嫁の両親と信頼関係を築くにはどうしたらいいでしょうか(写真 : kou / PIXTA)

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息子の嫁・愛子さんと、そのご両親との付き合いがうまくいきません。愛子さんは初めてわが家を訪れたときも自己紹介さえできず、その後も何かとあいさつのない人で違和感はありました。
息子は就職してすぐに結婚する日を決めたので、私どもは慌てて愛子さん宅にごあいさつに行く段取りをしました。ところが先方から「そういったあいさつは要らない」と断られ、両家の顔合わせは行われませんでした。遠方だったからかもしれませんが、その後もお中元やお歳暮のやり取りも断られるなど、家同士のお付き合いはありません。
先日、愛子さんが出産した際、産後の面倒を見るためにその母親が来ることとなり、息子夫婦と私どもであいさつの日取りを決めました。ところが直前に愛子さんから「長距離移動で母は疲れているから、その日は来ないで」との連絡が入りました。
約束日は先方が到着した翌日の夕方だったため、私どもは簡単なあいさつだけならと、当初の取り決めどおりに伺ったところ、後日息子から「愛子が来るなと言ったのになぜ来たのか」と電話で叱責されました。
またその節、せっかくだからと、夫が愛子さんの母親をわが家に招待したところ、あれこれ理由をつけられ断られました。わが家は代々続く本家で、愛子さんのご実家にも敬意を払い、ごあいさつやお付き合いを大切にしたい家風です。出産祝いを含めて私たち夫婦からの数々の贈り物にも、愛子さんからのお礼は一切ありません。一連のことで、愛子さんたちから無下にされているように感じ、わだかまりとなっています。
惚れた弱みか、非常識な妻の言いなりの息子と私が、とうとうぶつかるようになりました。礼節のない嫁の存在を恥ずかしく思い、息子には失望し胸が痛みます。嫁とそのご実家との付き合い方に、ご助言ください。
天宮

自分流に拘泥しないのもお付き合いの大切なマナー


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この種のご相談は少なくありません。天宮様の姻戚付き合いに関する考え方や価値観は正しく、とても大切なことだと思います。しかし愛子さんはさておき、そのご実家からまでもあなたがた夫婦が無下にされたと感じるのは行きすぎです。

私はさまざまな格差によるコンプレックスや過度な遠慮、人付き合いの苦手意識等を先方に感じます。それらに慮り、自分流に拘泥しないのも、お付き合いの大切なマナーです。あなた方が割り切ればいいのです。

愛子さんに関してはいったん棚上げにし、そのご実家との関係を、まず考えたいと思います。まず先方が、姻戚付き合いは最小限にとどめたいと考えておられる場合です。“家同士が結婚するのではないから、形式的な親の出番は、極力御免被りたい”と考える人は少なくありません。

私も形式やしきたり、伝統を踏んでこそ心も豊かに通う人間関係があることを、信じています。ただ「家制度」時代のしきたりにやみくもに従うよりは、時代に合った工夫や省略があってもよいと考える者です。愛子さんの親御さんが、このようなお考えでの行為なのかどうかはわかりませんが、そしてあなたたちには思いも及ばない価値観かもしれませんが、参考になる考え方だと思います。

いくつかの形式を省くのも1つの知恵

関東の私の友人の息子が結婚するとき、恋愛結婚でしたので友人は、この出来レースの親の顔合わせを式当日の前にやりたいと、九州の相手方に提案しました。相手方の母上は、「わが家を安く見られたようで悔しい。あいさつの丁寧さで、家柄と誠意を見たい」と、すべてのしきたりを踏むよう、言ってきたそうです。

ならばと伝統を重んじる家風で育った友人は、地方のしきたりも持ち出して、由緒正しい贈り物と手順を整えて、九州まで出向きました。これには先方も感激し、「よろしく娘の教育を」と平身低頭でお願いされ、しかし「花嫁姿は女の夢」と、派手な披露宴を要求されたとか。

ところがその後、友人の普通のあいさつ程度の言葉にも、息子夫婦と先方の親は、「姑根性だ」と複雑にこじらせるので、恐ろしくてモノも言えない関係だとか。もちろん顔合わせ時に「よろしくお願いされた嫁教育」など、出番もありません。

友人はこのような相手の心貧しい言動のお陰で、あの顔合わせから派手な披露宴までが、すべて茶番に見えると怒り心頭です。何かにつけて形式さえ整えば、心が伴わなくとも満足する人がいますが、この忙しい時代に、一方が望めばいくつかの形式を省くのも、1つの知恵ですね。

私は半分以上割愛させていただいたあなたのご相談文から、先方の「付き合いの悪さ」は、親同士の経済格差、息子夫婦の学歴差など、コンプレックスからくる気後れが原因と見ました。その場合はお中元やお歳暮のやり取りは、とても負担ですし、神経も使います。お互いになしと申し合わせるほうがずっとよい場合があるのです。

ひと頃、虚礼廃止という言葉が流行りましたが、私の思いにぴったりでうれしかったのを覚えています。いい面もありますが、盆暮れと決められることで忙しい身には、時間も神経も使う大変な仕事でした。贈りたい人に、贈りたい物を、贈りたいときに贈るほうが心を伝えられます。同時に贈られたほうが、負担に感ずる贈り方や贈り物はアウトであることも、実感してきました。

あなたやご両親の、贈り物などに心を託し、またお付き合いを大切にしていきたいという純粋な心を、私は一点も疑いません。しかしそれらをもってしても、相手の財布事情などを超えるものではありません。

ただ贈答があれば付き合いがいいというものではありません。相手が負担を感じたり迷惑に思う贈り方は控えるべきなのです。お礼の言葉がない贈り物はやめるべきです。迷惑だと明白にメッセージを送ってきているのです。

私のある貧しい友人は、結婚した娘の裕福な姑から、素敵なタイミングで贈り物がくるのをとても楽しみにしています。最初は負担に感じたそうですが、そのさりげない口実が絶妙で、こちらからは「ありがとう」とお礼を伝えるだけで喜ばれる楽しい仲だそうです。こんなお付き合いもありますよ。

流儀を押し付けず、結果を急がず

人間関係は最初が肝心だと言いますが、最初はまずいスタートでも、時間をかけてゆっくり育まれる絆もあります。礼儀を言葉で教育するにも時があり、模範を示して受け入れられるにも時があります。今はその時ではありません。

私の友人は4人の息子を持ち、4人の息子のお嫁さんの実家との付き合いがあります。すべての形式を踏んだ結婚もありますが、友人中心のパーティ婚で、親も客として出席しただけの息子さんのお嫁さんと、その親戚付き合いが、相性も合ったのかもしれませんが、一番親しく往来する仲だといいます。急がないほうがいいです。

愛子さんはそのご実家の価値観しか知らず、あなた方と親しくする方法も必要も、そうすることで得られる喜びも今は知らない人です。そんな人に、いきなりあなたたちの流儀を覚えてもらおうとしても、摩擦が起きるだけです。

息子夫婦が親になることによって人間的に成長し、礼儀をわきまえるようになる例は多いです。流儀を押し付けず、見返りを求めず、結果を急がず、「今」は精神的にも突き放して息子夫婦と距離を取るべきです。

ただし、「今」が永遠に続くかもしれません。もし、そうなってしまったら、息子夫婦の疎遠を寂しがっている多くの親のように、「息子は社会に返した」と考えるようにしましょう。

若夫婦の仲良いことが一番

基本的には、「結婚当事者が幸福ならそれでよい」路線で、親同士の付き合いなど、なくともよいと割り切ればいいのです。

「代々続く本家」だそうで、大切に引き継ぎたいこともたくさんおありとのことですが、日本一代々続く家系の当主であられる今上天皇でさえ、「次代のこと(伝統をどのように引き継ぐか)は次世代に任せる」と、潔くおっしゃっておられるではありませんか。

繰り返しますが愛子さんのご実家が、あなた方との付き合いを避けておられるのは、経済格差等のコンプレックスと、その気後れからきていると思います。ポリシーからきているのでしたら、言葉が足りません。善意の塊のようなあなた方ご夫婦ですが、このへんの配慮が足りないと感じました。善意も間違うと、こじれる原因になるものです。

この種の寂しさは、親となった者の宿命と、割り切ることからスタートしましょう。若い夫婦が仲良ければすべてよし、でいいではありませんか。