日本の高校にあたる「バキジェラート」は、進級や卒業がなかなか大変だと言われる。スペインU-17代表の俊英たちは遠いインドでも、勉学に勤しむ。(C)Getty Images

写真拡大

 スペインU-17代表では、日常的な光景のようだ。赤いトレーニングウェアを着た3選手が長机に並んで座り、教科書らしきものを広げている。
 
 インドで開催されているU-17ワールドカップは、いよいよ準々決勝がスタート。優勝候補の一角を担う欧州王者スペインは、日曜日にイランと戦う。
 
 キラ星のごときタレントがひしめくチームには、驚きのルーティンがある。なんと選手たちは1日・1時間、みっちり勉強しなければならない。各学校や所属クラブ、あるいはスペイン・サッカー協会が用意したホームワークなりテストをこなしているのだ。『FIFA.com』がフィーチャーしている。
 
 ビジャレアルのユースチームに所属するFWナチョ・ディアスは、こう話す。
 
「試験と試合とどっちが難しい? それは試験だよ(笑)。だってサッカーの試合は思うがままにやればいいだけだからね」
 
 チームに帯同しているスタディーグループのチーム、ダビド・ゴルド氏は「すべてはスペイン協会の考えに沿ったものです」と前置きし、その意図を説明する。
 
「彼らはまだ16〜17歳。スペインのプロフットボール界は彼らのような優秀な選手たちでさえ、容易くプロにはなれない厳しい世界なのです。本来は勉学に励むべき期間であり、たとえワールドカップの間であっても、将来を考えれば怠ってはいけない。そんな考えの下で行なわれています」
 
 先述のディアスは、「正直、大会中はフットボールに集中したいから最初は難しい部分があった。でも慣れてきたのか、いまは机の前に向かうことで気持ちを切り替えたり、リフレッシュできたりしている。不思議なものだね。なんにせよこっちでも勉強していないと、クラスに戻った時に付いていけないから助かっているよ」と笑う。
 
 ともに並んで勉強していたGKマルク・ビダルは「フットボーラーとしてのキャリアはいつどこで終わるか分からないからね。いろんな可能性を考える上で、いまの僕らは勉強も疎かにはできない」と言い、FWのディエゴ・パンピンは「これはフットボールにもいい影響を与えている。毎日のルーティーンの中にしっかり組み込まれているから、僕らはまた違う規律を学ぶ。とても大切なことだと思う」と効果を口にする。
 
 スペインのプロクラブでは、下部組織の選手に文武両道を徹底しており、学業での成績が悪ければ練習参加が認められない場合もある。とはいえ、FIFA公式の世界大会でも勉強に励むとは……。強さの源はこんなところにあるのかもしれない。
 
 今大会のスペインは初戦でブラジルに1-2の惜敗を喫したものの、その後はニジェール、北朝鮮を連破。ラウンド・オブ16ではフランスとの激闘を2-1で制して、8強に駒を進めた。
 
 日曜日、“学ぶ無敵艦隊”はベスト4の座を懸けて、アジア勢唯一の生き残りであるイランと雌雄を決する。