【ライターコラムfrom金沢】「金沢に来て良かった」…“大人になった”石田崚真、J2残留へラストスパート

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 今季のツエーゲン金沢は若手を積極的に起用しており、その中でも目を引くのが石田崚真だ。出場停止となった1試合を除き、ここまですべての試合に先発出場。途中交代したのはわずか1試合のみ。スピードが持ち味で、右サイドバックとして上下動を繰り返し、得意のクロスでチャンスを演出する。味方のゴールをアシストする機会も増え、チームに欠かせない存在となった。

 特に、クロスに関しては自信満々。「どこで上げたら良いかが段々分かってきて、自信が付いた」。石田は明治安田生命J2リーグ第19節・レノファ山口FC戦あたりから好感触を得ていたという。振り返ればちょうどその頃、「味方とは合ってきているのでもうちょっと……。アシストをしたい」と、よく口にしていた。その「もうちょっと」が数字に結びつくまで時間を要したが、クロスを供給し続けた結果、報われるようになった。「金沢に来た最初の頃よりはクロスがうまくなっている。合わないことがなくなってきて、全部合っている気がする」。

 21才の石田は武者修業の日々を送る。ジュビロ磐田の名波浩監督から「修業してこい」との命を受け、今季金沢に期限付き移籍。クロス精度の向上もその成果の一つだが、技術的なこと以外においても変化が見られる。むしろ、そちらの方が重要なのかもしれない。試合経験を重ねる中、内面も進化を遂げた。

「最初はアシストもしないといけないとか、もうずっと悩んでいた。自分もまだ子供なので、(プレーや結果について)別に何とも思っていないわけではなかったけど、気にしていない部分もあったし、とても気にしている部分もあり、ごちゃごちゃになって難しい感じになっていた。だけど、今はそうではない」

 試合の勝敗やワンプレーの重み。若手がそれにどれだけシビアになれるか。様々なことに気づき、ピッチに立つ以上そうしたものを背負えるか否かが金沢のJ2残留に大きく影響する。シーズンが佳境を迎える今、石田は胸中を明かす。

「だいぶ大人になった。あの時(シーズン序盤)は何とも思っていなかった。試合の時は結構思って(考えて)いたけど、試合が終わって、オフが終わってからは何とも思っていなかったし、別に気にしてもいなかった」。今となっては柳下正明監督が、「気にしていないから何度も同じことをやる」と苦笑していたことさえ懐かしく思い出される。

 “だいぶ大人になった”石田は言う。「映像とかも見せてくれるので、そこで考える時間もある。負けても気にしていなかったところも正直あった。でも、今はめちゃめちゃ気にするし、やっぱり勝ちにはこだわっていきたい」。

 リーグ戦は残すところあと4試合。残留争いも大詰めを迎える。「金沢に来て良かった。こんなに良い経験は、人生でできるかできないか分からないくらい」という石田のラストスパートに期待したい。

文=野中拓也