消臭スプレーの使用は慎重に(depositphotos.com)

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 「お父さん臭い! スプレーでシュー。爽快!」

 テレビを見ると、そんな消臭スプレーのコマーシャルが頻繁に流れています。すっかり世間に浸透した観のある除菌・消臭スプレーですが、本当に安全なものなのでしょうか?

 シャンプーや合成洗剤などは「家庭用品品質表示法」という法律に該当するため、含有量や成分を明記しなければなりません。しかし、消臭スプレーはこの法律の対象外。全成分が表示されていません。消臭スプレーは直接、肌に触れるものではないにしても、揮発した成分を吸い込んでしまう可能性は十分あるのですから、全成分と量を表示すべきです。

 そこで、よくテレビで見かける大手メーカーの消臭スプレーの成分を調べてみました。

布用消臭スプレーの定番となった「ファブリーズ ダブル除菌」(P&G

 「布用消臭スプレー ファブリーズダブル除菌」(P&G)は、ポンプ式の衣類などに吹きかける消臭剤です。成分表示を見ると、トウモロコシ由来の消臭成分、除菌成分(有機酸)、香料しか表示はされていません。

そこで、「トウモロコシ由来消臭成分」「除菌成分」「香料」について、配合されている具体的な化学物質名をP&Gの「お客様相談室」に聞いみましたが、答えは「公開はしておりません」とのことでした。

 化粧品などでトウモロコシ由来消臭成分としてよく使われているのは「シクロデキストリン」です。同製品の「トウモロコシ由来消臭成分」も「シクロデキストリン」のはずです。「シクロデキストリン」は環状オリゴ糖の仲間で、真ん中が空洞になった分子構造をしています。その空洞に他の分子が定着し、臭いを吸着します。

 今のところ、毒性の報告は出ていませんが、気になる不安点はあります。まず、トウモロコシ由来消臭成分は、おそらく遺伝子組み換えトウモロコシから製造されたはずだということです。遺伝子組み換え作物の安全性はまだ確立されていません。

 また「トウモロコシ由来消臭成分」には「シクロデキストリン」のほかに数種類の化学物質も含まれています。それがどんな化学物質なのかが健康にとって非常に重要なことです。しかし、それは、P&G社が公表しない限りわかりません。

除菌成分も不透明

 除菌成分も同様に不透明です。特定の除菌成分を総称して「クオット」と言いますが、P&GのHPでは「野菜や果物の酸と同じ酸がクオットの効果を高めるために配合されています」と説明しています。いったいどんな化学物質が配合されているのでしょうか?

 ある同業他社のHPには「ファブリーズダブル除菌の除菌成分には、第四級アンモニウム塩が配合されている」と断じています。第四級アンモニウム塩は、塩化ベンザルコニウムが含まれる陽イオン界面活性剤です。細菌の細胞膜を破壊して殺菌しますが、人体内に侵入すれば健康に悪影響が出る恐れがあります。

「スプレーで衣服の汚れは落ちない」

 国内でもっとも知られているのが、この「ファブリーズ」ですが、宣伝方法に抗議が出たことがあります。

 2012年10月に愛知県クリーニング生活衛生同業組合(名古屋市)が「ファブリーズで(衣服などを)洗おう」とのCMに対して、「スプレーで衣服の汚れは落ちない」と消費者に注意を呼びかけるポスターを3000枚作成し、愛知県内のクリーニング店に配布しました。

CMでは小さな字で「汚れを落とすわけではありません」と流れていましたが、「洗おう」と言えば、誰もが汚れも落ちると思うはずです。

リセッシュ除菌EX(花王)は香り残らない?

 この商品は「香りの残らないタイプ」を強調しています。それなら無香料にすべきです。消臭スプレーに香りを付けるのは、無臭の都市ガスやプロパンガスに臭いをつけているのと同じ。これは消費者にガス漏れの危険性などを知らせるためですが、リセッシュにも同様の効果を狙っています。

 花王のHPで「ミクロミストスプレーで細かい霧が空間まで消臭」と製品の特徴を紹介していますが、これは恐ろしいことです。霧状の化学物質の粒子が小さければ小さいほど、肺から吸収されることになってしまうからです。

 そんな霧状の化学物質が大量に部屋の空間に漂っていては大変なことです。その危険性が分かるように香りをつけているのです。

 除菌剤の微粒子を体内に吸収して健康にいいわけがありません。使い過ぎや換気にはくれぐれも注意が必要です。

シリーズ「子どもには絶対に使ってはいけない生活用品」バックナンバー

郡司和夫(ぐんじ・かずお)

フリージャーナリスト。1949年、東京都生れ。法政大学卒。食品汚染、環境問題の一線に立ち、雑誌の特集記事を中心に執筆活動を行っている。主な著書に『「赤ちゃん」が危ない』(情報センター出版局)、『食品のカラクリ』(宝島社)、『これを食べてはいけない』(三笠書房)、『生活用品の危険度調べました』(三才ブックス)、『シックハウス症候群』(東洋経済新報社)、『体をこわす添加物から身を守る本』(三笠書房・知的生き方文庫)など多数。

郡司和夫(ぐんじ・かずお)
フリージャーナリスト。1949年、東京都生れ。法政大学卒。食品汚染、環境問題の一線に立ち、雑誌の特集記事を中心に執筆活動を行っている。主な著書に『「赤ちゃん」が危ない』(情報センター出版局)、『食品のカラクリ』(宝島社)、『これを食べてはいけない』(三笠書房)、『生活用品の危険度調べました』(三才ブックス)、『シックハウス症候群』(東洋経済新報社)、『体をこわす添加物から身を守る本』(三笠書房・知的生き方文庫)など多数。