欽ちゃんが今のテレビ界に伝えたかったことは?

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 10月18日に放送された『おじゃMAP!!』(フジテレビ系)に萩本欽一が出演し、旧知の仲である香取慎吾と久しぶりに共演を果たした。萩本と言えば、1980年代に『欽ドン!』シリーズ(フジ系)、『欽ちゃんのどこまでやるの!?』(テレビ朝日系)、『欽ちゃんの週刊欽曜日』(TBS系)という冠番組の視聴率が1週間で合計100%を超え、『視聴率100%男』と呼ばれたテレビの申し子。1994年の『よ!大将みっけ』(フジ系)で香取のバラエティの才能を見出した萩本は、『全日本仮装大賞』(日本テレビ系)の後継者として香取を指名。還暦を迎えた2002年から、ともに司会を務めている。テレビ局関係者が話す。

「『おじゃMAP!!』は、香取がジャニーズ事務所を退所し、『仮装大賞』の放送が宙ぶらりんになっている中で2人が共演したということもあり、大きな話題を呼びました。欽ちゃんが『仮装大賞』を託すために、香取を司会に勧めたことも明らかになった。同時に、この放送は現在視聴率不振に苦しむテレビ界に向けて、欽ちゃん流の大きなメッセージが詰まっていたと思います」

 番組ではアンタッチャブルの山崎弘也がディレクターとなり、まず萩本と打ち合わせをした。軽い芸風に定評のあるザキヤマも、最初はお笑い界の大御所にロケ先を相談すると、「(萩本が通う駒澤大学に)行けたら良いなというのはありますよ。こっち側としてはありがたいです、そういう映像頂けたら」と恐縮していた。

 すると、欽ちゃんが「行けたら行くと(いう言葉を)ディレクターは使ったらダメ。大学行きたい。大学行く! 決断力がなさ過ぎ」と注意。ザキヤマは「行きます! 大学行きます」と即答。その後、欽ちゃんが過去の経験から「(大学は)授業撮らせないだろ」と漏らしても、ザキヤマは「撮るぞ! 授業撮るぞ! ディレクターですから、俺は」と強気になり、実際にテレビで初めて授業風景を放送した。

「今のテレビ番組は、事務所に気を遣い過ぎだし、大御所には当たり障りのないことを言って穏便に済まそうとする。ロケ場所1つ撮っても、トラブルが起きないような気を遣ってばかりいる。欽ちゃんは『それじゃ何にも面白くないんだよ』と言いたかったんじゃないですか」(同前)

 欽ちゃんと言えば、コント55号時代からアドリブを飛ばしまくって、相方の坂上二郎を追い込み、想定外の笑いを生み出してきた。また、60代でいきなり『茨城ゴールデンゴールズ』という野球のクラブチームを立ち上げたり、70代で大学に通ったりするなど常人には思いもつかない発想と行動力で世間を驚かせてきた。その魂は今も衰えていないようだ。

 番組では授業を受けた後、食堂に行く段取りになっていたが、「俺、この番組壊しにきてるからね」と言い、予定になかった駒澤大学のミスコン出場者の自己PRをチェックしに行くことに。ザキヤマも「いやいや、食堂行きましょうよ。打ち合わせしたじゃないですか」と焦った。

 番組の最後には、『欽ドン!』の名コーナー『良い子 悪い子 普通の子』で香取と2人でコントを演じた。収録から40分が経つと、萩本が「飽きたから、子供の衣装とかないかな?」と完全なアドリブを仕掛けてきた。慌てたスタッフは動物柄の短パンを香取に履かせて、何とか場を取り繕ったものの、ザキヤマが「怖い!」というように香取は明らかに変な格好になっていた。すると、香取が「おじさんが必死に脱いでいたよ」と漏らした。困った男性スタッフが自分の履いていた短パンを脱ぎ、香取に履かせていたと説明。会場は爆笑に包まれた。

「1人で段取りをぶち壊し、勝手にアドリブを入れてスタッフを慌てさせた。実は、『欽ドン!』や『欽どこ』でも散々リハーサルをしながら、本番で全く関係ないことをして斎藤清六や見栄晴などを困らせていた。それが高視聴率に繋がっていたのです。追い込まれた時に生まれる必死さによって、番組は面白くなるという原点を欽ちゃんが思い出させてくれました。予定調和になりがちな今のテレビ界へのアンチテーゼでしたね」(同前)

 萩本の姿勢と最近の番組の体質はまるで違うものになっているという。

「今は誰かが責任を取って物事を決めるのではなく、あらゆる所にお伺いを立てないといけない。いわば、何人もの許可を取らないと前に進まない。裏を返せば、責任の所在が不明確になって、結局誰も責任を取らないという傾向があります。

 でも、欽ちゃんは常に1人で責任を取ってきた。『欽ドン!』が終わるときも、最後のレギュラーだったダウンタウンに『全部僕が悪い。僕は君たちを見ていて絶対に行けると思うから、この番組はなくなるけど、君たちは絶対に違う所から出ていくから、心配しないでいいよ』と言ってくれたと松本人志がラジオで感謝の気持ちを明かしています」(同前)

『おじゃMAP!!』では、「この年齢になると落ち着きたがるの。慎吾には(萩本とレギュラー番組をしていた)17歳に戻って、また汗かいて夢中でやってもらいたい」と香取の再出発にエールを送った欽ちゃん。ある意味、テレビ界への叱咤激励だったのかもしれない。