片頭痛と選挙って関係ある?

写真拡大

 やっと衆議院選挙も終わりましたので、今回は、「頭痛と選挙の意外な関係」についてお話ししたいと思います。
 
 一見して頭痛と選挙は、関係ないように思いますが、選挙カーの「音」が大きな問題になるのです。片頭痛の人は、またこの時期になると、すぐにわかると思いますが、一般の人でも、選挙カーの音が気になることがあると思います。

普通の人でも大きな音が続くと、気分が悪くなることもあります。ましてや、片頭痛の患者さんには、選挙カーの「音」は大問題です。特に片頭痛発作が起こっている時などは最悪の環境になります。大きな音で頭痛が長引いたり、強く増強されたりしてしまうからです。片頭痛の発作が起こっている人は、「暗く静かな所で、じっと横になっていいます。」とよくおっしゃいます。このように、今回は、音過敏と頭痛についてのお話ししたいと思います。

音過敏(聴覚過敏:Phonophobia)と頭痛

 片頭痛の中でも、特に慢性片頭痛と呼ばれる分類の患者さんでは、音過敏は片頭痛発作時の随伴症状として80%の人で感じるとの報告(文献1,2)があります。

 他の随伴症状である光過敏(71%)、吐き気(77%)、嘔吐(41%)、めまい(14%)とくらべてももっとも多い症状と考えられます。

 特に、音過敏、光過敏を合併しているタイプでは、頭痛の持続時間が長く、頭痛の強さが強い傾向が見られます。このように音過敏や光過敏(視覚過敏:Photophobia)を伴う症状では、通常の片頭痛と比べてより重篤な可能性があります。
 
 音過敏による頭痛にお悩みなら、一度、耳栓は試した方が良いと思います。耳栓をすることで、耳閉感を感じることもありますが、それによって静寂を得られて、頭痛が早く改善するなら使用してください。光過敏も同様で、サングラスや暗い部屋で、じっとすることで早く片頭痛がおさまる環境を考えて、自分あった最適の環境を創造してください。

 片頭痛に対する音過敏や光過敏に対する薬物療法については、主治医の先生とも、よくご相談ください。

選挙カーに対する法律
 参考として、公職選挙法第140条2項では、「音」に対する規制として,以下のように記載されています。
「何人も、選挙運動のため、連呼行為をすることができない。ただし、演説会場及び街頭演説(演説を含む。)の場所においてする場合並びに午前八時から午後八時までの間に限り、選挙運動のために使用される自動車又は船舶の上において演説する場合は、この限りでない。ただし、学校、保育園、及び病院、診療所その他の療養施設の周辺においては、静穏を保持するように努めなければならない。」

 しかし、音量(デシベル)など大きな音を規制する法律はなく、学校、保育園、及び病院、診療所その他の療養施設の周辺においては、<静穏を保持するように努めなければならない>という努力規程にはなっています。

 今後、選挙期間中に静寂な環境を希望する人は、学校、保育園、及び病院、診療所その他の療養施設の周辺の近くに住むこと、あるいは引っ越すことで、選挙カーに対する「音」の問題は、少なくなるかもしれません。

 ただし、選挙演説の内容に関する<頭痛>はこの限りではありません。

文献
1)Phenotypic features of chronic migraine.
Yalın OÖ, Uluduz D, Özge A, Sungur MA, Selekler M, Siva A.
J Headache Pain. 2016;17:26. Epub 2016 Mar 15.

2)Clinical profile and functional disability of patients with migraine.
Renjith V, Pai MS, Castelino F, Pai A, George A.
J Neurosci Rural Pract. 2016 Apr-Jun;7(2):250-6.

連載「頭痛の秘密がここまで解き明かされてきた」バックナンバー


西郷和真(さいごう・かずまさ)

近畿大学理工学部生命科学科ゲノム情報神経学准教授、近畿大学医学部附属病院神経内科。1992年、近畿大学医学部卒業。近畿大学附属病院、国立呉病院(現国立呉医療センター)、国立精神神経センター神経研究所、米国ユタ大学博士研究員(臨床遺伝学を研究)、ハワードヒューズ医学財団リサーチアソシエイトなどを経て、2003年より近畿大学神経内科学講師および大学院総合理工学研究科講師(兼任)。2015年より現職。東日本大震災後には、東北大学地域支援部門・非常勤講師として公立南三陸診療所での震災支援勤務も経験、2014年より現職。日本認知症学会(専門医、指導医)、日本人類遺伝学会(臨床遺伝専門医、指導医)、日本神経学会(神経内科専門医、指導医)、日本頭痛学会(頭痛専門医、指導医、評議員)、日本抗加齢学会(抗加齢専門医)など幅広く活躍する。

西郷和真(さいごう・かずまさ)
近畿大学理工学部生命科学科ゲノム情報神経学准教授、近畿大学医学部附属病院神経内科。1992年、近畿大学医学部卒業。近畿大学附属病院、国立呉病院(現国立呉医療センター)、国立精神神経センター神経研究所、米国ユタ大学博士研究員(臨床遺伝学を研究)、ハワードヒューズ医学財団リサーチアソシエイトなどを経て、2003年より近畿大学神経内科学講師および大学院総合理工学研究科講師(兼任)。2015年より現職。東日本大震災後には、東北大学地域支援部門・非常勤講師として公立南三陸診療所での震災支援勤務も経験、2014年より現職。日本認知症学会(専門医、指導医)、日本人類遺伝学会(臨床遺伝専門医、指導医)、日本神経学会(神経内科専門医、指導医)、日本頭痛学会(頭痛専門医、指導医、評議員)、日本抗加齢学会(抗加齢専門医)など幅広く活躍する。