白洲 迅、俳優としての英気を養う“ひとり時間”の大切さ
俳優・白洲 迅は不思議な魅力を持った人物だ。自らの性格を小さい頃からシャイでおとなしく、ひとりでいられるタイプと話す。爽やかな笑顔で、答えづらい質問にも嫌な顔ひとつせず、丁寧に対応してくれる。そして、なんかほっとけない存在感。若手俳優のひとりとして、今後の活躍が期待される白洲が、ドラマ『明日の約束』(カンテレ・フジテレビ系)では初の教師役を演じる。端正なルックスと正義感あふれる役柄は、物語の中でもひときわ精彩を放つはずだ。
撮影/秋山 崇 取材・文/中沢 純「先生もできる年になったんだな」うれしいけど複雑な気持ち
- 『明日の約束』では高校2年生のクラスの担任、北見雄二郎を演じられていますね。スクールカウンセラーの藍沢日向(井上真央)が突如発生した生徒の死によって、その死の原因を究明し、人の心の闇に対峙していくというお話ですが、最初に脚本を読んだときの感想を教えてください。
- すごくメッセージ性の強い作品だなと思いました。1話を読んだだけで、伝えたいことの奥深さを感じたというか。覚悟を持って、いろいろなものを背負ってやらなくてはいけないと思いましたね。
- 今までにドラマ『ごめんね青春!』(TBS系)などで生徒役を演じられてきましたが、今回は先生役ということで、立場がガラリと変わりましたよね。
- 僕としてはまだ制服を着たいんですけどね(笑)。でも、先生もできる年になったんだなと。複雑な気持ちとうれしい気持ちが半分半分なんです。だけど実際、生徒役の子たちと挨拶を交わしたら、今回、生徒役はちょっと無理かなと思って(笑)。リアルに10代の子たちがたくさんいるので。
- ちょっと大人すぎちゃうと。
- さすがに浮いちゃうかな。でも先生は先生ですけど、若手教師ではあるので。そんなに“先生”というものを意識せずに、ナチュラルにいそうな感じで演じられたらなと思います。
- その先生の姿ですが、シャツ&ネクタイにジャージ姿の写真をインスタグラムにアップされていましたね。教師あるあるのファッションなんですけど、すごく独特ですよね。
- 面白いですよね。シャツとスーツにジャージを合わせるって、いつから生まれたんだろうと思いますもん。
- その姿を見ると、一目で先生だとわかります(笑)。
- そうなんですよ。
- すごくサマになっていると思いました!
- 本当ですか!?
- はい! まわりの共演者の方にも褒められた?
- いや、今のところなにも言われていないです(笑)。
- (笑)。井上さんや仲間由紀恵(吉岡真紀子役)さんたちと共演されていますが、撮影現場はどんな雰囲気でしょう?
- 撮影当初から感じているんですけど、現場はいい雰囲気で進んでいってます。今回はとくにハードな内容なんですが、現場自体は和気あいあいとしているし、柔らかい雰囲気でやっていますね。
“しらじん”と呼ばれるのは今回の現場が初めて(笑)
- 先日、共演者の新川優愛さんにインタビューしたときに「白洲さんはみんなに“しらじん”と呼ばれている」とお話されていました。この呼び名は、今回の現場だけなんですか?
- 完全に今回の現場だけですね。初体験です。“しらじん”は初めてですね。
- 誰が呼び始めたんですか?
- じつは今作のメイクさんに以前からお世話になっていて。その方だけが“しらじん”と呼んでいたんですよ。それが今回の現場では、なぜかいろいろなところに浸透して(笑)。
- 新川さんから「“しらじん”か“しらじんさん”と呼んでもいいですか?」と、ことづてを頼まれてまして(笑)。
- たしかにまだ、優愛ちゃんは僕のことを「白洲さん」と呼んでいて。ちょっとね、距離を感じるんですよ。僕は「優愛ちゃん」と呼んでいるんですけどね。全然問題ないので、“しらじん”と呼んでほしいです(笑)。
- “しらじんさん”ではなく、“しらじん”でいい?
- “しらじん”でいいですよ(笑)。“しらじんさん”もおかしいので。だいたい、“しらじん”自体、白洲 迅(しらすじん)から一文字しか略せていないですからね。
- そういう話を聞くと、現場のムードメーカー的な存在なのかなと思いますが。
- どうですかね。僕はあまりムードメーカーになることは少ないんです。人見知りだし、おとなしいほうなので。もしムードメーカー的存在になれているなら、うれしいですけどね。
- プライベートも、どちらかというと引っ込み思案なほう?
- 引っ込み思案というか、本当にしゃべらないですね。
- あまりそういうふうには見えませんが…。その性格は小さい頃からですか?
- そうですね。小さい頃からおとなしいですね。
- けれど、俳優というのはスポットライトを浴びる職業じゃないですか。なんだか、一番遠くにある職業のように感じますが…。
- そうですよね。一番、遠くのように感じている場所でしたよ。でも気付いたらいましたね。
- 自分を出すことに慣れてきた、というのもあるんですか?
- 基本は苦手で、あまり変わってはいないですけど。バラエティとかだと、自分自身で出なくてはならないので、それはすごくエネルギーを消費するというか。
- 役を演じるときより自分をさらけ出すほうが、疲弊が半端ない?
- はい(苦笑)。魂を削るような気がしますね。だから、芸人さんとかってスゴいなと思いますよ。
- 舞台にも出演されていて、そういう一発勝負のところで磨かれることによって、役を通してなら自分を出せるようになった?
- そうですね、役を通して。役とはいえ、演じるのは僕なので。僕から発せられる、なにかしらを表現できたらいいなと思ってやっています。
リフレッシュ方法は…ひとりカラオケでミスチルを熱唱!
- ここ何年か舞台やドラマなど、ひっきりなしに出演が続いていますが、モチベーションをどのように保っているんですか?
- モチベーションですか……うん、でもやっぱりそこは考えるというか。もちろん、どうやって保とうかと思うときはあるんですけど、逆にモチベーションが高くなかったら、そのときの芝居がダメになっちゃうのかといったら、そうでもなくて。
- モチベーションの“高い低い”の問題ではないと。
- そうなんです。もちろん、高かったらいいんですけど、普段はそこに依存しないようにやっています。
- 忙しい日々が続くとストレスがたまることもあると思いますが、発散方法があれば教えてください。
- リフレッシュ方法はいろいろありますけど、ひとりカラオケとか。あとYouTubeを見ながら晩酌とか。
- ひとりカラオケではどんな歌を?
- 僕はMr.Childrenさんが大好きで。ミスチルさんの曲って、すごくキーが高いんですよ。でも、こだわりとして絶対に原曲キーで歌うという。普段、本当におとなしいし、ボソボソしゃべるので大声を出すことがなかなかないから。カラオケに行って、はたから見たら引くくらいの大声を出してます(笑)。
- 本当に!? もう叫びに近いという感じですか?
- 歌詞をグッと噛みしめながら叫びますね(笑)。
- (笑)。ちなみに、ロードバイクも趣味なんですよね。今も頻繁に乗っているんですか?
- じつは最近、サボり気味なんですよ。秋は走るのにちょうどいい時期なので、乗らなければと思っているんですけどね。ひとり旅に行きたいなと。
- 今まで共演された方と、遊びに行かれたりすることは?
- なくはないですけど。誘われたらごはんとかに行ったりしますが、基本、自分からは誘わないですね。
- あまり自分から誘うタイプではないんですね。
- そうですね。難しいですね、誘うってスゴいなと思いますよ(苦笑)。僕は本当にひとりでいられちゃうタイプなので。誘ってほしいです。
- 仲のいい俳優さんは?
- やっぱりその質問ってありますよね(笑)。普通に舞台仲間と旅行に行ったり、そのとき撮影している共演者とどこか行こうと話をしたり。でもこのあいだ、『愛してたって、秘密はある。』(日本テレビ系)で共演していた福士蒼汰には、「絶対におまえの家に行くからな」と言ったまま、結局行かずにドラマが終わっちゃいましたね……。
- いや、これからでも行ったらいいと思います! 付き合いは続いていくものですし…。
- そうですよね。連絡を取り合って、とりあえずメシには行こうと言っています。
- 今回の共演者の方たちとは、どこか行かれましたか?
- 今回ですか? まだ本当に撮影が始まったばかりなので(※取材が行われたのは10月上旬)。みなさん、お酒が好きそうなので、飲みにでも行けたらなと思いますね!