マラソン大会シーズン到来!完走後は冷やす、温めるどっち?

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レース直後は冷やす

これから冬にかけて、各地でマラソン大会が増えてくる時期。マラソン後のリカバリーには入浴がいいと考えがちですが、体の状態によっては症状を悪化させる可能性もあります。たとえば、大会直後に下肢に痛みや強い疲労がある状態で入浴すると、炎症を起こしている筋肉の血流が増加し、炎症を増幅させる可能性があります。また、レースですでに脱水傾向にあるため、リカバリーが遅れる可能性もあります。そのため、冷やすか温めるか悩んだら、レース直後は冷やすほうが確実です。

マラソン直後のアイシングの意味は、過剰な炎症を軽減させ、血管の収縮を促進し、運動後の筋肉の痛みを軽減させることにあります。方法としては、13〜15℃が理想的な温度とされていて、自宅では風呂に下肢が隠れる程度の水に氷を入れて15分程度入浴したり、確実に強く痛む箇所があれば、氷水を患部に10分程度当てるという方法がよく知られています。

入浴によるメリットも

それでも、マラソン直後に冷えた体をゆっくり温めたい気持ちはよくわかります。実際、温かいお風呂での入浴の効果もいくつかあげられます。循環が促進され、硬くなった筋肉がほぐれたり、緊張していたレース後の体へのリラックス効果や、副交感神経系の働きが活発になって、リカバリーが促進されるといった一面もあります。また、水圧自体がむくみを減少させる効果もあります。

マラソン後は腰や首から肩周辺に強い筋肉のハリが残ることが多いため、これらの症状は入浴で改善されるかもしれません。また、「冷え」「筋肉の緊張」で下肢の筋肉が張り、痛みを起こしていることも考えられます。そのため、筋肉痛程度であれば、水分補給を十分にしながら炎症が悪化しない程度に入浴するといいでしょう。

痛みが強い場合は、入浴やシャワーで全身を軽く温めたうえで、患部だけを冷やすか、下肢を冷却してみましょう。銭湯の水風呂は17℃前後のところが多いのでやや温度は高めですが、下半身だけ浸してもいいでしょう。自宅の場合(前述)は、上半身をバスタオルなどで十分に温めたり、温かいドリンクを飲むと快適に過ごせます。

 

ライター:楠田圭子(RUNNING style)
出典元:RUNNING style.95「ランナーにいいこと、悪いこと」/監修:蔵本理枝子(日本整形外科学会認定専門医・日本整形外科学会認定スポーツ医)