2つの失点の場面では、いずれも得点者の最も近い位置にいた長谷部。状況的に、責任を問われるほどのものではないだろう。写真はフィリップ決められた2点目。 (C) Getty Images

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 10月21日(現地時間)、ブンデスリーガ第9節が行なわれ、フランクフルトとドルトムントの一戦は2-2の引き分けに終わった。

 首位チームをホームに迎えたフランクフルトは、長谷部誠が最終ラインのリベロとしてスタメン出場。一方、ドルトムントの先発メンバーに香川真司の名はなく、ベンチで出場の機会を待つこととなった。
 
 試合開始から攻勢に立ったのは、やはり攻撃力に勝るドルトムントで、ボールを長く保持しながら相手ゴールに迫る。16分にはゲッツェが左サイドを抜け出してペナルティーエリア内に侵入、切り返しからシュートを放った。
 
 これは長谷部にブロックされるも、続けてドルトムントは多重攻撃を仕掛け、クリアボールを拾ったバルトラがエリア手前からシュート。しっかりミートせずに左にボールは流れるが、ここに走り込んでいたシャヒンが合わせ、アウェーチームが先制点を奪う。
 
 長谷部はこの場面、最終ラインに残っていたが、背後を走り抜けたシャヒンに追い付けず、目の前でシュートを許してしまった。
 
 先制してドルトムントが勢い付くかと思われたが、ここから攻勢に立ったのはフランクフルト。レビッチ、アレの前線コンビが再三、好位置でボールを受けてGKビュルキの守るゴールに迫ったのである。
 
 そうなったのも、ドルトムントの急造最終ラインに原因があった。前節にパパスタソプーロスが退場となり、さらにトプラクも怪我ということで、スボティッチとヴァイグルがCB、右SBにバルトラという新鮮な顔ぶれが並んだが、縦横両方で連係が不完全で、たびたび守備に穴を、そしてスペースを空けたのだ。
 
 ただ、フランクフルトにとっては、31分にヴォルフがフリーでのループシュートを飛び出したビュルキの身体にぶつけたり、その1分後にもレビッチが抜け出すもファーストタッチが大きくなってビュルキに先にキャッチされたりと、決定機を再三逃したことで、悔いが残る前半でもあった。
 
 後半に入っても、フランクフルトは相手の不安定な守備を衝いてチャンスを量産するが、ここではスボティッチらの身体を張った守備でシュートをブロックされる。
 
 逆にドルトムントは、カウンターが機能するようになり、51分にはゲッツェのエリア内での決定的なパスからオーバメヤンがフリーでシュートを放ったり、その2分後にもオーバメヤンが長距離のドリブルからGKとの1対1を迎えたりする。
 
 これらはゴールネットを揺らすまでには至らなかったが、57分、ゲッツェとのパス交換からフィリップが、長谷部と対面する状態から、グラウンダーのシュートをゴール右隅に流し込んで2点目を決めた。
 
 苦しい時間が続いたアウェーチームにとっては、貴重な追加点。そしてその直後、ボシュ監督はカストロに代えて香川を投入した。
 
 しかし、これでドルトムントが攻勢を強めるということはなく、逆に63分に1本のパスでレビッチの抜け出しを許してしまい、止めようとしたビュルキがファウルを犯してPKを献上。これをアレに決められ、またリードは1点に戻ってしまった。
 
 主導権を握ったフランクフルトはその4分後、今後はヴォルフがタイミングの良い飛び出しからGKと1対1になってシュート。ボールは左ポストを叩きながら、ゴールネットを揺らした。
 
 振り出しに戻った試合は、オープンな展開で互いに攻め合い、フランクフルトは83分にアレが至近距離からシュートを放つが、ビュルキが驚異の反応でセーブ。一方、ドルトムントは90分、交代出場の17歳サンチョ(ブンデスリーガ・デビュー)のシュートがGKに当たって流れたところを、シャヒンが詰める。
 
 決定的なシュートだったが、これをゴールライン上でブロックしたのが長谷部。彼の(ボールが当たった)左足によって、フランクフルトは勝点1を守った。

 ドルトムントにとっては、2点を先取しながらも勝点2を失った試合であり、また再三守備ラインを突破されながら2失点に止めて勝点1を稼いだ試合でもあった。後に行なわれるバイエルンの試合(ハンブルク戦)の結果次第では、勝点で並ばれ、さらに首位陥落もありうる。
 
 香川は時折、効果的なパスを出したりゴールを意識した動きを見せたりしたものの、決定的なプレーはなかった。