「いつシュートが来てもいいような準備はできていた」と、81分のL・シルバの決定的な一発を見事に防いでみせた。(C)J.LEAGUE PHOTOS

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[J1リーグ30節]横浜 3-2 鹿島/10月21日/日産ス
 
 勝利をグッと引き寄せるビッグプレーだった。
 
 横浜リードの3-2で迎えた81分、ペナルティアーク付近から、レオ・シルバが右足を思い切り右足を振り抜く。放たれたシュートは威力十分。コースも申し分ない。ネットを揺らしてもおかしくない強烈な一撃は、しかし横浜のGK飯倉大樹が伸ばした左手にかすかに触れて軌道が変わり、バーを叩いて大きく上に跳ね上がった。
 
 飯倉は次のように振り返る。
 
「後半は押し込まれるシーンが多かったなかで、あの1本を止められたから勝てたとも思う。逆に、押し込まれていたから集中できていた部分はある。相手は人数をかけていたから、いつシュートが来てもいいような準備はできていたし、ああいう場面でも打ってくるだろうなという感じはあった。その感覚と、態勢も含めて、バッチリだった」
 
 セットプレーから2失点を喫したのは悔やまれるが、21本ものシュートを浴びせられるなか、飯倉は終始、安定感あるセービングを披露。確実なシュートストップだけでなく、クロス対応も盤石で、鹿島の攻撃を何度も寸断した。
 
 何気ないハイボールの処理も、しっかりとキャッチして事なきを得る。その一つひとつのプレーが、劣勢を強いられて苦しむチームに、ホッと一息つける瞬間と安心感を与えているように見えた。
 
「それが俺の特長でもあるから。キャッチできるボールはちゃんとキャッチする。簡単に弾かないことがGKとしては大事だし。状況に応じて、しっかりと判断できているのが自分の感覚としてはある」
 
 時間の使い方も巧みだ。相手が寄せてくるギリギリまで、ボールは足下に置いておく。時間帯、ゲームの流れ、味方の疲労度など様々な情報を精査し、素早くフィードする時もあれば、少しでも時計の針を進めるために、大きく蹴り上げて時間を稼ぐ時もある。
 
「若いチームだし、ボンバー(中澤佑二)ともいろいろ話しながら、後ろがどっしりと構えるじゃないけど、みんなを落ち着かせられるようにっていう意識は常に持ってやっている。それがこういうゲームで結果につながったのは良かった」
 
 1得点・1アシストの天野純がこの日のマン・オブ・ザ・マッチならば、トリコロールの不動の守護神は影のMOMだ。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)