「アメリカの裏庭」に中国マネー 専門家「軍事衝突で対米戦略に利用される」と警鐘する。写真は2014年、ニカラグア運河の施工を担当した中国人ビジネスマンが地元住民の前に姿を見せた (Inti Ocon/AFP/Getty Images)

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 中国による中南米へのインフラ投資が拡大している。中国主導の経済的影響力は、ラテンアメリカ地域での軍事衝突の際に、米国に矛先を向ける軍事拠点に変わる可能性があると、専門家は警鐘を鳴らす。

 「西半球で足場を作りたい中国は、中南米地域に力を注いでいる」と、米陸軍大学校の戦略研究所でラテンアメリカに詳しいエバン・エリス氏は語る。

 中国は、東南アジアとアフリカのように、中南米でも大型インフラ投資などを戦略的に展開している。多くは国有企業による買収と投資で、中国共産党政府の意向を反映しているとみられる。

 たとえばブラジルでは、水力発電、港湾、空港、銀行、電気通信会社、農業、病院など、公共から民間サービスに至る幅広い分野にわたり、87の大規模プロジェクト(468億米ドル相当)に中国は投資している。

 エリス氏は、中南米における中国の経済的影響力の拡大は、米国の国家安全保障政策に影響をもたらすと述べている。

 地政学上「アメリカの裏庭」と呼ばれるラテンアメリカ諸国は現在、チャイナマネーに身をゆだね、国が管理するべき主要インフラと資産所有権、支配権を放棄しがちだ。

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 エリス氏は、中国がラテンアメリカで獲得するすべての資産は、対米戦略を意識しているものだと指摘する。中国は、中南米の7つの国と「戦略的パートナーシップ」を結んでいる。アルゼンチン、メキシコ、ブラジル、ベネズエラ、エクアドル、チリ、ウルグアイだ。

 とくに社会主義経済に失敗し、国家的危機に陥っている中国の同盟国ベネズエラについて「あの酷い状況に対して、米国が行動を起こさなければ、ベネズエラはもっと中国に期待するようになるだろう」と述べた。

 エリス氏は、中国の戦略的買収は、ラテンアメリカと米国を結ぶ商業港の安定した関係を圧迫しかねないことについても警鐘を鳴らす。

 米国沿岸部からわずか100キロほどしか離れていない中米バハマ諸島に、100億米ドルのコンテナ施設、物流施設、航空施設を備えた中国企業がある。ウォールストリート・ジャーナルによると、3年前には42億米ドルを投じた中国系ホテルも建った。

 中国は2017年8月、アフリカの角(Horn of Africa)と呼ばれるジブチに大規模な海軍基地を建設した。「アメリカの裏庭」である中南米も、アフリカ同様に中国資本が築く道筋をたどっているとして、「中国が、中南米であいつぎ商業拠点を手にしている。これらは最初は非軍事目的であったとしても、簡単に軍事利用に変えることができるだろう」とエリス氏は厳しい警告を発している。

(翻訳編集・佐渡道世)