強いられるなかでも、水沼宏太の右クロスにヘッドで合わせて、値千金の決勝ゴールを叩き込んだ。
 
 そして、先の30節・甲府戦でも、雨が降りしきり、ピッチに水がたまるコンディションのなか、持ち前のキープ力、パスセンスを随所に発揮。ゴールにはつながらなかったものの、アディショナルタイムの90+3分に交代するまで、タフに戦い切り、チームの勝利に貢献した。彼のパフォーマンスは試合を重ねるごとに精度が上がってきており、リーグ戦3位以内でのACL出場権獲得、ルヴァンカップで悲願のタイトル奪取を目指すC大阪にとっては、頼もしい存在となっている。
 
 とりわけ、甲府戦で印象的だったのは、その判断の確かさだ。復帰したばかりだったルヴァンカップ準決勝、G大阪との第1戦では、71分に途中出場し、清武のFKから一時は逆転となるゴールも生まれたが、その直後に自陣で相手をかわしにいったところでボールを奪われ、そのまま同点ゴールを決められて悔しい引き分けに終わった。本来の動きができていれば、そういったミスを自陣で起こすことも、可能性としては低かっただろう。

 甲府戦でも、相手は清武らのミスを誘うべく、厳しいプレスを仕掛け、2人がかりでボールを奪いに来ることもあった。そのうえ、雨でプレーしづらい環境も重なっていた。

 だが、「先日の紅白戦で悪いシーンが何回かあったので、そこはみんな意識していた。そういう意味で今日は変な(ボール)ロストもなくて、自分たちのやりたいことができた」と清武自身も言うように、練習でも露見していた反省を踏まえながらミスを減らし、不用意にボールを失うこともほとんどなかった。16試合ぶりの無失点勝利は、課題にしっかりと向き合い、確実に判断の精度を高めた成果だと言えよう。
 そして、清武が得意とするキラーパスも、この2試合でどんどん輝きを増している印象だ。そのパスの先にいるのは、杉本健勇であり、柿谷曜一朗だ。清武が先発したこの2試合では、杉本と柿谷が前線に入る形が定着。相手の背後へ飛び出す彼らを、清武がよく見て、常に相手の急所を突くような縦パスやクロスを配球している。

 チームのアシスト王でもある水沼を含めた4人の攻撃陣の破壊力は、いまやC大阪の大きな武器。その中心でゲームをコントロールし、攻撃に多彩なバリエーションをもたらしているのが“コンダクター”の清武になる。
 
「2試合を通して、だいぶコンディションが上がってきていると思うので、これからだなと思いますし、試合はこれからも続くので」という清武。「またこれから支えてくれた方のために頑張りたい」と、苦しい時でも後押ししてくれた人たち、そして彼を盛り立てたサポーターのために、清武はその足で勝利を呼び込む。その活躍がC大阪を高みに導き、日本代表復帰へとつながるだろう。

取材・文 前田敏勝(フリーライター)