今年の秋は一挙に駆け足で去りゆくのか、思わず風邪を引き込んでしまいそうな長雨が続きます。本日23日は二十四節気「霜降(そうこう)」。冷たい時雨が降るたび気温は下がり、急いで色づく野山に、収穫後の田畑に、霜が降りる時節となりました。


霜降(そうこう)/露が陰気に結ばれて霜となりて降るゆえなり

例年ならば秋晴れが続く10月の中旬だというのに、早くも冷え込んできました。セーターやコート、ダウンなどを、今年はいち早く箪笥から引き出して、冬の寒さに備えている方も多いことでしょう。そんな折、本日より暦変わって、二十四節気「霜降」に。七十二候では、「霜始降(しもはじめてふる)」となりました。
〜露が陰気に結ばれて霜となりて降るゆえなり〜と暦便覧に記されるように、早朝に草木を湿らす露が霜へと変わる頃。辺りの風景は次第に赤や黄色、金色に日々染めかえられていきます。気温が4度以下となり、地表付近が氷点下になることが、霜が降りる条件。のつく秋の長雨で、さらに霜が降りやすくなり、初霜が見られるのも例年より早くなってくるかもしれません。


霜降の花景色/金色に群れ咲くセイタカアワダチソウの受難

秋の花粉症に悩む方には辛い季節です。春に飛ぶ花粉は主にスギなどの樹木ですが、秋は背の低い草の花粉が多く、カモガヤやギョウギシバなどのイネ科の植物、ヨモギやブタクサなどキク科の植物がアレルゲンとなっています。
この中のひとつ、ブタクサによく似ているけれど、ひときわ背が高く、派手な黄色い花が群落となって盛大に咲く植物があります。その名もセイタカアワダチソウ(背高泡立草)は、北アメリカから渡来し、高度成長期に爆発的に全国に分布した秋の花。一時期はススキをも追い散らすほどの勢いで繁茂したこともあり、長らく喘息や花粉症など花粉アレルギーの原因だと噂されてきました。ところがこれは、まったくの濡れ衣、風評被害。実はセイタカアワダチソウの花粉は昆虫によって媒介され、風によってばらまかれるものではないそうなのです。
原産地ではハーブとして扱われ、花はハーブティに、若芽も食用になるセイタカアワダチソウ。まるでクリームのような形状で泡立つように咲く黄金の花房は、秋の野の風物詩。これまでなんとなく避けてきたこの花の美しさを、豊かに咲く花の風情を、この秋は改めて見つめ直してみたくなりました。


霜降の食卓/江戸時代発祥のあったかメニュー「おでん」

寒くなるとご家庭でも作りたくなる定番メニューが「おでん」ですね。もともと豆腐を串に刺して焼き、味噌だれなどを塗った「田楽」がルーツらしいのですが、豆腐がいつしかコンニャクになり、醤油の登場もあいまって、煮物料理として成立。江戸末期には一般大衆に広まったのだそうです。関西ではこの「おでん」を「関東煮(だき)」と称し、味がついた下地で煮込んでいたところ、関東大震災の際たきだしの形で関東への逆輸入。以来、関東煮がおでんの正統になったと聞きます。
つけだれの種類、具材となるおでん種は、全国各地、家庭によってもさまざま。近所のコンビニでも買えるけれど、旬を迎えた大根が手に入ったら、好みの味で好みの種を、大きな鍋でコトコトぐつぐつ。蓋を開けたとたん立ちのぼる湯気と出汁の匂いに包まれれば、身も心も芯からあったまることでしょう。


霜降の風物詩/今年は11月1日。「十三夜に曇りなし」

今年の後の月、十三夜は、11月1日。十五夜は案の定、夜空がすっきりしない地域が多かったようですが、来る十三夜はどうでしょうか。「十三夜に曇りなし」と言われるように晴れることが多いというので、期待もひとしお。この時期収穫される作物にちなみ栗名月、豆名月とも呼ばれる月の輝きを、密かに望む方も多いことと思います。
巡る月日はいつも速足だけれど、しばし昇る月を心穏やかに待つのも一興。煌々と冴える月の姿を愛でるひとときを、晩秋の長い夜にゆるりと愉しんでみてはいかがでしょうか。