パソコン業務など、座り仕事が長い人、お尻や足に、かすかにしびれや痛みを感じていませんか? それ、もしかしたら仙骨のズレが原因の、坐骨神経痛かもしれません! 背骨コンディショニング協会代表理事の日野秀彦先生に詳しいお話と改善法をお聞きしました!

原因は、現代の楽チン生活。座りっぱなしも悪影響です。

「昔に比べて現代は、歩かない、重いものを持たないという楽チン生活。それによってお尻を支える大臀筋など、体の裏側で仙骨を支えている筋肉が弱まり、仙骨が後方に出てきてしまうんですね。仙骨がズレると、繋がっている坐骨神経が引っ張られてしまい、痛みやしびれが出る。坐骨神経は、お尻から足先まで繋がっている、人体で最も大きな神経。なので、症状は下半身のどこに出てもおかしくないというわけです」

構造上人体は、座っていると、立っているときの3倍の重力がかかり、ますます仙骨が出やすくなる。パソコン作業が多い現代女性にとっては身近な危機なのです。

今すぐCheck!

隠れ歪みを探すボタンは、ふくらはぎの内側にあり。押すだけで分かる、カンタンチェック法。

ふくらはぎのスネの内側を、左図のようにくるぶしから上に3か所押してみる。

スネの内側を、グッと押し込む感じで親指で押してみる。痛みがある場合は、坐骨神経痛の伝導異常がある可能性が。仙骨が歪んでなければ、痛みは出ない、と日野先生。

《おうちで改善》坐骨神経痛を改善するには、3ステップが必要。固まった関節をゆるめ、位置を矯正し、支える筋肉を鍛えよう。

Step 1:「仰向けワイパー」でゆるめる。仙骨のそばにある仙腸関節と股関節をゆるめる運動。こちらは毎日30回行うのが目安。

1.タオルを床に置き、腰を乗せて仰向けに。

バスタオルを丸めたものを床に置き、その上に仙骨を乗せるように寝る。位置は腰から尾てい骨のあたりに当たるように。足は軽く、肩幅くらいに開く。

2.足が床につくように、両足を閉じたり開いたり。

脚全体を内側、外側、と回す動きを、各30回繰り返す。両足を内側に倒すときは親指が、外側に倒すときは小指が床に触れるように。実際には届かなくても、そのくらい足を回す意識で。

Step 2:「上体たおし」で矯正する。ゆるんだら次は、仙骨や、仙腸関節、腰椎、股関節の位置を体操で矯正します。

1.うつ伏せになって片膝を曲げ、両肘を立てる。

うつ伏せに寝転び、両肘を揃えて前方に出し、腰を反らします。片脚は伸ばしてつま先を立て、もう片方の膝を曲げる。反対側の脚の膝の内側に足の裏をつけるよう意識をする。

2.上体を左右に倒し、それぞれの肩を床に近づける。

肘を支点に、上体だけ左右にゴロンとゆっくり倒す。肩が床につくのが理想だが、痛くない範囲でOK。左右30回ずつ行いますが、倒しづらいほうを多く行うと効率よく矯正できる。

Step3:「バックキック」で筋トレ。最後は仙骨を支える大臀筋のトレーニング。週に2回のみ、しっかり負荷をかけて!

1.水を入れたペットボトルを負荷に使い、前傾姿勢。

ペットボトルを入れたビニール袋を片方の足首にかけ、ウェイト代わりに使います。テーブルや椅子の背に手をついて、背中を丸める。ペットボトルは、10回目にギリギリ上がらなくなる程度の重さの本数が最適。

2.足を後ろに引いて、3秒キープする。

軸脚の膝を軽く曲げ、ペットボトルをぶら下げた足のつま先を外に向けながら、2秒かけて後ろに引き、3秒キープ。また2秒かけて下ろす。反対側も同様に。それぞれ10回を3セット。

日野秀彦先生 背骨コンディショニング協会代表理事。大手スポーツジムのフィットネスディレクターを経て、独立。腰痛や肩こりに関する著書多数。趣味はR&Rバンドでの演奏。

※『anan』2017年10月25日号より。イラスト・吉田トキオ 

(by anan編集部)