den-sen / PIXTA(ピクスタ)

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 ビジネスパーソン向けに、ビジネススキルを向上させるプログラムを実施していて、相談を受ける内容に、「プレゼンで、聞き手に興味を持ってもらえない」「相手を引き付けることができない」というものがある。

 1対多数のプレゼンで、聞き手が興味を持ってくれない場合に、主催部門が冒頭に「プレゼンを真剣に聞きましょう」「しっかり聞いてください」「メモをとりながら聞きましょう」などと、注意事項を述べる場合もある。親切心からだろうが、それも聞き手をうんざりさせて、ますます聞き手の関心を削いだりする。

 中には、自分のプレゼンを聞き手が真剣に聞いてくれないのは、聞き手の態度が悪いからだという声も聞く。しかし、それは、私には無意識のうちに自分を慰めているように聞こえてならない。

 プレゼンテーションの訴求力を高めるためには、さまざまなスキルが必要だ。アイコンタクトの長さ、アイコンタクトを外す方向、スクリーンやホワイトボードを背にして指しながら聞き手を向いて語るターン、まんべんなく聞き手を見渡しながら縦にアイコンタクトを外す方法、話の伝達を阻害するいわゆるノイズの解消など、表現力を高めるスキルも不可欠だ。

 最初に相手の気持ちをつかんで、プレゼンテーションのセットアップをするスキル、プレゼンテーションの全体像を俯瞰するスキル、最も伝えたいメッセージを訴求するスキル、メッセージとメッセージをつなげる話法、相手の心に響くフレーズをつくり出すスキル……構成力も重要だ。

 さまざまな方法を試してみたが、最も簡単に修得でき、最も早く効果が出て、最も広い範囲の人が実践できる方法がある。それが3点話法だ。

◆伝えたい事が10あってもプレゼンでは3点に絞れ!

 3点話法とは、「伝えたいことは3点です」「ポイントは3点です」「理由は3点です」「今後のアクションプランは3点です」というフレーズを、プレゼンの節目節目で入れて構成する話法だ。

 このように申し上げると、「いやいや私が話したいことは5点ある」「理由は1点だ」「3点でなければならないのか」……という反応に接する。2点でも4点でもなく、3点でなければならないのだ。3点でなければならないという理論的な裏付けはない。理由は、20年来スキル向上演習を実施してきた経験から、聞き手の集中力の低下を最も防ぐことができる話法が3点だという理由だけである。

 疑問を持った人には、まずは、実施してみてくださいと、実際のビジネスの場面で使用してみることをお奨めしている。実施した感想を聞くと、リズムがつかめる、相手の反応がよいように思うという答えが返ってくる。

 中には、「ポイントが多くて3点に絞れない」という反応もある。実は、ポイントの多いということ自体が、聞き手を引き付ける障害になっているのだ。5点も10点もポイントを羅列されたら、聞き手の集中力は、羅列されていく度に下がる。5点も10点も話さないことだ。

 こう申し上げたところ、「伝えなければならないことは10点あるので、それを話さないということは許されない」という反応に接したことにある。そうであれば、10点は資料として配布すればよい。プレゼンでは、その中から最も伝えたいことを3点選んで、伝えればよいのだ。

 ポイントが5点あっても、最も伝えたいポイントを3点選ぶのだ。理由がよりたくさんあっても3点選ぶ。主な理由が1つしかなかったとしても、しいて挙げれば2つ目、3つ目の理由があるというようにマイナーな理由を挙げればよい。今後アクションすべきことが20あったとしても、20解説しない。最も重要なアクションを3つ述べるのだ。

「今後アクションすべきことが20あるにもかかわらず、それらを全て付言しないとはいいかげんだ」という反応に接したことがある。そのとおりだ。いいかげんだ。しかし、このいいかげんな方法こそ、相手を引き付け実現度を高めるのだ。