世界一背が高くなる樹、通称「レッドウッド」(正式名称セコイアメスギ:スギ科セコイア属)が自生することで知られる、アメリカ・カリフォルニア州の「レッドウッド国立州立公園」。

100mに届かんばかり、およそ30階建てビルほどの高さを誇る樹々たちが14,000エーカー(5,666ヘクタール)の広大な森を形成しています。あまりに規格外の高さなので、いつしか感覚が麻痺してその異常さに慣れてくる、という摩訶不思議な体験ができるこの場所で、トレッキングをしてきました。

100mに迫る巨木がいたるところに。
背が高すぎて、樹のてっぺんが見えない!

国立公園大国
「アメリカ」

ちなみにアメリカ全50州には、59もの国立公園が存在。なかでもカリフォルニア州にはヨセミテ国立公園やデスバレー国立公園など、9つもの国立公園が集中しています。カリフォルニアへ行くなら、日本では絶対に見ることのできない絶景に、口をあんぐり開けて、ただただ圧倒されてみたいもの。

地球一高い樹「BIG TREE」は
レッドウッド国立州立公園にある

最高齢の樹は、なんと2200歳ほどだとか。
人と樹の比率の異常さに注目してほしい。

レッドウッド国立州立公園の中でも、死ぬまでに一度は見てみたいのが、世界一、いや地球一高い「BIG TREE」。地球一タッパのある生物とも言えますよね。

トレッキングルートにあるBIG TREEの方角を指し示す看板にテンションが上がらない者はいないでしょう!

パークレンジャー・シーナさんたちのガイドで、
レッドウッドの森の中をトレッキングする取材班。

で、BIG TREEはどこ?

しかし歩けども、歩けども、BIG TREEは一向に現れません。「本当にあるのかな?」と疑心暗鬼になりながらも、いつしか私たち取材班は、レッドウッド国立州立公園に生息する、個性豊かな樹々たちに魅了されていきました。

幹が細いもの、太いもの、大きくツイストしているもの、そのパーソナリティーは実に様々。

ハート型の幹!

レッドウッドの「種」、レッドウッドコーン。
男子コーンと女子コーンが胞子を飛ばして受精する。

受精したレッドコーンの胞子から芽が出る確率は100万分の1と言われているそうで。奇跡的に木へと成長できても、わずか30年ほどでその命を終えることもまったくもって珍しくなく。つまりレッドウッドたちは、その存在自体がミラクル。

太陽光を求めて我先にと天に向かって伸びる樹々たちですが、実は、根っこ部分は土の中で養分をともにシェアしており、自らが死を迎えそうになった暁には、己の養分を仲間に分け与えているのだそう。

そう「森は、あたたかい」のです。

トレッキング中は、上を見上げすぎて
少し首が痛くなりました。

BIG TREEがあったのは
意外すぎる場所だった

かれこれレッドウッド国立州立公園を4時間は歩き回った頃、私たち取材陣の疑いは確固たるものになりました。

「あと何分歩けば、世界一高い樹に辿りつけるの?」と痺れを切らし、パークレンジャーのシーナさんはじめ現地スタッフに詰め寄ってみても「さあ?」ととぼけられるばかり…。そうか、やはり、BIG TREEなんて、ここにはないのだな…。

 

だからこそ。目の前に、ひときわ太くて大きな樹が現れた時は、思わず駆け寄ったのです。

高さ92.6m、直径6.6m、周20.7m、樹齢1500年。

さすがの大きさ! 当然カメラで1本丸ごと写すのは不可能。

ただ、このBIG TREEは、世界一高い樹ではありませんでした。

パークレンジャー:シーナさん

「こちらで柵をはられて公開されているものは、世界で2番目に高い樹で、実は世界一高い本当のBIG TREEの場所は、保護の観点から公表されていません。このレッドウッド国立州立公園のどこかにひっそりと立っているのです」

なんということでしょう。そして、驚くことに、この「世界で2番目の樹」は、トレッキングルートの1つの入口の近くにありました。ならば4時間も森を彷徨わず、この入口からサクッとこの樹を見に来ればよかったのではないか。

そんな憤りを覚えつつ、しかし同時に、4時間かけて「どこだ、あれか?」と森を歩き回った末、ようやく世界で2番目のBIG TREEに巡り会えた爽やかな感動が、胸に広がっていました。

BIG TREE is
in your heart.

「世界一高い樹BIG TREEは、私たちの心の中にある」。

もしかしたら、パークレンジャーたちは、このことを私たちに教えたかったのかもしれません。背の高低に関わらず、個性豊かな樹々の中に、自分だけのお気に入りの1本を見つけられたなら、それが、アナタの、世界でたった1つのBIG TREEなのだと。

取材協力:

ユーリカ・ハンボルト観光局
Eureka-Humboldt Visitors Bureau
https://www.visitredwoods.com/

カリフォルニア観光局
http://www.visitcalifornia.jp

Photo by Riyua Joe,Junpei Suzuki