日産の不適切検査問題、原因は”組織に於ける意思疎通の不成立”

写真拡大

 9月29日に明らかになり、社長が陳謝する事態に追い込まれた日産の不適切検査問題は、11日に実施した社内調査で湘南工場勤務の無資格者が完成検査を行っていたことが確認されていたが、17日には追浜工場、栃木工場、日産自動車九州でも相次いで同様の不適切な事例が確認されるに至った。

【こちらも】【日産の不正検査】「なぜ?」を5回繰り返せ カルロス・ゴーン会長の責任は?

 120万台に及ぶリコールを余儀なくされ、250億円にもなる費用が見込まれると共に、社長の謝罪に追い込まれ、ブランドを大きく毀損した不適切検査問題が起こったにも拘わらず、日産は現場に規律を取り戻すことが出来なかった。

 これだけの騒動になれば、組織人として襟を正して、2度と同様の過ちは繰り返さないと考えるのが“常識”というものだ。しかも、個人の気まぐれな行動ではない。遠く離れた各地の工場でも同じようなことが行われ、重要性を認識している筈の上司も部下も過ちを繰り返してしまうところに大きな違和感がある。

 社長の記者会見では「課長と係長のコミュニケーション」に問題があるとの認識が示されていた。複数(最低4カ所)の現場で共通して「課長と係長のコミュニケーション」に問題(意思疎通の不成立)があると言うのである。相当歪んだ組織なのだろうかと思う反面、何処にでも起こり得るような、人間関係の難しさを改めて思い知らされたような重みを感じる。

 生産工場の現場を知らない我々が考える以上に、課長と係長の間には大きな隔絶があるのだろう。課長は本社からの指示を伝える(押し付ける)管理職で、係長は現場で発生する全ての問題の責任を問われる現場責任者であって、現場が抱える問題に課長がキチンと向き合ってこなかったのか、現場を知らない(と係長が思い込んでいる)上司の指示は聞き流す悪習があったとでもいうのか?

 外部で詮索しても始まらない。日産で起こったことは日産が解決しなければならないが、問題がどこにあるのかがやっと浮き彫りになった。言葉では軽く言えても「相手の言い分をよく聞いて、双方が納得できる解決策を導けるような、風通しのよい生産現場に再生する」することはできるのか?

 “課長と係長のコミュニケーションに問題があった”のであるから、症状に応じて投薬なり手術なりの手が打てる状況になったと言えるだろうが、頑なに閉ざした心を開かせるのは容易でない。就任わずか半年でとてつもない乱気流に巻き込まれた西川広人社長は、組織を再生して信頼を回復する剣が峰に立っている。名実ともに「やったぜ日産」と言える時期が遠からず来ることを期待するのみである。