AKB48(撮影=岡崎隆生/2013年)

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 人気アイドルグループ・AKB48の毎年恒例イベント「選抜総選挙」が今年も6月17日、沖縄で行われた。当初は「豊崎海浜公園豊崎美らSUNビーチ」で開催される予定だったが、悪天候のために会場は豊見城市立中央公民館に変更され無観客で行われた。

 このAKB総選挙に沖縄振興交付金から2800万円が注がれていることを、河野太郎現外相が7月6日に自身のブログ「ごまめの歯ぎしり」で指摘したが、AKB48グループ総合プロデューサーの秋元康氏は安倍晋三首相と深い親交を持っていることが知られているため、永田町では「第3の森友問題か」などと一部で話題を呼んだ。

 ちなみに本件を報じた9月28日付当サイト記事『安倍政権、お友達・秋元康氏のAKB総選挙に巨額税金投入疑惑…沖縄振興の要件に不適合か』は、安倍首相と秋元氏の関係について、次のように報じている。

「実は安倍首相は、AKB48とは浅からぬ縁がある。2013年12月、東京で開かれたASEAN特別首脳会議後の晩餐会で、約220人の各国要人の前で、AKB48が『恋するフォーチュンクッキー』を歌ったこともある。AKB48総合プロデューサーの秋元康氏と安倍首相は、13年のクールジャパン推進会議で出会って以来、昵懇の仲。新聞各紙が報じる首相動静によれば、安倍首相はしばしば秋元氏と会食している。15年3月には、新閣僚が記念写真を撮る場所である首相官邸の西階段で、秋元氏が幻冬舎の見城徹社長ら5人で安倍首相を囲んで並んだ写真が、参加者メンバーのフェイスブックにアップされた。『閣僚ごっこ』と揶揄されたこの写真は、その後削除された」

 そんな秋元氏が深く関与するAKBの一大イベントに沖縄振興交付金が投入されたことで、「森友・加計問題同様に、安倍首相の“お友達”優遇政治の典型例」(マスコミ関係者)との声も上がり、批判を呼ぶことになったのだ。

●不自然な沖縄振興交付金支出

 たとえば、『国家戦略特区の正体 外資に売られる日本』(集英社新書)の著者であり、立教大学経済学部の郭洋春(カク・ヤンチュン)教授は、前出・当サイト記事で「この沖縄振興交付金の使われ方は不自然だ」として、次のように指摘する。

「沖縄振興交付金で運営される戦略的課題解決型観光商品等支援事業(以下、同支援事業)に、AKB48選抜総選挙が選ばれたということで、会場運営費などとして2800万円が出されたということです。時系列から見ていきましょう。同事業の公募が始まったのが今年の2月15日で、締め切りが3月18日。本審査が始まるのが3月29日で、採択事業を発表したのが5月18日です。

 しかし、AKBが沖縄で総選挙を行うと発表したのは、3月20日なんですよ。つまり、同事業に採択されるはるか以前に、沖縄でやると発表しているんです。開催日が6月17日なので、5月18日の発表から準備しても間に合わない。そうすると最初からAKBありきで話が進んでいたとしか思えないです。穿った見方をすると、最初からお金が落ちるということを前提にAKB側が進めていた。あるいは、AKBは沖縄でやるということで粛々と進めていて、採択されればそのお金を充当しようとしたという説明も成り立ちます。

 そうすると、新たな疑問が湧いてきます。今回、AKB総選挙は9回目。非常にビッグネームで、テレビ局もスポンサーもついている国民的なイベントなわけで、特定の事業資金を手に入れなくても十分に成り立つのに、なぜ交付金を入れたのかということには、相当な違和感があります」

 さらに郭教授は、AKB総選挙が、沖縄振興交付金で運営される同支援事業の要件に不適合である可能性も指摘している。

●財務省の思惑

 一方、政治の視点からみると、興味深い背景が浮かんでくると指摘するのが、政治ジャーナリストの朝霞唯夫氏だ。

「問題になった国費は、政府の沖縄振興交付金です。今年度の交付金の予算は1358億円で、この使途については県の裁量に任されており、事業者が県に補助金の申請をし、県が振興策の一環だと判断すれば補助する仕組みです。“第3の森友問題”になる可能性があるとしたら、内閣府が直接県に対して『補助申請を早急に処理しろ』とか、事業者が申請する際、県に対して秋元氏と安倍首相の関係を説明し、速やかに申請を受け付けてほしいと要求するケースですが、数千万円単位の補助申請で秋元氏や安倍首相がそこまで関与するとは考えにくいです」

 しかし、“大した問題ではない”のかといえば、そうともいいがたい面があると朝霞氏はいう。

「民進党関係者によると、なぜこのタイミングで出てきたのかが気になると言います。この問題が明らかになったのは、河野外相が、自民党行政改革推進本部長を務めていた7月に自身のブログに疑問を呈したことが発端です。しかし、内閣府のホームページを見ても、予算の総額は記されているものの、個別事案の予算配分は書かれていない。今年度予算で現在進行形なので当然ですが、つまり『誰かが河野氏にタレこまない限り、知り得ないことではないか』(民進党関係者)ということになります。同関係者はこう話しています。

『この一括交付金は、民主党政権時に沖縄振興策として大きく膨れ上がった。政権交代して自民党・安倍政権になってからも、一定の水準は維持したままになっている。削減したくても、複雑な事情を抱えた沖縄で簡単には減額できない。だから、こういう話題性のある事案が絡んだところで、財務省が河野氏にリークしたのではないか』

 つまり、財務省サイドが行政の無駄遣いチェックの責任者だった河野氏にご注進し、問題に火を点けたとの見立てです。さらに永田町関係者もこう語っています。

『財務省は安倍首相に懐疑的。というのも、本来なら今年行われるはずだった消費税10%への増税が、2019年10月まで引き延ばされたからだ。今後、安倍首相は経済状況の悪化などを理由に再び消費増税の再延期を言い出しかねない。そうなる前に、安倍首相には早々に退陣してもらったほうがいい。“第3の森友問題”のような疑惑になれば、安倍首相も3期目はない。退陣後、麻生太郎財務相か岸田文雄政調会長が首相になれば、再延期はないといっていい。つまり、この問題は首相官邸と財務省の暗闘の一端といえるかもしれない』

 加計問題では文科省が安倍首相に反乱を起こし、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報問題では防衛省が堪忍袋の尾を切った。いよいよ、財務省も安倍首相を追い詰め始めたのでしょうか。根は極めて深い気がしてなりません」

 22日の投開票される衆院選では自民党の優勢が伝えられているが、果たして今後、この問題が森友・加計問題同様に政局を揺るがすことになるのだろうか。
(文=編集部)