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●中華料理店のまかない飯「焼豚玉子飯」

"食"は旅の醍醐味のひとつ。普段なかなか食べられない刺身やステーキといった高級料理もいいが、せっかくならば"地元民に愛されている庶民派の味"も楽しみたい。海山の恵みが豊かな食の宝庫・愛媛県では、食ツウの県民たちにどんな料理が愛されているのだろうか。ここでは地元の人に聞いた、2大ソウルフードを紹介したい。

○今治人のソウルフード「焼豚玉子飯」

"今治人たちが愛してやまない"という「焼豚玉子飯」(750円)なるB級グルメを食べに行く。名前から考えると、こま切れの焼き豚を玉子でとじた親子丼的なもの? それとも、フライパンで焼いた焼豚と玉子焼きを丼飯にのせたポーク玉子的なもの?

……いろいろと想像を膨らませていたのだが、実際はもっともっとワイルドな一品だった。それがこれ!

丼飯の上に、焼き豚をドーン、その上に目玉焼きをドーン! まさしく"焼豚玉子飯"。名前に一切の偽りなし。しかも、ラーメン鉢風の器に山盛りなので、ボリュームも申し分なし。ちょうどお腹ペコペコだったので、さっそく食べていこ……え? 地元流の食べ方がある?

まず、レンゲ(レンゲのみで食べるのも地元流)で、2個の目玉焼きを半分にカット。そして、その半分を豪快にかき混ぜる。そのうえで食す。半分を食べ終わったら、同じ要領でもう半分もかき混ぜて食べるのだという。

では、ようやくパクリ。正直、焼豚と玉子とご飯なので、ある程度は味の予想がついていたのだが、いい意味で裏切られた。味の決め手は"タレ"。しょうゆベースの濃厚なこのタレが"甘辛い"というか"甘甘辛い"のだ。これが焼豚や丼飯によくマッチし、少し懐かしさを感じさせるような優しい味わいを醸し出している。

この「焼豚玉子飯」は、今治で数十の店が提供しているのだが、今回はせっかくなので発祥の店と言われる「白楽天」に来店。この、ありそうでなかった今治の名物グルメはどのように誕生したのか? 店主に聞いてみた。

「もともとは店のまかない飯として食べられていたもので、当時の店主がそれをメニュー化したのが始まりです。約40年前になります。昔から今治人はイラチ(気が短い)なので、料理が早く提供されないと我慢ができない。安い、早い、旨いの三拍子そろった『焼豚玉子飯』は理にかなっていたこともあって、地元で人気メニューになったんです」

食事前、隣で常連さんたちが「焼豚玉子飯」に唐揚げが付いたセットをペロリと完食している勇猛な姿を目撃。「さすが地元民!」なんて思っていたのだが、いざ食べてみると大食いではない自分もサクッと完食できた。ひと口食べ始めるとレンゲが止まらなくなる、クセになる一杯だった。

●information

「焼豚玉子飯」

白楽天

住所: 愛媛県今治市常盤町4-1-19

営業時間: 11〜15時、17〜22時

定休日: 火曜日

せっかく愛媛に来たのだから、やはり瀬戸内の魚介も食べたい。続いては、地元の方に「魚介? それならこれだよ! 」と教えてもらったソウルフードを紹介しよう。

●海賊ゆかりの漁師飯「宇和島鯛めし」

○瀬戸内の恵みが詰まった「宇和島鯛めし」

瀬戸内の魚介を満喫できる愛媛県・宇和島発祥の「宇和島鯛めし」(1,500円〜)は、今や愛媛県内の各所で食べられているというソウルフードだ。鯛めしと聞けば、やはりご飯と鯛を炊きこんだもの? もしくは鯛のお造りが丼飯にのったもの? ……と想像していたのだが、今回も筆者の予想は見事なまでに外れた。気になる、その全貌がこちら!

「え、お刺身定食じゃん」って思った人もいるだろう(筆者もそう)。この料理のポイントは、特製の醤油ダレに浸かった生卵。まず、この醤油ダレと生卵をかき混ぜる。そこに、鯛をはじめ、ネギや海藻といった薬味的なものをすべて投入。さらにかき混ぜる。

そして、鯛もろとも溶き卵をアツアツご飯にかけて食すのだ。食材は、瀬戸内の真鯛、高級なブランド卵、愛媛産の米、天然醸造醤油と、すべて一級品。もう、「食べる前にわかる、おいしいヤツやん!」って叫びたい。

実際に食べてみると、歯ごたえがあって旨味が強い鯛、濃厚な卵と醤油タレ、ピリッと舌を刺激するわさび……言うなれば"超高級卵かけご飯"だ。ご飯が進んで進んでどうしたものかと悩ましいほど。聞くところによると、女性でも3杯ぐらいお代わりする人もいるという。

そう話すのは、この「宇和島鯛めし」発祥の店と言われる「丸水」のご主人。ちなみに、高級食材が惜しげもなく使われていることもあってわりと最近生まれたメニューなのかと思っていたのだが、その歴史はなんと100年を誇るという!

「昔、宇和海を拠点にしていた伊予水軍や漁師たちが火の使えない船上で酒盛りをした際、酒を飲んだお椀にご飯を盛って、その上に生の鯛の身をのせて食べたことが始まりだと言われています」

漁港直送の新鮮な鯛が食べられる愛媛ならではの料理と言えるだろう。しかも、その発祥が水軍の時代に遡ると知れば、歴史ロマンが加わる分、より一層料理の味が感慨深くなるではないか。

●information

「宇和島鯛めし」

丸水 道後店

住所: 愛媛県松山市道後湯之町13-10

営業時間: 11〜15時、17〜22時

定休日: なし

どちらのソウルフードも、実にご飯がすすむ料理であった。高級料理をちょこちょこつまみながら味わうのもオツなものだが、愛媛に来たときは豪快に器を持ってご飯をかきこんで食べてみるのもいいだろう。地元の味を知ることで、知らなかった愛媛の良さが見えてくるかもしれない。

※価格は税込