宇宙物理学者のスティーブン・ホーキング博士が1966年に執筆した博士論文を、ケンブリッジ大学がインターネット上で無料公開しました。現地時間の2017年10月23日0時(日本時間0月23日朝8時)に論文が公開されるとウェブサイトには人が殺到し一時的にダウン、記事作成時点でもアクセスしづらい状態が続いています。

Stephen Hawking reveals secrets of his thesis for the first time - Cambridge News

http://www.cambridge-news.co.uk/news/cambridge-news/stephen-hawking-reveals-secrets-thesis-13799653



Stephen Hawking PhD readers crash Cambridge University website - BBC News

http://www.bbc.com/news/uk-england-cambridgeshire-41721585



論文は、記事作成時点で75歳になるホーキング博士が24歳の時に執筆したもので、「Properties of expanding universes(膨張する宇宙の性質)」というタイトル。ホーキング博士の博士論文を公開して欲しいというリクエストは2016年5月からケンブリッジ大学に199件届いており、その多くは学者ではなく、一般の物理学ファンからの要望だったそうです。なお、ホーキング博士の次に公開リクエストが多かった論文は、13件のリクエストだったとのこと。



これまで、ホーキング博士の博士論文の全文を読むためには、65ポンド(約9700円)を大学の図書館に支払って物理的な論文をスキャンしてもらう必要がありました。しかし、論文は非常に人気があり、134ページの論文をコピーする負担を何とかするため、図書館は電子化・無料公開に踏み切ったようです。

これがホーキング博士の博士論文の中表紙。



文書の中には、ホーキング博士の手書きの文字もあります。



ホーキング博士は論文の無料公開について「論文の無料公開によって、世界中の人々が宇宙について不思議に思い、理解しようと試みるために、足元ではなく空の星を見上げるようになればと願います」「私の論文だけではなく、人間の理解について探索する全ての偉大な論文について、世界中のどこにいる人でも無料でアクセスできるようにすべきです」「あらゆる年代の研究は、それまでに存在した研究者の積み重ねの上に立っています。私が若い時にケンブリッジで執筆した論文も、アイザック・ニュートン、ジェームズ・クラーク、アルバート・アインシュタインの研究があってこそです」「多くの人がこれまでに私の論文をダウンロードすることに興味を持ったと聞きました。願わくば、実際に論文を読めるようになった人が失望していないといいのですが!」とコメントしました。

論文は、ケンブリッジ大学のデータベース「Apollo」で無料公開中。Apolloはこのほか、1万5000の研究記事、1万の画像、2400の論文、1000のデータセットが登録されています。

ホーキング博士の論文は以下のページから読むことができます。アクセスしてみたところ、記事作成時点ではなかなかページが表示されないものの、何とかアクセスできました。

Properties of expanding universes

https://www.repository.cam.ac.uk/handle/1810/251038