2年ぶりの日本シリーズ進出を決め、記念撮影するソフトバンクのサファテ(前列中央)ら投手陣=ヤフオクドーム

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◆ 中継ぎ成績は16回1/3で防御率0.00

 10月22日、パCSファイナルステージ第5戦でリーグ覇者・ソフトバンクが貫禄を見せつけた。序盤から相手先発・美馬学に打線が襲いかかり、2ランを含む3安打4打点と大暴れした松田宣浩の活躍などで7点を挙げた。

 投げては先発・武田翔太が7回無失点。岩崎翔、森唯斗とつなぎ、最後は球界最高の守護神・サファテが締める完封リレーで7-0の快勝。楽天に2連敗を喫する苦しいスタートとなったファイナルステージを、第3戦から一気の3連勝でソフトバンクが突破。日本シリーズに駒を進めた。

 楽天との激闘のなか、メディアをにぎわせたのは、5試合で4本のアーチを放ちシリーズMVPに輝いた内川聖一や、第3戦から2試合連続の決勝本塁打を放った中村晃。しかし、彼らほど目立ってはいないものの、大きな仕事をやってのけたのが中継ぎ陣だ。

 シリーズのマウンドに上がったのは、サファテをはじめ、森、岩崎、嘉弥真新也、石川柊太、モイネロの6人。森と岩嵜が4試合、残る4人が3試合に登板した。5試合で延べ20人をつぎ込むというまさにフル回転だ。そして、6人の合計成績は16回1/3で58人の打者と対戦して与えた四球は3、被安打もわずか7。楽天打線を完璧に抑え込み、1点も許すことがなかった。

◆ 先発が崩れても盤石の中継ぎが控える強み

 先発陣はというと、この日の武田のほか、第2戦の千賀滉大はきっちり仕事をこなしたものの、5回5失点だった和田毅のほか、東浜巨、バンデンハークの3人はシーズン中のような安定感を見せることができなかった。

 ただ、短期決戦ということで、当然、戦術も変わってくる。首脳陣は、和田、東浜、バンデンハークを無理に引っ張ることなく、それぞれ80球台の投球数で降板させた。工藤公康監督ら首脳陣が中継ぎ陣に全幅の信頼を寄せていることの表れだろう。そして、その信頼に彼らは完璧に応えてみせたということになる。

 シーズン中には、登板過多が目立っていた中継ぎ陣の声をサファテが代弁し、先発陣に苦言を呈し物議を醸したこともあった。

 しかし、総力戦のCSという舞台ならばサファテも納得の連投だろう。サファテ自身は第3戦から3連投。第4戦では1点差のしびれる試合展開のなか、回またぎでの登板もこなした。結果は3試合3回で被安打0、5つの三振を奪うというさすがの内容。楽天打線になにもさせずにシリーズを締めくくった。

 CS、日本シリーズなど短期決戦の場合、野手のラッキーボーイ的存在がファンを沸かせ注目されるケースは多い。対して、特段に脚光を浴びることは少なくとも、シーズン同様、課せられた自分の仕事を当然のようにこなしたソフトバンクの中継ぎ陣。サファテは、日本シリーズ進出決定後の会見で「すごい仲間たち」と誇らしげに彼らを表現した。今回のファイナルステージ逆転突破は、その「すごい仲間たち」に支えられたものであることは間違いない。

文=清家茂樹(せいけ・しげき)