(写真提供=SPORTS KOREA)斗山の呉在一

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日本シリーズ進出をかけたクライマックスシリーズもいよいよ大詰めだが、1リーグ制の韓国では、25日から始まる韓国シリーズに、シーズン1位のKIAと、プレーオフなどを勝ち抜いた斗山が対戦することが決まった。

韓国ではまず、シーズン4位のNCと5位のSKが2戦先勝(4位に1勝のアドバンテージ)のワイルドカード決定戦が行われ、勝ったNCとシーズン3位のロッテが3戦先勝の準プレーオフを、その勝者・NCとシーズン2位の斗山で3戦先勝のプレーオフが行われ、3勝1敗で斗山が勝ち、韓国シリーズに進出することになった。

ワイルドカード決定戦から韓国シリーズにかけての、いわゆるポストシーズンが、韓国のプロ野球が最も盛り上がる時期ではあるが、試合の内容をみると、準プレーオフに1-0という試合があるものの、ほかはあきれるばかりの乱打戦ばかりだ。

プレーオフ第1戦は13-5でNC、第2戦は17-7で斗山、第3戦は14-3で斗山、第4戦は14-5で斗山といったように、勝利チームはいずれも二桁得点、両チームの得点の合計も20点前後というラグビースコアだ。

第2戦では、両翼100メートル、センター125メートルと広いソウルの蚕室(チャムシル)野球場で、本塁打が8本も飛び出した。韓国シリーズ進出が決まった第4戦では、斗山の呉在一(オ・ジェイル)が本塁打4本を記録したのをはじめ、6本の本塁打が飛び出した。

極端な打高投低の原因

以前にも書いたが、韓国のプロ野球は今、極端な打高投低である。
(参考記事:日本の高校野球への「名残」と「羨望」と「対抗」と。甲子園と韓国の“浅からぬ縁”

今シーズン、打率3割を超える打者は、打率.370でトップの金善彬(キム・ソンビン、KIA)をはじめとして33人。セ・リーグの7人、パ・リーグの2人と比べると、あまりに対照的だ。

その半面防御率では、トップのフェアバンド(kt)が3.04で、2位の張元準(チャン・ウォンジュン、斗山)が3.14。

シーズン前、DeNA入りの報道もあった梁玹種(ヤン・ヒョンジョン、KIA)は、20勝6敗という成績で、KIAのシーズン1位に貢献したが、防御率は3.44と、決していい数字ではない。

ちなみにセ・リーグでは菅野智之(巨人)の1.59のほか、2点台が5人、パ・リーグでは菊池雄星(西武)が1.97のほか、2点台が4人いる。日本と韓国では、試合における1点の重みが異なり、韓国ではどうしても、空中戦頼みの大味な野球になりがちだ。

原因としては、これまでも指摘してきたように、若手投手が育たないという現実、ストライクゾーンの広さ、監督の志向など、いろいろ考えられる。

それに、徹底したパワーアップがある。

韓国の野球選手は、下半身の強化よりも、上体の筋力アップにウエートを置きがちだ。

それは、ユニホームを着た状態でも、十分に推測できるほどはっきりしている。

世界のパワー野球に対抗するには

こうした韓国の状況を見ていて気になるのは、日本の高校野球である。

近年、高校の強豪校は、たくさん食べて、ウエートトレーニングを多くこなし、筋力アップを重視している。

その結果、この夏の甲子園大会では、大会記録となる68本もの本塁打が飛び出し、大量点の試合も多かった。

昨年の夏は好投手が多かったので、今年の夏は極端な現象なのかもしれない。

それでも、強豪校におけるパワー重視の傾向には変わりはない。

サッカー、バレーボールなど、多くの球技で議論になるのが、日本人も韓国人も体が大きくなったとはいえ欧米人にはかなわない。

そこで、技術、戦術、チームの連携、コンビネーションなどで、対抗するのか、それとも、こちらもパワーアップして対抗すべきなのかということである。

おそらくその両方が正解であり、その中でどうバランスをとるかが監督の手腕ということになる。

ただし、野球も国際化が進む中、日本や韓国の野球がアメリカなど、世界のパワー野球に対抗するには、1点を大事にする緻密さも必要である。

28日から始まる日本シリーズはもちろん、25日から始まる韓国シリーズでも、1点を巡る息詰まる攻防を期待したい。

(文=大島 裕史)