映像作家の任書剣が、「変わらない奈良と変わっていく私たち」と題する作品を発表した。

写真拡大

映像作家の任書剣(にん・しょけん)が、「変わらない奈良と変わっていく私たち」と題する作品を発表した。

【その他の写真】

奈良は中年を迎えてから旅するのによりふさわしい土地だと思う。約20年前、私は日本留学の地に奈良を選んだ。ただ、その頃の私が感じたのは「情報からの孤立」だ。当時は日本語でのコミュニケーションも思うようにいかず、インターネットも今日ほど発達してはいない。外で何が起きているのか知るすべはなかった。

そして留学開始から2年後に私は逃げるかのごとく奈良を離れた。あっという間に月日は流れ、私は再び奈良へ―。優しい雰囲気に包まれた街で時間は相変わらず古い建物の上をゆっくりと流れている。久々に目にした奈良は昔と何も変わっていないかのようだった。私はふと、知らない間に人の顔に刻まれる無数のしわを思い浮かべた。(文章:任書剣/編集:野谷)

●任書剣(にん・しょけん)
中国南京大学でマスメディアについて学ぶ。その後、日本に留学し2003年に日本映画学校を卒業。2008年には日本大学大学院で芸術学博士号を取得した。これまでドキュメンタリー映画を中心に制作し、2003年よりドキュメンタリー、報道などテレビ番組の制作に多く携わる。「私の叙情的な時代」(2009年作)は初の劇映画にして、多くの賞を受賞した。