シンガー・ソングライターのビッケブランカが14日、東京・赤坂BLITZでワンマンツアー『ビッケブランカ FEARLESS TOUR 2017』の最終公演を開催。7月にリリースされた1stアルバム『FEARLESS』を引っさげて、地元である愛知・名古屋を皮切りに仙台、札幌、大阪、福岡と5都市を回った。最終公演では開演から手の込んだ演出で独特の空間を作り上げ、バンド編成を変化させながらオーディエンスを楽しませた。【取材=多司真咲】

雷鳴轟くステージ

(撮影=星野健太)

 自身初の赤坂BLITZ公演は、チケットが完売となるなど注目度の高さが窺えた。小雨のちらつく中、会場の外階段は大行列。会場内はその多くが女性のオーディエンスで埋め尽くされていた。

 開演と同時に照明が点滅。雷鳴の様な音が場内に響き渡る。「FEAR」という文字をかたどったプレートがステージを飾り、アルバムの1曲目の「FEARLESS」がかかる。男性の影が紗幕に照らされ、狼のような雄叫びとともに幕が落ち、ビッケブランカが登場。

 碇マークの大きなフラッグとカラフルな旗がステージの背景を彩る。「1,2,3,4! BLITZ〜!!」と叫び、白のセーラー衣装に燕尾のような裾が翻る。幕開けの「Take me Take out」をハンドマイクで歌い上げる。軽快なロックナンバーで序盤から会場のボルテージを上げていく。

 続く「ココラムウ」は、英詞のアップテンポで展開の激しい曲。曲間の手拍子に乗せて奏でる彼のピアノのソロが美しい。バンドメンバーとのアイコンタクトで呼吸を合わせる。3曲目の「アシカダンス」も弾き語りのスタイル。キーボードの横に置かれたパッドで彼がリズミカルに音色を叩き出す。ブルーの照明とミラーボールの輝きが、海の中に差し込む太陽のように煌く中、観客が曲に合わせて手を上げながらジャンプ。曲の最後で力強く鍵盤を叩きつけるビッケブランカ。

 一転、静寂が訪れ、ビッケブランカの独特のテンポ感で来場のお礼を叫ぶ。「みなさんの顔がよく見れて、楽しい時間になればいいなと思います。よろしくお願いします!」と声を張り上げ、4曲目の「Bad Boy Love」の曲紹介。マイナーからメジャーへの抑揚が効いた曲中のブレイクは、ハードロック系の重厚感のある展開に。赤い照明とリバービーな歌唱でオーディエンスを圧倒。

 5曲目パワーコードで鍵盤を連打する印象的なイントロから「Natural Woman」に突入。グリーンスムージーのCM曲としてもお馴染みのこの曲では、持ち前のファルセットを惜しげも無く披露。ピアノの前から離れ、ハンドマイクに持ち替えステージを行き来する。リズミックなビートに乗せて、小刻みにステップを踏む。6曲目は冒頭からラップ調の「Broken」。ベース・ラインが激しく動き、場内はクールなサウンドに包まれる。

 7曲目の「追うBOY」で短いMCを挟むと、観客とのコール・アンド・レスポンス。何度か仕切り直し、観客との息がぴったり合うと再スタートされるのはレゲエのライブでの煽り方に似ている。手を左右に振り観客も同じ動きを繰り返す。タメをよく効かせて8曲目の「Want you Back」に。地声とファルセットを自由に行き来する音域の広さはライブにおいても完全に再現されている。

バンドフォーメーションも変形

(撮影=星野健太)

 さらに、ステージを動きまわり、バンドをアジテートする様子はライブならではの迫力だ。ベースのスラップとスペーシーな鍵盤の音色が響く中、メンバー紹介。観客の盛り上がりが足りないという表情で何度もブレイクして、仕切り直す姿に観客は応えようとする。MCを挟み、「変形!」と叫ぶビッケブランカの声にバンドのフォーメーションが変わる。9曲目は「さよならに来ました」をアコースティック・バージョンで。バンドメンバーがぐっとステージ前に集合して温かみのある音色を紡ぎ上げ、深い倍音がかった地声が優しく会場を包み込む。

 10曲目は「出来上がった瞬間から力を帯びた曲だと思った」とビッケブランカが話す「幸せのアーチ」。このバラードをエモーショナルに歌唱。すると、ステージが暗転し、嵐のような轟音が響き渡る。暗転後バンドのフォーメーションがいつの間にか変わり、ビッケブランカはピアノの前に戻る。11曲目は「Echo」。<サイダー飲み干したなら歩いて行こう>という歌詞がすっと目の前の風景を変えて、<君がどんなに辛くてもぜんぶ引き受けよう>というサビの歌詞に胸が締め付けられるような感覚を味わう。会場は一気にセンチメンタルで感動的な空気に包まれた。

 打って変わって12曲目の「Stray Cat」では、木琴のようなトロピカルな音色の打楽器をビッケブランカが叩く。エレクトロミュージックのサウンドでダンサブルな雰囲気に。鍵盤の前から立ち、ステージをダンスした彼は使っていたスティックを客席にパスする場面も。客席は歓喜に湧く。13曲目は「THUNDERBOLT」。英語詞で叫びながら終盤を飾るとステージ上の「FEAR」の文字が崩れ、“恐怖”に打ち勝ったかのような演出に。

 14曲目の「Moon Ride」では会場中に風船が投げ込まれ、会場全員が風船に手を伸ばす。観客はハッピーな曲調に合わせて風船を振りまくり、色とりどりの風船が会場を彩る圧巻の景色が広がる。「Slave of Love」の終盤、超絶技巧のピアノワークから最後の曲は「ファビュラス」。ファルセット&シャウトで序盤から盛り上げる。彼は客席を<もっともっと>という手の動きで煽る。

 しかし、ブレイクして「no thanks」と言い放ち、会場中を操る。アップテンポでステージ上を跳ね回るビッケブランカ。高揚感に満ちたボーカルとサウンドは会場中に伝わり、それぞれの体を揺らした。両手を上下に振りながらダンシングし、圧巻のステージの本編を終了。

 アンコールの拍手と同時に「THUNDERBOLT」をオーディエンスが口ずさみ、ボリュームが増幅していく。「ビッケ!」と叫ぶ声とともに彼が碇型のプリントTシャツに着替えて登場。メンバーを呼びこみ、父から買い与えてもらったと言う、3トラックしかないMTR(録音機)で音楽を繰り返し録りためていた幼少期を振り返り、「ライブが嫌いだった」と明かす。

 彼は「作ったものが再現できないのが嫌でした。お金もないしメンバーもいなかったから。でも、今はそのときとは真逆の気持ちで。笑ってもらうだけで、それが(自分に対する)返事だと思っています。今日が今までの人生で一番楽しい!」と声を張り上げると客席から拍手が起こる。今ではステージで自分が作った楽曲を披露して、ファンの笑顔を見ることが生きがいになったと言い、「みんなに曲が届いたときにちょっとでもいいことが起きたら、という願いを込めてこれからも歌っていきます」とメッセージを伝えて「Wake up sweetheart」でアンコールを締めくくった。

(撮影=星野健太) (撮影=星野健太) (撮影=星野健太) (撮影=星野健太) (撮影=星野健太)
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(撮影=星野健太) (撮影=星野健太) (撮影=星野健太) ビッケブランカ初の赤坂BLITZ公演は手の込んだ演出で独特の空間を作り上げた(撮影=星野健太)

セットリスト

01. Take me Take out
02. ココラムウ
03. アシカダンス
04. Bad Boy Love
05. Natural Woman
06. Broken
07. 追うBOY
08. Want you Back
09. さよならに来ました
10. 幸せのアーチ
11. Echo
12. Stray Cat
13. THUNDERBOLT
14. Moon Ride
15. Slave of Love
16. ファビュラス

ENCORE

En1.Wake up sweetheart

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