LCCが次々と登場する一方、大手航空会社が影響を受けて経営破綻するケースが起きている。近年、LCCの普及で海外そして日本国内でも経営難に陥る航空会社が後を絶たない。なぜ経営破綻となるのか、もし運航停止に遭遇した場合の対処法なども合わせて紹介する。写真はドイツ第2の航空会社、エア・ベルリン。経営破綻により、10月28日で国際線を含む全便の運航を停止する。 / 筆者撮影

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2017年10月、欧州のLCC2社が経営破綻で運航停止

華々しくデビューする航空会社があれば、一方で経営不振に陥って運航停止して消えていった航空会社もある。昨今、LCC(格安航空会社)が国内外で次々とデビューし、航空会社間の価格競争が激化している。
 
2017年10月2日、イギリスのLCCであるモナーク航空が運航停止して約11万人が現地で足止めとなり、ドイツでLCCに位置づけられているエア・ベルリンも10月27日が最後の運航となり、28日から全便の運航を停止する。生き残りをかけたエアライン間の競争が、海外、そして日本でも起きている。
 

LCCの参入で価格競争、大手航空会社が影響を受ける


航空会社の経営不振は、昨今、LCC(格安航空会社)の参入が要因であることが多い。

LCCは、高速バス並みの料金で飛行機に乗ることができるのが売り。低価格を掲げて参入することによって価格競争が起こり、既存の大手航空会社も値下げを余儀なくされる。

イタリアのアリタリア航空は、2017年5月に経営破綻した。原因は、LCCや高速鉄道との競争が激化し、資金繰りが悪化したことによる。現在、イタリア政府の追加融資を受けて運航は続けているものの、先行きは不透明なまま。ドイツのルフトハンザなどが経営再建に名乗り出ているとの報道もある。

一方、アメリカでは、かつてのパンアメリカン航空(パンナム)から、ノースウエスト航空とUSエアウェイズ、そして現在もあるアメリカン航空、ユナイテッド航空、デルタ航空と、大手航空会社が軒並み、事実上倒産して「チャプター11」(※)の申請を経験している。

(※)チャプター11の申請が認められれば政府から資金援助を受けて運航が継続できる
 

日本の航空会社も経営破綻続き、LCCでは旧エアアジア・ジャパンも


国内では、日本航空が2010年1月に会社更生法の適用を申請して経営破綻したのが記憶に新しい。また、国内3位のスカイマークも、経営破綻を理由に2015年1月に民事再生法の適用を申請し、大中型機の売却や不採算路線からの撤退など再建が進められた。他にも、ソラシド・エアやエア・ドゥなども経営破綻を経験している。
 
LCCでは、マレーシアを拠点に就航ネットワークを広げるエアアジアがANAと組んでエアアジア・ジャパンを設立し、2012年8月から国内線と国際線の運航を始めたものの、2013年10月で全便の運航を停止。その後、エアアジアは楽天などと新たなエアアジア・ジャパンを立ち上げ、2017年10月29日から名古屋・中部=札幌・新千歳で運航開始する。
 

次々とデビューするLCC、一方で運航停止も起きている


大手航空会社だけでなく、経営難によるLCCの運航停止も起きている。先に紹介したモナーク航空とエア・ベルリンなど、特にLCC先進国とされる欧州が多い。スペインのスパンエアーは2012年1月に運航停止。LCCではないが、その1週間後にハンガリーのフラッグ・キャリアにあたるマレーブ・ハンガリー航空も続き、欧州で当時大きなニュースとなった。
 
台湾では、2016年10月にLCCのVエアを親会社の復興(トランスアジア)航空が吸収合併。その復興航空も同じ年の11月22日に全便を運航停止した。墜落事故が相次いで客足が離れて資金繰りに行き詰ったとされる。いずれも日本との路線が多かっただけに影響を受けた日本人旅行者も多く、運航停止してしばらくの間、未使用分の返金や他の航空会社が特別価格を提示するなどの対応が見られた。
 

突然の運航停止、利用者としてはどうすればよいか?


航空会社が倒産した場合、過去の日本航空などのように運航を継続する場合と、ある日突然に全路線が運航停止となる2つのパターンがある。

いずれにせよ、いち早く情報収集することが大事。もし遭遇してしまった場合、その航空会社に電話で問い合わせる、空港のカウンターに真っ先に足を運ぶなどして、とにかく素早く行動しよう。支払った航空券の代金が戻ってくる保証はないものの、ツアーだと添乗員や旅行会社、個人旅行だと自力で、代替便の手配をとにかく早くしたほうがいい。同じ境遇の人々とSNSなどで情報共有するのもおすすめする。

航空会社は経営が行き詰まると、非常にお買い得なセールを行う場合もある。もし事前に良くないニュースを知ったら、いくら安くても利用しないのが賢明といえる。
 
(文:飾磨 亜紀)