昨年4月に会談したプッチェモン州知事とラホイ首相。 photo Jordi Bedmar /Generalitat de Catalunya(CC0 1.0)

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 10月20日、EU首脳会議から戻ったラホイ首相は翌日21日に臨時の閣僚会議を開いた。その主題は憲法155条のカタルーニャ自治州への適用であった。この閣僚会議でスペイン政府は1978年の民主化以降初めて自治州の機能を停止する決定をしたのである。

 その後、閣議で決定した内容をモンクロア首相官邸での記者団を前に報告した際に、ラホイ首相は次の4つの目的を伝えた。(参照:「El Independiente」)

●合法性を取り戻すこと:カタルーニャ州政府はスペイン憲法を蹂躙し、議会制民主主義で尊重されている野党の存在をも無視して、カタルーニャの独立の為の立法の制定と違憲とされている住民投票の実施を決めた。このような状態からの回復を目指す。

●社会を正常に戻すこと:カタルーニャ州民はこれまで独立支持派と独立反対派で二分している。しかし、州議会で独立立法が成立して以来、この両派の対立が表面化している。この分断を解消すること。

●経済成長を継続させること:カタルーニャが独立すれば、EUの圏外に置かれることになり、ユーロ通貨も流通しなくなる。更に、スペインの他の地方との商取引は平均して50-60%であるが、独立すればカタルーニャ製品への拒絶反応も起きる。このような事態になると、カタルーニャのGDPは25-30%後退すると予測されている。その上、カタルーニャの将来に不安を感じた企業が州外に登記上の本社を移転しており、その数は10月1日の住民投票から20日までの僅か3週間で1200社近くになっている。同州政府が期待していた二つの銀行を経済の柱にするとしていたカイシャバンクとサバデル銀行もバレンシア州に本社を移した。その上、大半の大手企業も州外に移転した。また一部中小企業も同様の動きをしている。このような経済事情下では経済成長に重要な外国からの投資は全く期待できない。更に、付け加えるならば、スペインを代表する自動車メーカーで現在フォルクスワーゲンの傘下にあるセアット(Seat)も州外に本社を移すようにという強い圧力が株主などからかかっているという。

●州議会選挙の実施:この先、長くて6か月を目途に州議会選挙を実施したいとしている。今回の155条適用に支持を表明している社会労働党とカタルーニャの政党シウダダンスは1月28日を州議会選挙日というのを条件に155条の適用を支持しているという。

◆155条発動は27日が濃厚

 155条の発動には上院の承認が必要である。上院は与党国民党が過半数の議席を占めているので可決には問題ない。上院で審議にかけて155条の発動が承認されるのは10月27日というのが濃厚になっている。

 これをもって政府はカタルーニャ自治州政府の機能を停止させることになる。その停止内容は、まずプッチェモン州知事とジュンケラス副州知事の解任。そして、住民投票で州政府の意向に密着している自治警察を配下に収めている内務省長官を始め、全ての閣僚も解任するとした。また、報道面で同じく政府の報道機関に成ってしまっているTV3テレビとラジオもスペイン政府が中立公平な報道内容に戻すために介入するという。

 また自治警察はスペイン政府内務省の管轄となり、自治警察のトップであるトゥラペロ警視総監の解任も決めている。同総監は既に職務上における反逆罪で現在検察によって追訴されている。

 州政府の管轄にある通信及び情報テクノロジー・センターは治安機動隊が管理することになる。

 スペイン政府と州政府との対立が顕著になってから、州政府が独立の為に公的資金からその支援金だとして外部に流出させていたことを防ぐために州政府の官僚2312人への給与などはスペイン政府財務省が州政府に代わって支給している。が、それに加えて、155条の適用以後は州政府の歳出歳入の管理は全てスペイン財務省の管轄になる。(参照:「OK Diario」)