6月の定時総会で目立ったのは株主の“あきらめ”。臨時総会ではどんな意見が出るのか(記者撮影)

10月24日の臨時株主総会を前に、東芝では安堵感が広がっている。

「この日、本社で多くの人が祝杯を挙げたようだ」(東芝中堅幹部)

10月11日、東京証券取引所は東芝の特設注意市場銘柄指定を翌日に解除すると発表した。懸案だった内部管理体制の不備による上場廃止リスクが消えた。迷走した半導体メモリ子会社、東芝メモリ(TMC)の売却も9月末に契約を締結。障壁は残るが、債務超過解消へ一歩前進した。

今回総会を開くのは、6月の定時総会で2017年3月期の決算報告ができなかったため。このときの取締役選任は暫定としていた。

巨額損失を招いた取締役はほとんど変わらず


だがふたを開けると、退任は売却するTMCの社長を兼ねる成毛康雄副社長のみ。残る8人は続投し、新たに秋葉慎一郎副社長と櫻井直哉上席常務が就任する。

8人はいずれも2015年9月に取締役に就任。米原子力子会社ウエスチングハウス(WH)を法的整理に追い込み、東芝に1兆円超の損失を与えた原発建設会社の買収を承認。綱川智社長とCFO(最高財務責任者)の平田政善専務は度重なる決算発表延期を招いた。

新任取締役候補の秋葉氏は不正会計の関与者に認定されている。櫻井氏は、WHの減損を第三者委員会の調査対象から外すよう工作したメールを『日経ビジネス』に暴かれた人物だ。

特注解除にはコンプライアンス体制の改善もあるはずだが、社内からは「“戦犯”が出世する。コンプライアンスなんてお題目」といった声が聞こえてくる。

議決権行使助言会社の米ISSは、綱川社長を含む5人の再任に反対(2人の新任には賛成)を表明。2017年3月期決算の承認についても、監査法人が「限定付き適正意見」をつけたことを理由に反対を推奨している。

東芝メモリ売却は承認されるのか

臨時総会ではTMC売却について、特別決議で3分の2の賛成を得る必要がある。6月の総会では「上場維持のために虎の子のメモリ事業を捨てるのではなく、虎の子を残して東芝として再上場を目指す選択肢もある」との株主の声もあった。


当記事は「週刊東洋経済」10月28日号 <10月23日発売>からの転載記事です

債務超過解消と上場維持に必要というのが経営側の主張だ。しかし、「独占禁止法や米ウエスタンデジタルの訴訟を考えると、上場廃止回避に必要な来年3月末までの売却ができるか不安が大きい」(TMC社員)。となれば、現在のスキームでの売却が本当に株主にプラスか判断が難しい。

6月の総会では綱川社長再任への賛成率が89%、ほかの取締役も多くが90%前後だった。今回はどれだけの信任を得られるか。