サッカーの名門、FCバルセロナの本拠地があるカタルーニャ州の独立を巡り大揺れに揺れているスペイン。ラホイ首相は同州の自治権停止を決め、外交長官は「独立はクーデター」と発言するなど、事態は混迷を極めています。なぜこのような状況に陥り、そして今後中央政府とカタルーニャ州の対立はどのような推移を辿るのでしょうか。メルマガ『高城未来研究所「Future Report」』で、世界情勢に精通する著者の高城剛さんが解説・予測しています。

カタルーニャ州独立を巡る混乱の行方

今週は、カタルーニャの独立投票のその後につきまして、私見たっぷりにお話ししたいと思います。

スペインからの一方的な独立を宣言する構えを見せていた北東部カタルーニャ州のプチデモン州首相は、今月1日に行われた住民投票の結果、ついに独立宣言に署名しました。しかし、中央政府との対話の可能性を残すため、施行は数週間延期し、ペンディングとういう形をとりました。

中央政府からは、独立を宣言したのであれば、法律にのっとって憲法155条を発動させると強弁姿勢を見せています。

その憲法155条とは、自治州の活動を監視するための憲法で、その適用条件は大きく2つあります。

自治州が憲法、もしくはその他の法律に基づく義務を満たしていない場合。自治州の行為が、スペイン国の利益を著しく侵害している場合。

この2点です。もし、今後憲法155条を発動させるなら、

スペイン中央政府は、州知事に対し現在行っている行動を辞めさせるために、まず「通告文」(Requerimiento)を送らなければならない。この「通告文」(Requerimiento)が無視された場合、中央政府は「強制的」にその行動を制することが出来る。ただし、国会で過半数の承認を得る必要がある。

という手続きになります。ちなみに、過去のスペイン史で、憲法155条が発動されたことは一度もありません。スペイン政府は10月21日から自治権を停止すると発表しています。

そんな両者に緊迫感がある状況のなか、市民団体の代表2人が逮捕され、政治犯としてマドリードの牢に投獄されました。国家反逆罪と捉えられ10年を超える禁固刑だと言われており、これに対してバルセロナでは市民の3分の1近くが集まる巨大デモが起きています。

現在、イギリス、カナダ、アイルランド、ベルギー、スイス、スロヴェニア、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、リトアニア、ラトビア、エストニアが、カタルーニャの独立支持を表明しており、米国、ドイツ、フランスは独立反対を表明していますが、G7加盟国の中で、カタルーニャ紛争に対する立場表明や見解等の声明・談話を出していないのが、残すところ日本だけとなりました。

本来、スコットランドのように、中央政府が市民の権利として正式な投票を実施させれば、事態はもっとシンプルに進んだのでしょうが、結果を恐れて中央政府が許可を出さなかったため、状況は今日のように混乱しています。

カタルーニャの市民および多くのEUの市民は、投票日以降今日まで、中央政府のフランコ主義者が、カタルーニャ市民や州警察や州議会を襲撃し、圧政を行なっていると考えています。なにしろ、いまもスペイン政府はカタルーニャ州に、独立宣言を諦めたら、州首相を逮捕し懲役7年で許す、独立宣言したら首相は死刑と一方的に宣告しているからです。

混乱は、当分続くと思われます。

(現行のEUルールでは死刑は廃止されているが、今後、ルール外になる可能性の意を含む。EUを離脱する英国では、現在、死刑制度復活の議論が活発化している)

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