お金に苦労せず、幸せに生きていくことを目指す【脱貧困診断】。今回の相談は、田村カナさん(仮名・不動産会社勤務・35歳)からの質問です。

「35歳会社員です。お給料からの自動積立定期預金が400万円になりました。銀行から“自動積立は金利が0,01%と低くてもったいないから使う予定がないなら年金保険にしたら”と勧められました。

税金控除だけでも、年に4%の利益が出て、金利は現在2,5%(最低1.5%)だという話でした。確かに、すぐに使う予定はありません。
 
でも、年金保険にすると、10年は解約できないとか……。使いたいときに解約することになって目減りするのでは、意味がないと思って……。どういう状態なら、年金保険にしてもメリットがありますか。また、注意点はありますか」

使う予定のない、まとまった額のお金。預け替えしたほうがお得でしょうか?森井じゅんさんに伺ってみましょう。

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ところで「年金保険」って何?

すぐに使う予定がないお金を年金保険に、と考えていらっしゃるんですね。

まず、銀行の方から勧められたという個人年金保険についてご説明します。

個人年金保険は、ざっくりと言えば、老後に備える貯蓄性の保険です。国民年金や厚生年金だけでは不安、という方が老後資金のために加入することが多いものです。

生命保険会社や損害保険会社、郵便局や銀行、証券会社など、さまざまな機関で取り扱っており、また、さまざまな個人年金保険が販売されています。

基本的に個人年金保険は、一定の年齢から一定期間、もしくは一生涯、一定の金額を受け取ることができる保険です。

そして、個人年金保険の多くは、所得税の生命保険料控除のうち「個人年金保険料控除」を受けることができるように設計されているものが多いです。具体的には、60歳以降を受取開始年齢、受取期間を10年以上という形です。

個人年金保険のメリットは?

個人年金保険のメリットは商品の種類や特約にもよりますが、預貯金で積み立てていくよりも、将来的に受け取ることのできる金額が大きくなる可能性があることでしょう。

金利は現在2.5%(最低1.5%)だという説明を受けたとのことですね。

保険会社の予定利率の計算要素は様々なので省略しますが、利率で表示された額は支払った保険料に対する利回りとは限りません。

つまり、支払った保険料に対する実質利回りはもっと小さい可能性があります。単純に金利〇%と聞いてお得、と判断するのではなく、利率が具体的にどのような利率なのか、何より、いくら受け取ることができるのかしっかり確認しましょう。

「貯蓄型」といっても、簡単にお金を引き出したりできませんので注意が必要です。個人年金保険も途中で解約することが可能ですが、途中解約した場合には元本割れすることも少なくありません。

本当に節税効果があるの?

また、節税効果についても注意が必要です。

相談者さんはまとまったお金があり、それを個人年金保険にと考えているようですね。ということは、個人年金保険に一時払いで加入することを考えていますか?

個人年金の保険料の払い方は様々で、月払い、半年払い、年払いや一括払いなどがあります。その中でも一時払いは、支払う保険料の総額が最も安くなる払い方です。

しかし、一時払いでは「個人年金保険料控除」の対象になりません。

そのケースでは一時払いした年のみ、「一般の生命保険料控除」の対象となります。

保険料控除を最大限利用した場合、所得税率10%の想定で、所得税・住民税の節税効果は合計約6800円です。

個人年金保険料控除は、毎年受ける事ができることでコツコツ大きな節税効果になるものです。1年限りの1万円未満の節税効果のためだけに加入するのは効率的とは言えないでしょう。

相談者さんにオススメの400万円の使い方は?

個人年金保険以外で考えてみましょう。

まず、借金やローンが残っているのであれば、運用するよりも返済にあてましょう。

先日お話したiDeCoも老後資金を考えたひとつの選択肢でしょう。節税効果の面で言えば、年金保険料控除よりもずっと大きな所得控除があります。

「リスクを取りたくないけれど、少しでも増やしたい」という場合には、ネット銀行の定期預金もひとつの選択肢になるでしょう。

大手銀行の定期預金の金利が軒並み0.01%という低金利の中、ネット銀行の定期預金では預入期間5年で0.3%といったものもあります。単純に考えれば30倍の金利です。

ネット銀行を利用するのが不安、ネット銀行に預金していて銀行が潰れたらお金が帰ってこないかもしれない、という不安を抱いている方も多いようです。しかし、ネットバンクが破綻した場合であっても、預金金額は1000万円とその利息部分までが保証されています。

そのほかで、定期預金の金利が意外に大きいのが、地銀と呼ばれる地元の銀行です。

地域の人々に向けて特別金利キャンペーンが実施されることなどもあります。銀行の店舗窓口のポスターや新聞のチラシなどで告知されていたりもします。ご自身の地域の地銀もチェックしてみてください。

「一定のリスクをとっても運用してみたい」と思うのであれば、投資信託や株も視野に入ってくるでしょう。 

政府が「貯蓄から投資へ」というスローガンを掲げ、NISAや積立NISAといった投資利益に税金がかからない制度もできています。メリットデメリットはそれぞれありますが、検討してみるのも悪くないでしょう。

今回、相談者さんは銀行から個人年金保険の提案を受けたとのことですが、他人から薦められてよく分からず……というのでは後悔する可能性が大きいです。しっかり勉強して納得してから申し込みをするのも遅くはありません。提案を受けるたいていのものは、相談者さんが儲かる商品ではなく、提案する人が儲かる商品だと考えましょう。

実際、保険の貯蓄商品は販売手数料がいいせいか、広く販売されています。

保険であれ投資であれ、自分でしっかり調べて、納得してから始めてくださいね。

せっかく働いて貯めたお金。1円だって損したくありませんッ。



■賢人のまとめ
年金保険以外にも、400万円の有効な使い方、運用法があります。他人から薦められてよく分からず……とういのは後悔する可能性が大きいです。しっかり勉強して納得してから申し込みをするのも遅くはありません。

■プロフィール

女子マネーの達人 森井じゅん

1980年生まれ。高校を中退後、大検を取得。レイクランド大学ジャパンキャンパスを経てネバダ州立リノ大学に留学。留学中はカジノの経理部で日常経理を担当。

一女を出産し帰国後、シングルマザーとして子育てをしながら公認会計士資格を取得。平成26年に森井会計事務所を開設し、税務申告業務及びコンサル業務を行なっている。