押し込まれる時間が長かったマリノス。特に左SBの山中は、数的不利の状況で苦戦を強いられていたね。(C)J.LEAGUE PHOTOS

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[J1リーグ30節]横浜 3-2 鹿島/10月21日/日産ス
 
 マリノスとアントラーズの一戦は、激しい点の取り合いの末、最後に粘りを見せたマリノスが勝利を収めた。
 
 もっとも、チーム力や個々のプレーのクオリティでは、アントラーズが一枚も二枚も上だった。両サイドを起点にしながら、人数をかけた分厚い攻撃を繰り出し、多くのチャンスを作る。
 
 ブラジル人トリオの迫力も凄かった。FWのペドロ・ジュニオールはゴリゴリ行けるし、中盤のレアンドロは多彩な仕掛けを見せて、レオ・シルバは正確なCKで2点をお膳立て。彼らの存在感は際立っていたと思う。
 
 結果的に負けてしまったけど、2点を先行される苦しい展開のなか、一時は追いついてみせた。ゲームを支配する時間もアントラーズのほうが長かった。
 
 一方のマリノスは、ホームとはいえども自陣に押し込まれる時間帯が長かった。前半のうちに効率良く、ふたつのゴールを奪うまでは良かったけど、その後は防戦一方だった。
 
 伝統的にも堅守に定評のあるマリノスがあそこまで劣勢を強いられたのは、システムのバランスが悪かったからだと思う。
 
 いつもの4-2-3-1の布陣で挑んだけど、時間の経過とともに、CFの伊藤とトップ下の天野が戻り切れなくなって、中盤は右のマルティノス、左のバブンスキー、2ボランチの中町と喜田の4人で守備ラインを形成する。
 
 そこでバブンスキーは中に絞る傾向があり、マリノスの左サイドにはスペースが生まれてしまっていた。そのスペースをアントラーズの中村や西、2トップの位置からワイドに開いた金崎らに自由に使われていた。
 
 だから、マリノスの左SBの山中は、本当に大変だったと思うよ(苦笑)。中村と西のふたりに対抗しながら、そこに金崎が絡んでくるんだから。ひとりで3人を見なければいけない状況が何度かあった。
 
 それでも、2-2とされた後に、その山中から遠藤の決勝点が引き出されるんだから、面白いよね。対峙する中村を見事なフェイントでかわし、そのまま敵陣に侵入して、相手の最終ラインの背後に走りこんだ遠藤にスルーパスを通す。
 
 遠藤の動き出しも素晴らしかったけど、山中の高いテクニックが凝縮されたゴールだったね。
 
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 マリノスのシステムの話に戻すけど、どこに“穴”ができていたかは明確だった。ひとつの修正案として、どこかのタイミングで4-5-1にするのはどうだったか。
 
 中盤の攻防で後手を踏んでいたし、人数も足りていない。バランスも悪い。それだけに、5人を横一列に均等に並べて、不用意にスペースを作らないように防波堤を作る。
 
 ボールの動かし方に無駄がなく、ビルドアップも上手いアントラーズ相手には、自陣のゴール前を固めるよりも、ミドルゾーンで勝負に持ち込んで、そこで引っ掛けてボールを奪ったほうが、全体的な疲労も少なかったのではないだろうか。
 
 マリノスは最後の交代カードでCBの栗原を投入して、5バック気味にして逃げ切った。システム的には5-4-1だ。それもまた強固な壁を築いて、守備の強度は上がったと思うけど、中盤の密度をより高めた守り方も見てみたかったね。