毎年約30%の子供たちがいじめに遭うというアメリカでは、毎年10月に「いじめ防止月間」が展開されています。この活動は、2006年にスタートし今年で11年目。団体や個人の呼びかけだけでなく、企業もメッセージ発信する中、米バーガーキングもいじめについて問題提起する動画を公開しました。

その内容が、店内ではじまった中学生のいじめを見た時、客はどう対応するかというもの。

まず、子役の中学生たちが1人をいじめ出し「お前、友達いないんだろ」「ここで何してるんだよ」などと暴言を浴びせます。さらに飲み物をわざとこぼしたり、彼を突き飛ばしたりと、いじめは徐々にエスカレート。ここで周りの大人たちがどう反応するかを観察するのですが、なかなか止めに入る人は出てきません…。

続いては、同店内でバーガーキングの看板メニュー「ワッパージュニア」を注文した客がドッキリのターゲットに。店員がハンバーガーにパンチし、ボロボロになった状態で提供されたハンバーガーに、客のほとんどが、店員に対し取り替えてほしいと掛け合います。

客:バーガーがグチャグチャだったんだけど。

店員:お客さまが注文されたのはいじめられたワッパージュニアですか? それともいじめられてないワッパージュニアですか?

客:ワッパージュニアをいじめた?

店員:まあね(悪びれる様子もなく、拳でワッパージュニアをぐちゃぐちゃにする様子を再現)

謝るどころか、開き直ったような店員の態度に、あぜんとする客や余計に怒り出す人など、反応はさまざま。

ムービーでは次のようなテロップでドッキリの結果を説明。

「いじめられる中学生(ハイスクールジュニア)」を止めに入ったお客さんの割合は12%だった。一方、「いじめられるワッパージュニア」を見て声を上げたお客さんは95%だった。

もちろん純粋に比較できる内容ではないけれど、自分に関与しない問題(いじめ)に出会ったときに、声をかけた人は12%とごくわずかだったことが判明。

ハンバーガーと子供を比べるというのは少し強引なものの、動画の冒頭に子供たちが「ほかの人のために立ち上がるのは難しいんだ、だってターゲットになると思うから」「なにもしないのは簡単なこと」と話していることが思い浮かびます。大人でも止めに入るのは勇気がいることで、12%しか行動することができないことだったのです。

ただ動画の後半には、いじめを止めようといじめられた中学生に話しかけ、ともに食事をする人の様子が映し出されます。いじめる人を叱りつけるわけではなく、いじめられた男の子に「大丈夫?」と声をかけている彼女の強さに心が打たれます。

自分がいじめに出会ってしまったとき、知らない人のふりをするのは簡単なことですが、一言だけでも言葉をかけてあげることの大切さが伝わってくる動画です。動画の締めくくりでは、実際にいじめにあったことのある子供が「人の助けが大きなサポートとなった」と語っています。

もし、自分が力になれるなら…あなたは声をかけられますか?