東京五輪“前例ないレベル”のサイバー攻撃に警鐘

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「テロ対策特殊装備展'17」(東京ビッグサイト)にて、英国大使館国際通商部によるプレゼンテーション「英国のサイバーセキュリティ対策」が10月13日に行われ、登壇したポール・エリス一等書記官(防衛装備、セキュリティ・民間航空機担当)が東京オリンピックにおけるサイバー攻撃の可能性について講演を行った。

エリス氏はまず、今年8月31日に発表された「安全保障協力に関する日英共同宣言」において、サイバーセキュリティの課題に対して日英両国が連携を深めることを約束したことに触れ、サイバー攻撃が国境なき脅威になっている現状を紹介。そして、英国では企業の95%以上がインターネットを利用している点、5人に4人がオンラインショッピングを利用している点などをあげ、「サイバー犯罪の脅威が増加している」とした。

調査によると、昨年は英国企業の46%が少なくとも一度はサイバーブリーチや攻撃を経験。サイバー犯罪による被害は1件につき平均約300万円の損失を被っており、そのうち23%の企業は通常業務の継続も不可能な状態に陥ったという。英国は昨年11月に新たな「サイバーセキュリティ戦略」を公表し、約3,000億円もの予算を充てているが、これは日々進化を遂げているサイバー攻撃への対応がいかに難しいかを如実に伝えているとも言えるだろう。

また、エリス氏は“成功裏に終えた”ロンドンオリンピック(2012年)の大会期間中に2億件の悪意ある接続要求をブロック(ピーク時は一度のDDoSで1秒あたり11,000の要求をブロック)していたことも明かし、「リオデジャネイロオリンピック(2016年)ではより多くの攻撃があった」とも。「この傾向が続けば、東京オリンピック時は大会期間中も大会前も、これまでにないレベルのサイバー攻撃にさらされることになる」と警鐘を鳴らし、官民一体のサイバー攻撃対策の強化を促していた。