本誌のドキュメンタリーページ『シリーズ人間』に登場し、「あのキレイだけど押しの強い弁護士はナニモノ?」と、巷をにぎわせた仲岡しゅん弁護士。その正体は、男性として生まれ、数年前に女性に「トランス」した男と女のハイブリッド弁護士!大阪生まれ、大阪育ちの若き闘士は、悪を許さぬ正義感と、美貌に似つかぬ義理人情を盾にして、法律を武器に日々奮闘中。そんなハイブリッド弁護士がトラブルをシュッと解決!
 
【今回の相談】「SNSに飲み会の写真を投稿したら、同席していた友人女性が婚約破棄されました。私が投稿した写真に、友人が男友達と肩を組んでいる様子が写っていて、それを見た嫉妬深い婚約者が激怒。これがきっかけで婚約破棄に……。友人が『アンタのせいよ』と請求してきた慰謝料100万円、払う義務はありますか?」(30代女性・会社員)
 
【回答】「お友達が慰謝料を請求すべき相手は貴女ではなく、そんなことで婚約を解消した嫉妬深い元婚約者です」(仲岡しゅん)
 
今回はSNS写真が、婚約破棄にまでつながったというご相談ですね。まず、慰謝料というのは、精神的な損害に対する賠償金のことをいいます。そして、貴女に慰謝料の支払い義務が発生するのは、貴女の行為が次のいずれの条件も満たしている場合です。
 
1つ目は、貴女の行為が「不法行為」(民法709条、710条)に当たること。そして2つ目は、その行為と相手の損害に法律上の「因果関係」があることです。
 
まず、不法行為とは、他人の権利を違法に侵害する行為のことです。今回の場合、無断で他人の写真を投稿していますから、厳密に言えば肖像権の侵害という点で、不法行為になる可能性はあります。ですが、仮に不法行為が成立しても、貴女の行為と発生した損害との間に法律上の因果関係がなければ、慰謝料を支払う義務はありません。
 
因果関係とは、平たくいうと、行為と結果との「つながり」です。「風が吹けば桶屋が儲かる」のように、行為Aがある損害の発端になっていたとしても、それによって生じた損害と行為Aのつながりが薄い場合、行為Aをした人に賠償責任は生じないのです。
 
ここで、今回のご相談のケースです。他人の写真を無断で投稿する行為は好ましくありませんが、写真に写っていたお友達は、肩を組んでいただけとのこと。浮気したわけではありません。これを理由に婚約破棄をされたのなら、婚約破棄の直接の原因は、あなたのSNSではなく、友人の元婚約者の狭量な性格です。貴女の行為は婚約破棄の結果とは直ちにつながらず、因果関係が薄いと判断されるでしょう。
 
つまり、お友達が慰謝料を請求すべき相手は貴女ではなく、そんなことで婚約を解消した嫉妬深い元婚約者なのです。貴女が婚約破棄の慰謝料100万円を払う必要はないでしょう。ただし、無断で写真を投稿した行為に対しては、肖像権の侵害という理由から、数万円程度の慰謝料の支払いを命じられる可能性はあります。
 
写っている人の肖像権はその人のもの。勝手な投稿はトラブルのモト。投稿する前に必ず、本人の許可を取ることです。わたくしはいつも、そうしてます。