前回掲載の「100歳まで生きる時代に、老後も自宅で暮らすために必要な10のこと」で、自宅で死を迎えるための心構えを記してくれた無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』の著者でマンション管理士の廣田信子さん。今回は、高齢者向けの住宅や施設に住み替える際に、他人任せにするのではなく「自分で見て確かめるべきポイント」を、その理由とともに紹介しています。

最後は施設等への入居も覚悟して備える

こんにちは! 廣田信子です。

「100歳まで生きる時代に、老後も自宅で暮らすために必要な10のこと」でも書いたように、高齢者が自宅で住み続けるのは覚悟が要りますが、高齢者用の住宅や施設に住み替えるというのも覚悟がいることです。高齢者の住宅、施設等については、私よりずっと詳しい方も多いと思いますが、ちょっとまとめておこうと思います。

一般に「有料老人ホーム」と呼ばれるものは、老人福祉法が根拠法となる施設ですが、設備や居住スペース、サービスの種類や質によって入居時に掛かる費用も、月々に掛かる費用も大きな差があります。

入居時に自立生活できることが条件で、介護が必要になっても居られる「自立型」と、介護が必要な人が入居する「介護型」がありますが、実際は「介護型」が9割を占めているといいます。「有料老人ホーム」は、必要なサービスが施設内で専従のスタッフによって総合的に受けられるようになっています(介護については内部で介護保険を利用する)。

入居一時金を支払うことで、生存している間ずっと利用できるというのは利点ですが、高額な一時金が必要なこと、すべてのサービスが用意されているので、依存度が高くなる、生活が管理され自由度が少ない、入居者間の人間関係がうまくいかないと居にくい場合がある、等のデメリットも考慮が必要のようです。

もうひとつ、高齢で生活支援や介護が必要になった場合に入居するものに、「サービス付き高齢者向け住宅」というものがあります。一般に「サ高住」とわれるものです。これは、「高齢者住まい法」が根拠法となります。

高齢者が家を借りられないという現実の解決策の一つでもあったのですが、実際には、やはり介護が必要になって家族等の意向で入居される方が多いようです。

「有料老人ホーム」と機能は似ているように見えますが、こちらはあくまで、サービス付きの「賃貸住宅」に入居するということで、高齢者が暮らしやすい設計の住宅で、見守り体制はついていますが、介護サービス、食事サービス、医療サービス、生活支援サービス等は、別途各事業所と契約を結ぶことになります。どの事業者と契約するのも自由ですが、その「サ高住」を運営している会社が介護サービス等のグループ会社を持っていて、そこと契約を結ぶことが多いようです。

「サ高住」の1階に介護ステーションを持っているようなケースも多く、同じ建物の中でサービスを受けているので、一体のサービスのようですが、すべて別の個別契約によるものというのが、「有料老人ホーム」とは大きくちがうところです。個々のサポートの必要性や金銭的な事情に合わせて何本もの契約を結ばなければならないわずらわしさはあります。

借地借家法により住み続けられることは保障されているのですが、認知症になるとやんわり退居を促されることがあるようです。また、医療行為はできないので、胃ろう等の医療行為が必要になった場合も住み続けるのが難しくなります。再度の住み替えが必要なケースも少なくないようです。

長生きするということは結構たいへんですね。

生活支援や介護が必要になっても介護保険サービスや自治体の支援サービスを受けながら自宅でできるだけ暮らしたいと思っていても、いずれは、子供たちの安心のためにも、「有料老人ホーム」や「サ高住」に入居することになる…、さらに、認知症になったら「グループホーム」、重度介護になったら「特別養護老人ホーム」に移る(これが、簡単には入れないのでたいへんなのですが…)、と言う具合に、住み替えが生じる覚悟も必要だということです。

ざっくり書きましたが、他にも、「ケアハウス」等があります。施設によって入居条件もサービスの内容も違いますから、しっかり調べて選ぶことが重要です。

専門家は、入居を決める前に、下記の10項目のチェックが必要といいます。

自分が必要とするサービスがあるか誰がサービスをしてくれるか固定費以外の費用はどのくらいかかるか誰とどのような契約をするのか一時的に体調を崩した時はどうなるか重度になっても住み続けられるか退居しなければならない要件があるか緊急時の対応はどうなっているか医療との連携はどうなっているか看取り体制はどうなっているか

口頭だけでなく、契約書を隅から隅まで読んで確認することが重要です。といっても、なかなか契約書の内容のチェックまで難しいと思ったら、契約書の内容を見てくれる専門機関もありますから、専門家の手を借りてでも、しっかり確認する必要があります。こんなはずではなかったというトラブルは多いのです。

また、実際に見学したり、周りの評判を聞くことも重要です。急に、子供たちが親を何とかしなければと施設を探すと、そこまでやっている余裕がなく、入れるところがあれば…となってしまうこともあります。

そして、専門家の話で気になったことがありました。資産を持っていて、それを使えばかなりいい施設に入れたとしても、不動産や株の処分は簡単ではないですし、遺産を減らしたくないという思いもあって、子供たちは、年金の額で入居できるところに…と、なりがちだと言います。子供たちがその方針を巡って争うこともあります。

自分が老後のためにと考えていた財産を、自分のために使えていない高齢者が結構いるといいます。やはり、自分がどの施設に入居したいのかは、金銭的なことも含めて、きちんと自分で決めて、意思表示しておいた方がいいのです。子供たちのためにも…。

言うのは簡単ですが、なかなかたいへんですね。

高齢化が進んだマンションでは、こういった住み替えに関する勉強会や見学会の開催も有益だと思いました。

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