チェコ総選挙の後、首都プラハ市内のANO2011本部で演説するアンドレイ・バビシュ氏(中央、2017年10月21日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】チェコ総選挙(下院、定数200)は21日に開票され、既存政党や欧州連合(EU)に対する有権者の不満を背景に、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領になぞらえた「チェコのトランプ」の異名を取る富豪アンドレイ・バビシュ(Andrej Babis)氏の新興政党「ANO2011」が第1党となった。

 国の選挙管理当局は99.9%の投票所の開票終了時点の結果として、汚職追放とEUの単一通貨ユーロの導入反対を掲げるANOが得票率29.7%(78議席)で勝利し、EU懐疑派の右派政党「市民民主党(ODS)」が11.3%(25議席)で後に続いたと発表した。投票率は60%だった。

 チェコ経済は堅調だが、専門家の間では、重い債務を抱えていたり、低賃金で長時間働いていたりする国民の多くが取り残されたと感じ、不満のはけ口を求めてポピュリズム(大衆迎合主義)政党やEU懐疑派政党、極右・反EU政党に傾いているとの見方が出ている。

 今回の選挙では極右政党と極左・反EU政党が得票を伸ばし、9つの政党が議席を獲得した。これらの政党間に連立に向けた明確な動きはみられないことから、専門家は政治不安や混乱が引き起こされかねないと警告している。

 選挙の勝利後にテレビで放送された演説の中でバビシュ氏は、ANOは「親欧州派」で「民主主義を脅かさない」と述べた半面、欧州統合に積極的なEU加盟国グループが先に緊密な連合を形成し、それ以外の加盟国が後で加わる「ツースピード・ヨーロッパ」の案への不満を表明し、議会の全政党に連立交渉への参加を呼び掛けた。

 ただ、バビシュ氏にはこのところEU補助金の不正受給疑惑が浮上しており、大半の政党は連立を敬遠している様子だ。ODSのペトロ・フィアラ(Petr Fiala)党首は公約を守れなくなるとしてANOとの連立を否定した。得票率10.8%(22議席)で第3党となった海賊党(Pirate Party)もバビシュ氏と手を組む可能性はないとしている。

 東京生まれの起業家で議員のトミオ・オカムラ(Tomio Okamura)氏が率いる極右政党「自由と直接民主主義(SPD)」は得票率10.6%(22議席)だった。隣国のオーストリアやドイツで台頭した極右政党と同様に、反EU・反移民・反イスラムを強く打ち出し支持を集めた。
【翻訳編集】AFPBB News