そもそも、脳の血管障害の要因となるのが生活習慣病。中でも高血圧症、糖尿病、脂質異常症、心房細動、喫煙、飲酒といったものに当てはまる人は、自覚が必要だ。
 加えて、脳梗塞の中でも本人が気がつきにくい、または放置してしまいやすいのが、一過性虚血発作だ。これは、血管が血栓で一時的に詰まるものの、血流が再開されることで、しばらくすると症状が消えてしまうもの。そのため、治ったと勘違いしやすいのだ。
 「一過性虚血発作は、症状が出たとしても様子を見てしまう人が圧倒的に多いんです。しかし、放置しておくと、3人に1人は48時間以内に脳梗塞を発症します。突然症状が出ても、24時間以内、ほとんどの場合は数分で治ってしまう。それでも、この時点でただちに医療機関に受診すべきです」(同)

 ただし、後遺症を最大限防ぐことが出来る「t-PA」投与と血管内治療の併用を行える医療機関は少ない。
 「併用療法は後遺症の軽減に加えて、脳梗塞の死亡率も激減させるため、我々は普及に努めていますが、国の施策としても積極的な取り組みが不可決です」
 と、脳神経学会の関係者は話している。

 では最後に、脳梗塞の前触れを見逃さないためのチェック項目を挙げておこう。
 (1)片麻痺=手足、顔など、体の半分が思うように動かせない。例えば、片足だけ力が入らない。
 (2)言語障害=呂律が回らない。言葉がなかなか出てこない。
 (3)半盲=視野の半分が見えない。例えば、食事の際、左側に置かれたおかずが認識できない。
 (4)一過性黒内障=一時的ではあるが、片目が見えなくなる。
 「一過性黒内障の場合も、ただ単に目の調子が悪いと見すごしがちで、眼科を受診してしまう人もいます。これは血栓が頸動脈から目の動脈に流れ込んでいる状態で、やはり神経内科や脳外科を受診する必要があります」(健康ライター)

 慎重に症状を見分けるべしだ。