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吉元由美の『ひと・もの・こと』

作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さん。先生の日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。

たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…様々な『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。

言葉はその人を語るのです

言葉は時代とともに変化をする。新しい言葉が生まれ、時には使われなくなる言葉もある。「言の葉塾」という小さなクラスを始めて4年ほどになります。授業の最初には、言葉には言霊が宿っていることについてお話します。言葉には、それが現実になる霊力があるということ。次に、「やばい」という言葉を撲滅したいということをお伝えします。なぜなら、「やばい」という言葉が蔓延することで、「やばい」エネルギーが充満するからです。

「やばい」という言葉は、江戸時代の泥棒の隠語だといわれています。(状況などが)まずい、隠していたことがバレてしまいそうな時、「やべっ!」と思わず口にしてしまう…そんな感覚を持つ言葉です。

泥棒の隠語にもかかわらず、困ったことに「やばい」はすっかり定着しました。いつの間にか「すごい」「超」という意味でも使われるようになりました。電車の中などで女子中高生(JK、JCですね)の会話に耳を傾けると、もはや外国語。この言葉だけで会話が成立しています。

「これ、やばくね?」

「やばい、やばい、まじやばい。やばかわ」

彼女たちが大人になった時、どんな言葉で会話をするのだろうと思ってしまいます。

こういう話をすると、

「言葉は変化するのだから、目くじらを立てることはない」

という人が必ず登場します。いや、変化にも種類、度合いがあります。「やばい」という言葉には、やばいエネルギーがこもっていることに、もう少し意識を向けてもいいのではないかなと思うのです。

先ごろ、インターネットスラングという言葉を知りました。ネット上の掲示板や、LINEでの会話などで使われる俗語です。例えば、会話の後につける(笑)を、lol(Laughing Out Loud)、wwwなどと表します。DQNも、最初は意味が分かりませんでした。ワロタ、クソワロタ…。ネトウヨというのも、最近よく目にします。インターネット上のコミュニケーションツールとしての新語。もうついていけませんし、大人がついていく必要もなく。ただ、新しく生まれる言葉に美しさを感じられないのを残念に思います。

言葉は、波紋のようです。発した言葉は相手へ波紋のように伝わります。そして、それが心地好いものであれば、そんな波紋が相手からまた拡がります。言葉はエネルギーですから、次々と伝わっていくのです。素敵な言葉をかけられて、汚い言葉を返す人はいないのです。

そしてもうひとつ。心がざわざわする時には、丁寧な言葉で会話をするようにします。すると心が落ち着いてきます。これも言葉の力なのです。

作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー

[文・構成/吉元由美]

吉元由美

作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」